中国の援助攻勢
トルコの患者数は今日(3月31日)一万人を突破しました。今月の上旬に初めての患者が確認されてから、わずか1ヶ月も経たない間にこれだけ急増するとは誰も予想しなかったでしょう、一方死者数は162名と欧州諸国と比べ少なく、トルコの医療システムが崩壊していない事を示しています。そんなトルコに最近中国から新型コロナウイルス肺炎の特効薬として期待されているアビガンやマスクが供給されたとの報道がありました。トルコだけではなく、イタリア、スペインにも医薬品やマスクなど必要物資が供給されています。今朝フランスのテレビ局France 24を聞いていると、フランスにも中国からマスクが大量に供給されたと報道されていました。「ちょっと待ってよ。今回のウイルス騒動の根源は中国だったのではないか。」と言いたくもなりますが、これら物資は有償で供給されているものも多く、スペイン政府など中国から必要物資を4億円も買い入れており、ウイルスのおかげで中国企業が潤っているのが現実です。
トランプ大統領の怒り
中国に対してハラワタが煮えくりかえっているのが、トランプ政権だと思います。トランプ大統領自身「中国ウイルス」と再三発言し、ポンペオ国務長官も「武漢ウイルス」と厳しく中国政府を糾弾しています。これに対して中国も負けずに「コロナウイルスは昨年末米軍により武漢に持ち込まれた。」と広報担当が発言したものですから、トランプ大統領の虎の尾を踏んでしまいました。先日、トランプ大統領と周主席の電話会談があり、この会談の直後、トランプ大統領は一旦矛を納めましたが、大統領選の結果も左右しかねない状況になっていますので、根は深く、トランプ大統領は今後も中国批判を繰り返すものと思います。
中国とのデカップリングの加速
今回のコロナウイルス騒動は、これまでのいわゆる「デカップリング(中国切り離し)」論を更に根深いものにする可能性があります。前述の「コロナウイルス米国犯人説」は米国の中国に対する不信感に火に油を注いでしまったとも言えます。「中国に米国は甘すぎた。中国を経済発展させてやれば、中国も市場経済の恩恵に浴し、自由民主主義の国になるのではないかと期待していたが、いつまで経っても共産党一党独裁が変わらない。」との認識は米国政界で共有されるようになって来ています。米国政府は中国に進出している企業に米国に生産拠点を移した場合、多額の補助金を出すと表明していますし、中国からの研究者、留学生のビザ制限にまで着手しています。
トランプ大統領の再選戦略に黄信号
中国は、様々な手で中国の締め出しを図るトランプ政権の動きに対して、長期戦で応じるという戦略をとっていますが、トランプ大統領は海千山千のタフネゴシエーターですので、相手が一番嫌がる手を打ってくる可能性があります。トランプ大統領は香港問題に手を突っ込んでくる可能性があると思います。ビジネスで相手を動かす際に最も大事なのは相手が一番嫌がる手を打つ事であり、貿易戦争などよりも香港の人権問題が中国のアキレス腱であるとトランプ大統領は睨んでいる様です。
香港問題を巡る闘い
トランプ大統領は今まで香港の問題に関して、たまに触れては来ましたが、本格的に踏み込んできませんでした。ある意味貿易問題と人権問題をトレードしたのだと思います。しかしウイルスの問題は彼の大統領再選に関わってきており、中国に比較的甘かったオバマ政権の失政を突くという作戦に出る可能性は高いと思います。特に民主党の大統領候補がオバマ政権の副大統領であったバイデンになる可能性が高くなっており、トランプ大統領は同氏へ矛先を向ける際に中国問題をハイライトするものと思われます。一方、中国は香港問題とトレードの形で貿易問題に譲歩し、昨年末米国政府と貿易協定に署名しましたが、トランプ大統領が香港問題に手を突っ込んでくる様だと、彼らも黙っていないと思います。今後トランプ政権と中国政府の間で虚々実々の激しい戦いが水面下で繰り広げられるものと予想されます。先日のブログでコロナウイルスの爪痕としてEU崩壊の引き金を引きかねないと書きましたが、米中の覇権争いの大きな火種にもなりかねません。
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