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中国の泣き所を分析する米国

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中国の弱点を分析する米国シンクタンク

昨年からの貿易摩擦に引き続き、今年になってからはコロナ感染の拡大もあって、米中間の覇権をめぐる争いは激しさを増しています。

そんな中で、米紙ウォールストリートジャーナルが、中国の弱点及び中国に対する効果的な対処法に関して、興味深い記事を掲載しました。

こういう記事を読むと、アメリカには、長期的な国際戦略を研究するシンクタンクがいくつも存在する事を、改めて認識させられます。かいつまんで記事をご紹介しましょう。

 中国の弱点
  1. 中国は研究開発の資金源となる貯蓄率の高さを誇りますが、その人口は急速に高齢化しています。ハイテク産業で技術フロンティアに到達できなければ、中国は未来を支配するどころか、大量の退職者を支える為に、巨額債務の借り換を続けざるを得ません。
  2. 中国は、自国のハイテク産業を自立させるために躍起になっていますが、未だ多くの分野で自立できていません。
中国との貿易戦争を通じてわかってきた事

昨年からの貿易摩擦を通じて、中国について、次の様な事がわかってきました。

  1. 一方的な広範囲の関税措置は効果がありません。中国の商品は他国に流れてしまいます。同盟国との、国際的な通商協定の方が効果があります。
  2. 急速な中国とのデカップリングは、大きな経済コストを招きかねず、武力衝突の危険性もはらみます。
中国に対する効果的な対抗策
  1. 戦略国際研究所が昨年行った貿易戦争のシミュレーションに依れば、中国に対する最も有効な交渉戦略の一つは、技術輸出を断ち切る事です。(同盟国と協力すればより効果的)
  2. また、中国に対して経済戦争によって生じる経済コストを、米国が吸収する断固たる決意を示す事です。
  3. ハイテク産業を支えるR&Dや数学教育に資金をつぎ込む事。
  4. 中国を除外した地域通商協定を作り上げる事で、サプライチェーンを多様化し、友好国との絆を強化する事。
中国の武力行使を抑止する方法

一方、中国を拠点とするサプライチェーンを多様化するのではなく、排除する様な動きは、好ましくありません。

というのは、アップルのサプライチェーンで働いている大量の中国人労働者は、次第に好戦的な姿勢を強める中国が、武力に訴える事を思いとどまらせる抑止力になるかもしれないからです。 

中国がどういう場合に武力行使するかについても、米国では詳細に研究されており、その結果は下記の通りです。

  1. 経済的コストが低い。
  2. 中核的な安全保障問題であり、自らの決意を示す必要がある。
  3. 相手が他の主要国から支援を得る可能性が低い。

その一例が、1995年に行われた、フィリピンが領有権を主張する南沙諸島の中国による占拠でした。

米シンクタンク、ランド研究所が台湾との仮想上の紛争を、2015年に分析した際には、米国がまだ優勢を占めるものの、勢力バランスは急速に変化している事がわかりました。

将来、軍事衝突を回避できるかどうかは、米国の軍事力のみならず、中国に多大な経済的損失をもたらせるか――そして米国主導の経済制裁措置に同盟国が積極的に従うかどうかにかかっているでしょう。

今後の展望

以上が、ウォールストリートジャーナルの要約ですが、改めて、中国の少子高齢化が中国の泣き所である事を認識しました。

長く続けた一人っ子政策が招いた必然的な結果ですが、今後これが中国のアキレス腱になる可能性があります。

下記のグラフで、中国の老人人口の推移を表示しましたが、30年後には何と5億人の中国人が60歳以上になるという結果が出ています。

やはり日本とは桁が違います。中国としては、その前に覇権を握るべく、最先端技術の習得に余念がないところでしょう。

ハイテク技術は軍事面での覇権につながりますので、これから米国は最先端技術の中国への移転に神経を尖らせる事になるでしょう。

東西冷戦時代にはココムと呼ばれる対共産圏輸出統制委員会があり、ソ連を初めとする東側諸国へのハイテク技術輸出が厳しく制限されていました。

東芝機械が工作機械をソ連に輸出し、これが潜水艦のスクリュー音を小さくする為に使われたと言う事で、東芝製品が米国でボイコットにあった事も思い出されます。

今後似た様な事が起きるかもしれません。歴史は繰り返します。

 

最後までお読み頂き、有り難うございました。