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北朝鮮の後継者争いー伏兵の存在

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後継者争いに伏兵現る

金正恩の後継者争いに関して、英国のBBCに次いで、米国のBloombergが記事を掲載しました。 記事を要約すると次の様になります。

  1. 金正恩の後継者として、北朝鮮建国の父である金日成の息子、金正恩の叔父にあたる金平日が注目されている。金平日は金正恩の父である先代の最高権力者の金正日とは異母弟の関係にある。
  2. 金日成の死後、金正日との後継者争いに敗れた金平日は北朝鮮を離れ、約40年間に亘り、ハンガリーやチェコなど東欧諸国の大使を歴任してきた。昨年、同氏は本国に呼び戻され、軟禁状態にある。
  3. 同氏が一族の中で生き残ったのは、同氏が金正恩の対抗馬には絶対なり得ないとみなされていたからだと推測されるが、ここにきて、後継者の候補として浮かび上がってきた。その理由は彼が金日成の直系の男子だからである。
  4. 「後継者の有力候補である金与正は女性であり、男性優位社会である北朝鮮では彼女では政体がが長続きしないとの懸念あり、一部の有力者が金平日を担ぎ出すのでは。」と北朝鮮から亡命した北朝鮮英国大使館元公使は唱える。
  5. 本国に帰国する直前に大使を務めていたチェコでは当時の外相が「金平日氏は、常に言動に注意を払っていたが、その発言はいつも筋が通っていた。本国より遥かに自由な生活を満喫していた様に思う。」と発言している。
  6. 一方、金平日の可能性をあり得ないと一笑に付す人間もいる。彼がリーダーになれば、現在の政府幹部の多くは飛ばされる運命となる。そんな事はありえないというのだ。
  7. 2017年に金正恩がリーダーに登り詰めた後、彼はライバルになりそうな人間を次々と粛清していった。その中には叔父やマレーシアで殺された兄も含まれる。金平日は帰国後、軟禁状態で厳しい監督下にある。
  8. 米国の元諜報分析官は「金平日が政権内部にパイプを持っている可能性は極めて小さい。一方、金与正は太いパイプを有しており、このパイプが彼女の女性であるという弱点を補う可能性が高い。」と予測する。

 オスマントルコの後継者争い

以上がBloomberg記事の要約ですが、金一族の後継者争いは、その昔オスマン帝国時代のスルタン後継になぞらえる事ができます。オスマン帝国も後継者は長兄にすると決まっておらず、スルタンが死亡すると兄弟間で血で血を争う後継者争いが始まりました。スルタンにはお妃が何人もいますから、母親であるお妃は自分の息子をスルタンにならせるべく、あらゆる手段を使って工作しました。まさに命がけの兄弟喧嘩ですから、当時の宮廷はさぞ殺伐としたものだったでしょう。オスマントルコ帝国の最高の君主として称えられるシュレイマン大帝も後継者争いには苦労しました。最後には自分の長男を死刑に処すこととなり、彼の晩年を暗いものにしています。この辺りは最近日本の衛星テレビで放映されているトルコのドラマ(オスマントルコ外伝〜愛と欲望のハレム・BS日テレ、Hulu等で放映中)をご覧になると良くご理解いただけます。このドラマは世界80カ国以上でヒットしましたが、原題は「華麗なる1世紀」でシュレイマン大帝の一生を描く大河ドラマです。

 全体主義国家での序列

昨日、北朝鮮の国営放送で放映された金正恩の元気な姿を目にしましたが、常に金与正がそばにいる事が確認されました。昔旧ソ連諸国とのビジネスに携わっていた頃、彼らとの会議では席順に随分気を使いました。もちろん日本でも食事や会議の際の席順に配慮しますが、その注意の払い方が尋常ではないのです。ロシア通の先輩から教えてもらったのですが、「全体主義の国家では席順が非常に重要だ。スターリンやブレジネフといったソ連時代のリーダーの横に誰がどういう順番で立っているか良く観察すると、政府内の序列が良くわかる。彼らは自由に席を選べない。序列通りに立たされるのだ。」北朝鮮も同じシステムだと思いますので、国営放送でしばしば金与正が映し出されるのは、ちゃんと金正恩の指示のもと、行われているのでしょう。そういう観点で言えば、やはり金与正が最有力と推察しますが、北朝鮮生みの親である金日成の実子という存在である金平日から目を離す事はできません。

出典https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-04-28/kim-jong-un-s-uncle-suddenly-relevant-after-four-decades-abroad

 

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