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失われた30年 失敗を許容しない日本

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歴史を学んだ投資家

ジム ロジャーズさんと言う投資家がいます。彼は投資の神様ウォーレン バフェット氏ほど有名ではありませんが、ジョージ ソロスと組んだクォンタムファンドで記録的な利益を出した事で有名な投資家です。彼の新著「危機の時代」を読んでなるほどと思える部分があったので、ご紹介したいと思います。

彼はアメリカの片田舎で育ちましたが、奨学金を得てイエール大学と英国のオックスフォード大学で学んでいます。専攻はなんと歴史学です。この経歴ちょっと変わってますよね。普通偉大な投資家と言えば、経済学部を想像しますが、彼は歴史が専攻なんです。

彼は「歴史はかならず繰り返す。全く同じ繰り返しではないが、注意深く観察すると次に起こる事が予想できる」と言うんです。

実際、彼はリーマンショックを予見しています。リーマンショックの直前は米国経済絶好調だったので、金融危機が起きると言うロジャース氏の予言を聞いて誰も信じませんでした。

中には「ロジャーズは気がふれたんじゃないか」と悪口を言う人さえいました。しかし金融危機は彼の予言通り訪れました。歴史を勉強すると言うのはやはり大事なんですね。

失敗を許容しない日本

ロジャーズ氏は新著の中で、日本には失敗を許容しない文化があると述べています。

平成の失われた30年の間、リーマンショックを初めとして幾つか金融危機が訪れましたが、その度に日本は倒産しかかった銀行や会社を倒産させずに、生きながらえさせました。

一方、米国はリーマン ブラザーズの様な大銀行でさえ、倒産させました。結果どうなったかと言えば、米国の株価はリーマンショック後からコロナショック前の最高値まで3倍になり、日本はと言えば、バブル崩壊前の最高値(約39,000円)から大きく低迷しています。

要するに日本は時代遅れのゾンビ企業にカンフル注射をして存続させましたが、アメリカは自立できない会社は倒産させ、GAFAに代表される様な新興勢力がイノベーションの力で台頭してきたと言う訳です。

シュンペーターの唱える「創造的破壊」が資本主義の本質だとすると、日本は倒産を恐れるがあまりに、新陳代謝を怠ったという事になります。

平成元年の世界時価総額ランキングではトップ50社の内、首位のNTTを初め、半数以上が日本企業でしたが、平成30年には何とトヨタ一社になってしまいました。

昔、Japan as No.1と言われた日本は確実にその地位を失いました。世界の個人所得ランキングでは日本は26位に沈んでおり、28位の韓国に肉薄されています。(2018年調べ)

失敗を恐れる日本人

かくいう私も小さい時から無意識に失敗を恐れていた様に思います。

先生が座席順に前から質問する様な場合、自分が当てられそうだと思われる質問を先回りして解く事に心が奪われ、先生の説明など上の空だった事を覚えています。

失敗する事を恥と思うこの気質は、幼少期から養われたものだと思いますが、資本主義の世界では足かせとなります。

事業を興して、最初から成功するする人なんてほんの一握りです。米国では億万長者の殆どが一度は破産を経験しているそうです。あのウォルト ディズニーもその一人だそうですが、企業家は失敗を重ねながら経験し、最終的に大成するものだそうです。

日本人は、破産、倒産したらもう立ち直れないとの恐怖が先に立ち、なかなか起業に踏み切れない。このマインドセットを変える必要がありそうです。

それでは、これから日本を支えていく若い人はどうれば良いのでしょうか。

ロジャーズ氏は少子高齢化が急速に進む日本は大きな成長が見込めず、若い人には海外移住を勧めると語っていますが、私はやり様によっては日本はチャンスがあると思っています。

一億人を超える先進国というのは米国を除くと未だ日本しかないのです。しかし今までのマインドセットで令和に臨めば、成功はおぼつかないでしょう。

若い人のチャレンジを促す構造改革、それを引っ張る強力なリーダーが必要となります。リー クアンユーがシンガポールを繁栄に導いた事はよく知られていますが、日本にも令和の新しいリーダーが待望されます。

令和のリーダーの必要性

都知事選にホリエモンこと堀江貴文さんが出馬を検討していると報道されていますが、彼が発表した東京都の改造計画はなかなか面白いですね。

都の職員は90%テレワークにして、都庁の建物は売却するとか現金使用禁止令を出すといったアイデアは、今後の日本をデザインする上で非常に興味深いと思います。

堀江さんの主張には実現不可能と思われる部分が多いので、出馬しても現職の小池さんに敵わないと思います。しかしチャレンジ精神は尊ぶべきと思います。

堀江さんはライブドア事件で2年6ヶ月の実刑判決を受け、服役しています。前科者が東京都のトップになったりすれば、日本人は失敗を許容しないと思っているロジャーズ氏の様な外国人投資家も、日本を見る目ががらりと変わる事になるでしょう。