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コロナの後に何が起こるかー英国のしぶとさ

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英国のコロナ死者欧州最大に

BBCに依れば、イギリスのコロナ関連死者が遂にイタリアを抜いて欧州最大となってしまいました。イギリスは他の欧州諸国と異なり、当初集団免疫を目指すという手法をとりましたが、その後急速な感染者数の増加を受け、方針を変換しました。この初動のミスがここにきて感染者数に歯止めがかからない原因となっています。ジョンソン首相自らコロナに倒れ、集中治療室に入りましたが、最近職務に復帰しました。イギリスという国はコロナと共にブレグジットという難題を抱えています。既にEUから離脱しましたが、今年の末までにEUとの離脱交渉をまとめ上げなければならないのです。イギリスはEU離脱と共に衰退の一途を辿ると言う方もおられますが、私はそう簡単に英国は弱体化しないと見ています。

戦争に負けない国ー英国

英国という国はあまり戦争に負けない事で知られています。1588年に当時最強を誇ったスペインの無敵艦隊を打ち破って以来、主な戦争にはほとんど負け知らずではないかと思います。負けたのはアメリカの独立戦争と第一次世界大戦の直後不安定だったトルコを占領しようとしたガリポリの戦い位ではないでしょうか。あのナポレオンをもワーテルローの戦いで打ち破っています。(余程嬉しかったのか今でもロンドンの駅の名前に残っています。英語ではWaterlooです。)かなり無茶な戦争を仕掛けた事もありました。歴史の教科書に出てくるアヘン戦争などその際たるものです。アヘンの密売を取り締まりされた腹いせに、戦争をしかけるなど本当にめちゃくちゃですね。彼らが戦争に勝ち続けた理由の一つは徹底したリアリズムだと思います。イギリスの政治家パーマストンは「英国には永遠の敵も永遠の味方もいない。あるのは永遠の国益だけだ。」との名言を残していますが、まさに国益のためには悪魔とさえも組むその現実主義が勝利をもたらしたのでしょう。

インテリジェンスの力

彼らが優れている点はインテリジェンスと国際世論を作り上げる力です。インテリジェンスというのは情報収集及び分析能力ですが、彼らは彼我の戦力を冷静に分析して、負けない戦略を立てます。日露戦争の前に英国は日本と日英同盟を結びます。これはロシアを共通の敵とする軍事同盟なのですが、当時陽が沈まないと言われた大英帝国が極東の小国日本と軍事条約を結ぶ意味があるのかとの批判もありました。しかし英国は日本を助けるために条約を結んだのではなく、ロシアの戦力を東西に分割させるために日本と組んだ様です。実際ロシアと戦って消耗したのは日本軍ですが、友好国を戦わせて実利を得るのも英国のお家芸です。実は英国は日露戦争によってたんまり儲けたと伝えられています。金融界とインテリジェンスは実は緊密な関係にあります。当時の金融界ではロシアに日本が勝つなんて誰も思っていなかったでしょうから、日本は戦費の調達に苦労していました。そこに助け舟をだしたのが、イギリスの金融界でした。主にユダヤ系の金融資本が日本の国債を積極的に購入しました。そして英国は自分たちの軍艦を日本に買わせ、日本海海戦の日本勝利の情報をいち早く入手して、ロンドンの金融市場で一儲けしたわけです。株や国債の価格はたった一つの情報で大きく変わります。例えばコロナのワクチンが開発されたという情報を誰よりも早く入手できれば、ワクチンを開発した会社の株で大儲けできるわけです。ご存知と思いますが、イギリスにはBBCやロイターを始め、世界に名だたる通信社がたくさんあります。イギリス人は情報が金になる事を誰よりもよく知っている民族なのです。ドイツなど工業製品を作るのはうまいですが、世界的な通信社は存在しません。

英語で繋がる旧植民地

英国の強みはもう一つあります。英語です。英語を母国語とする事は、インターネットの普及により益々有利になりました。また英語で過去の植民地とも繋がり、現在もコモンウェルスという緩い連合体を作っています。今後高度成長が見込まれるインドもその中に入っています。イギリスの旧植民地の人々は今でも英国を尊敬しており、金持ちの子息は英国の大学に留学する事が多いです。この辺りフランスと比べてイギリスの方が旧植民地との付き合い方が上手に感じられます。

米中対立の行方を左右する英国

現在コロナの起源を巡って米中対決が巷を騒がしていますが、トランプ大統領がいくら騒いでも米国だけでは国際世論になりにくいですが、これに英国が加われば話は変わります。但し、英国も中国の金を預かってたんまり儲けていますので、簡単には米国の肩を持たないと思います。まさに「永遠の敵も味方もいない。あるのは永遠の国益だけだ。」を地で行くのが英国です。しばらくは高みの見物をしながら様子を見る事でしょう。英国は今も昔もしたたかです。

 

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