コロナ退治に成功した国の共通項
コロナ退治に成功した国を挙げると、台湾、韓国、ドイツ、イスラエルと言ったところでしょうか。
これらの国には一つ共通点がある様に思います。常に隣国からの侵略の脅威にさらされている国だという事でしょう。
台湾は中国に、韓国は北朝鮮に、イスラエルはアラブ諸国にいつ攻撃されてもおかしくありません。
ドイツは違うじゃないかとの声が聞こえてきそうですが、ドイツもついこの間まで東西に分裂していました。まさに冷戦の最前線だった訳で、東西ドイツにはそれぞれ敵陣営のスパイが多数侵入していたと思います。
そういう状態だとスパイや反政府分子をあぶり出す、或いは追跡するためしっかりした保安組織が作られているのです。そういう体制の名残りが今回のコロナ対策に役立った可能性があります。
昔、東ドイツには泣く子も黙るシュタージという秘密警察があり、彼らが国民を監視していました。このシュタージを描いたドイツ映画「善き人のためのソナタ」(原題:Das Leben der Anderen)を最近観ましたが、当時の東ドイツの国情を良く描いていて印象に残る名画でした。
この映画の中で、シュタージの若手職員が小話を披露する場面があります。
ハイネッカー書記長(東独の独裁者)がお日様に対して「おはようございます。お日様。」と挨拶します。これに対してお日様は「おはよう。ハイネッカー。」と答えます。
お昼頃にハイネッカー書記長はお日様に「こんにちは。お日様」と挨拶します。お日様は「こんにちは。ハイネッカー」と答えます。
夜になって「こんばんは。お日様。」とハイネッカーが挨拶すると、お日様が答えません。お日様は西側に行っちゃったのです。
笑えない小話
これ良くできた小話ですが、こういう小話はアネクドートと呼ばれて、東ドイツだけでなく、広く共産圏で親しまれていました。
私は旧ソ連時代からロシアに良く行きましたので、彼らと宴会になると、いつもアネクドートを聞かされました。
アネクドートは通訳泣かせでした。ロシア語の通訳が悪いのではなく、ロシア人が置かれた環境とか文化を理解していないとわからないユーモアが数多くあったのです。
通訳から「座が白けない様に、これ面白くなくても笑ってください。」と頼まれた事何回もあります。例えば、次の様なものです。
世界で初めて宇宙飛行をしたガガーリンの帰還を祝うパーティーにロシア正教の総主教が参加しており、ガガーリンに尋ねた。
「宇宙を飛んでいたとき、神の姿を見たか?」
「見えませんでした。」
「わが息子よ、神の姿が見えなかった事は自分の胸だけに収めておくように。」
暫くしてフルシチョフ書記長がガガーリンに同じことを尋ねた。総主教とのやり取りを覚えていたガガーリンは自信を持って答えた。
「見えました。」
「同志よ、神の姿が見えた事は誰にも言わないように。」
笑える小話
これは、共産主義が宗教を認めていなかった事、ロシア正教が共産党の弾圧に苦しんでいた事を知らないと笑えません。でも中には日本人にも腹を抱えて笑えるアネクドートが幾つかありましたので、ご紹介します。
その1
モスクワの赤の広場で「ブレジネフ書記長(当時の独裁者)は馬鹿だ。」と叫んで捕まった奴がいるそうだ。
そいつはなんで捕まったんだ。侮辱罪か。
いや、国家機密漏洩罪らしい。
その2
21世紀の末にタイムスリップしたら、既に人間の様々なパーツが売りに出されていた。店主に「俺は頭が悪いので、脳味噌を取り替えたい。いいの紹介してくれ。」と頼んだ。
店主はそこにある脳味噌を指した。「これノーベル賞を獲得した学者の頭脳です。」
値段はと聞いたら「10万ドルです。」と答えた。
「もっといいのはないか。」と尋ねたら、「わかりました。これが最高です。エジプト軍の指揮官の脳味噌です。」いくらだと尋ねたら、「100万ドルです。」と答えた。
「ノーベル賞を取った学者が10万ドルで、何故エジプト軍の指揮官が100万ドルなんだ。」店主は答えた。「こちらは一度も使われておりません。」
ユダヤ人に関係する話が多いのもアネクドートの特徴です。ロシアにおいても厳しい差別や弾圧にさらされた彼らがうさを晴らすのが、アネクドートだったのかも知れません。
ロシアの夜の過ごし方
ロシアの夜は長いです。宴会ではテーブルを囲んだ人たちが一人ずつアネクドートを披露していき、アネクドートが終わるたびにウオッカの乾杯が行われます。
日本の様にちびりちびり楽しむという習慣はありませんので、一気にぐい飲みしないといけません。テーブルに10人いれば10杯飲む勘定になります。
ロシア通の作家、佐藤優さんがロシア人と本当の友人になるには酒飲みでなくてはならないとおっしゃていましたが、まさにその通りです。
ウオッカというお酒は美味しい酒ですが極めて危険で、急に足元にきます。ロシア人との宴会に呼ばれた際には、アネクドートが始まる前に、出来るだけ目の前の前菜を胃袋につめこんで置く事をお勧めします。
空きっ腹で乾杯合戦に参加するとあっという間に酔っ払い、面白いアネクドートを聞くチャンスを逃しますので、お忘れなく。
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