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イーロン マスクが有人宇宙飛行の先に見るもの

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イーロン マスクが偉業を達成

イーロン マスク氏は、電気自動車テスラで世界を席巻した時代の寵児とも言うべき人物ですが、今回の有人宇宙飛行の成功は、改めて、彼の先見性と実行力を裏付けたと思います。

1957年に初めての人工衛星スプートニクがソ連によって打ち上げられ、そしてガガーリンが人類で初めて有人宇宙飛行を行った事が、アメリカのライバル心に火を付けました。

それからと言うもの、アメリカは、大金を投じて、宇宙事業を行いましたが、ここ10年は、全く下火になっていました。

何故でしょう。宇宙事業には巨額のお金がかかるのですが、投資に見合うほどのリターンが見込めなかったのです。

月に行った処で、月の石はただの石ころですから、国民の税金を投下し続ける事が許されなくなったわけです。

NASAはピーク時、政府予算のの5%近くを使っていたと言われています。これは長続きしませんね。

ここ10年ほどは、ロシアに頼んで、国際宇宙ステーションへ宇宙飛行士を運んで貰っていました。

アメリカの宇宙産業も風前の灯火かと思われていた時期もあったのです。

イーロン マスクが変えたもの

そこへ登場したのが、イーロン マスクです。スペースXと言う会社を立ち上げ、ついに有人宇宙飛行に成功です。

何故、彼は宇宙事業に参入したのでしょうか。

アメリカの国益を代表してロシアに挑んだわけではありません。もはや冷戦の時代ではありませんし、マスクは根っからのビジネスマンです。

彼は宇宙関連ビジネスの可能性を信じているのです。

彼が宇宙事業にもたらしたのは、破壊的なコストダウンです。

普通のロケットエンジンは50億円以しますが、今回彼が使ったエンジンは自社開発で、一億円程度で作られていると言われています。

コストが高いかゆえに、米国政府は宇宙事業を縮小せざるを得なかった訳ですが、これだけ破壊的なコストダウンが実現されれば、話は変わってきます。

その目玉は、ZOZOの前澤さんが大金をはたいて実現しようとする、有償宇宙飛行でしょうか。どうもそれだけではなさそうです。

これだけ打ち上げコストが下がってくると、様々な用途に衛星が使える様になります。既にマスクは、大量の小型衛星を宇宙空間にばら撒いて、地上に電波を送り、移動通信網を構築しようとしています。

多数の小型衛星で、地球全体を覆い、気象変化を予測したり、AIに宇宙から撮った膨大な数の写真を解析させる事により、新しいサービスを生み出す様な使い方も実用化が始まっている様です。

一方、太陽系の惑星探査が一気に進む事も考えられます。地球に近い小惑星の一つは直径3キロメートルほどですが、金やプラチナが豊富に埋蔵されていると予測され、その価値は750兆円に達すると言われています。これから宝の山ならぬ宝の星探しが活発化しそうですね。

イノベーションの裏には常に天才的技術者

それにしても、マスクは何故これだけのコストダウンを達成できたのでしょうか。

その秘密は、一人の天才的科学者が握っている様です。

マスクのエンジン開発を主導したエンジニア、トム ミューラー氏は、それまでの常識を覆す技術開発を行い、マスクの偉業達成を陰で支えた様です。

いい話ですね。物事が急速に進化する際には、常に技術的なイノベーションがあります。

マスクは毀誉褒貶の激しい人物ですが、ミューラー氏の様な天才的な科学者を見出し、彼らの能力をうまく引き出す能力に長けている様です。

NASA時代のアメリカの宇宙開発を推進させたのも、ドイツ生まれの天才科学者ォン ブラウンでした。

彼は、第二次世界大戦時は、ヒットラーお気に入りのエンジニアで、世界で初めて、長距離弾道ミサイルの開発に成功しました、

彼が開発したV2ロケットは実戦でも使われ、ドイツから発射されるミサイルは、ロンドン市民を恐怖に陥れました。

もし、ナチスが米国より先に原子爆弾の開発に成功していれば、V2ミサイルに搭載されたはずで、そうなれば、戦争の結果も変わってしまったかもしれません。

ドイツが降伏した際に、米国もソ連も、ブラウン氏の様なドイツのミサイル技術者を血眼で探したそうです。

ブラウン氏は運良く、米国に保護され、その後、米国のアポロ計画で中心的役割を果たすことになります。

時代は変われど、天才科学者によるイノベーションが宇宙開発を前進させているんですね。

これから、マスクの宇宙事業がどのように展開するか、興味が湧きます。

ロシアや中国は、安全保障の観点からも、政府主体の開発が続くでしょうが、マスクが民間の力を結集して、世界をあっと驚かせる様なイノベーションを起こしてくれる事を期待します。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。