台湾総統のBBCインタビュー
台湾総統の蔡英文さんのBBCインタビューを見ましたが、いやはや彼女は才媛ですね。あれほど見事な英語でインタビューを受けられる政治家は日本には殆どいないと思います。
調べてみると台湾大学卒業の後、英国のロンドンスクールオブエコノミクスで法学博士号を取得しています。折り紙付きの秀才ですね。
彼女はインタビューの中で、台湾の主権について、「我々はすでに独立国家であり、主権をあえて宣言する必要はない。」と静かに語っています。中国への対抗心をあからさまにはしませんが、毅然とした態度で中国の主張する一国二制度論には乗りませんよと主張している訳です。
彼女はここ数年で状況は変わったと答えています。中国の軍艦や戦闘機による威嚇行為が頻繁に行われ、一国二制度下にある香港の民主活動家が中国の弾圧を受けている中で、国民の意識が変わり、中国の脅威は本物だと認識する様になったと語っています。
新冷戦の始まり
台湾は米中間で始まった新冷戦の中で、改めて注目を集めていますが、今後米国は中国の押し進める台湾、香港への圧力並びに中国国内のウイグル自治区やチベット自治区における少数民族への弾圧を厳しく批判していく事になるでしょう。
最近のトランプ大統領の発言を見ていると、コロナウイルス 拡散における中国の責任を厳しく問う姿勢を強めています。当然、11月の大統領選挙を意識していると思いますが、そもそも中国との対立は昨年から始まっていました。
巨額の輸入関税を中国製品にかける事から始まり、最近ではHuaweiの5Gにおける急速な世界シェア拡大に対する対抗策を打ち出すなど、米国は中国の台頭に相当神経質になっていました。
これは単なる貿易戦争ではありません。やはり世界ナンバーワンの座を争う覇権争いとみるべきと思います。
コロナが大統領戦の争点に
そこへきてコロナの感染拡大により、世界中特に米国では10万人に上る死者が出る事になってしまいました。
米国政府の対応のまずさも一因としてあると思いますが、やはり昨年末から今年初めにかけての中国の透明性のなさが、世界的感染を引き起こした事は否めません。
トランプ大統領はこれから大統領選に向けて、中国への批判を更にエスカレートしていく事でしょう。
バイデン民主党大統領候補はトランプ大統領から中国よりの発言を批判されていますので、今後「中国」が大統領選の主要争点になる事は間違いありません。
大統領が誰になるかが、今後の対中政策にも大きな影響があると思いますが、米国国民が中国に厳しい眼差しを向けている事は、世論調査の結果を見ても明らかですので、今後は大統領に誰がなっても、新冷戦は継続すると見た方が良さそうです。
対中制裁エスカレートの可能性
もしトランプ大統領が続投となれば、関税などど生やさしいものではなく、金融制裁にまで踏み切る可能性があります。
金融制裁というのは、現在、イランなどに対して科されていますが、相当効果があります。単にドルが決済通貨として使えなくなるだけじゃないか、ユーロや円で決済すれば問題ないじゃないかと、当初私も思っていたのですが、実はそうではないんです。
米国が金融制裁をかけると、例えばイランとビジネスをした企業や銀行に対して、米国政府がその企業に制裁金をかける事になるのです。実際にイランとビジネスを行ったとして、フランスの大手銀行ソシエテ ジェネラルが一兆円にも上る罰金を払わされています。
これはびびりますよね。実際、どこの銀行も企業も米国の制裁が怖くてイランとビジネスをしなくなりました。他国の企業の第三国における行為を罰するというのは米国だけですが、皆、米国には逆らえないんです。
今後、米国は世界ナンバーワンの地位を守るために、金融制裁まで踏み込んでくる可能性があります。昔の冷戦は相手がソ連でしたが、今度は中国です。相手が誰であろうと、相手が参ったと言うまで、手を緩めないのが米国ですので、今回も徹底的にやるでしょう。
米中のデカップリング(お互いの経済関係を切り離す)が始まると言われていますが、まさに新冷戦時代の到来です。
新冷戦で得をするのは誰
さて、この新冷戦で誰が得するでしょう。それは日本です。
歴史をひもとけば、過去の冷戦も日本にとっては神風でした。第二次世界大戦後、米国は日本の弱体化を当初考えていましたが、冷戦の勃発とともに、日本を貴重な同盟国として扱い始めました。その上、朝鮮戦争で特需が発生し、日本はあっという間に戦後復興を果たしました。
今回の新冷戦も新たなチャンスを日本に与えると思われます。米国が中国と対立するとなると、アジアに有力な同盟国は日本しかありません。韓国は中国に近すぎます。米国企業はアジアの拠点を中国から日本に移す事を検討するでしょうし、香港もアジアの金融ハブの地位を東京に譲るかもしれません。
これは千載一遇のチャンスです。少子高齢化、中国の経済発展により埋没しつつあった日本に再び神風が吹こうとしているのです。
しかしこの神風を掴むためには、日本は今のままではいけません。変化しなければならないと思います。思い切った規制緩和、構造改革で自らを変える努力をしなければ、外国企業はシンガポールやソウルを選んでしまうでしょう。今がチャンスです。素早く行動を起こす必要があります。
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