トランプ大統領遂に「香港自治法」に署名
トランプ大統領が中国の金融機関を制裁対象とできる「香港自治法」に署名しました。
この法律に関しては、以前のブログでも取り上げましたが、トランプ大統領は人権問題に関心が薄いので、どうするかなと思っていましたが、遂に署名に踏み切りました。
やはり中国による「香港国家安全法」の強引な導入が分水嶺になった様です。
中国が拙速に導入を図ったこの法律が、米国やその同盟国の結束を固める事に繋がってしまいました。
英BBCが伝えるトランプ大統領記者会見
昨日行われたトランプ大統領の公式発表については、世界各国のマスコミが取り上げていますが、BBCがわかりやすく纏めていますのでご紹介したいと思います。
トランプ大統領の発言骨子
- これまで付与してきた香港への特権を停止する。もはや香港は中国本土と変わらない扱いとなる。
- 議会からの超党派の提案であった「香港自治法」にも署名した。この法律により香港の自治をだいなしにした個人や銀行に制裁を加える事が可能になる。
- 習主席と対話する予定はない。
- 中国にはコロナウイルス に関する情報を隠蔽し、その間に世界中にコロナを拡散させた責任がある。
- バイデン前副大統領とオバマ前大統領は、中国に我々の工場を略奪させ、重要な企業情報を盗む事を可能にした。
実際どの様な影響があるのか
香港の特別な地位の剥奪はどの様な意味があるのか、現在香港に進出している企業は詳細調査中です。
香港は再輸出のハブでしたので、これまで中国から香港経由で米国に輸出される商品は高い関税を免除されていました。
香港の特別な地位が剥奪されれば、中国の会社は別の輸出方法を考えるでしょう。
あるコンサルタントは、香港は地理的な位置、低い法人税率、為替調達の容易さ等で優れており、香港は引き続き輸出港として機能すると言いますが、これは正しいとは限りません。シンガポールや中国本土に機能が移る可能性があります。
米中関係は今後どうなるのか
最近、米中関係は悪化の一途を辿ってきました。
月曜日に、トランプ政権は中国の南シナ海での領海権主張は違法だと発表しました。
先週、新疆ウイグル自治区における人権侵害に関与した中国当局者に対する制裁を発表しました。
中国に近いと批判される世界保健機関(WHO)よりの脱退も米国政府は先週発表しました。
トランプ大統領とバイデン候補は相手がが如何に中国に弱腰かを非難しあっています。
トランプ政権の次の一手は
以上のBBCの報道を読むと、中国政府の「香港国家安全法」の強引な導入は、米国のレッドラインを踏んでしまった様で、トランプ政権も矢継ぎ早に中国制裁の手を繰り出すに至りました。
中国は虎の尾を踏んでしまったわけで、取り返しのつかない失策だと思います。
トランプ大統領は心の中では迷っていたと思います。
出来るものなら中国とは決定的な対立は避け、中国との貿易交渉で得た成果をアピールしながら大統領再選に結びつけようと思っていた筈です。
中国との本格的対決は、米国の株価に悪影響を及ぼしますので、経済を生命線としているトランプ大統領としては避けたいシナリオだったのです。
しかし、香港国家安全法の強引な導入で国内外の世論が沸き立ち、議会では満場一致で「香港自治法」が可決され、トランプ大統領としては弱腰を見せられない状況に追い込まれました。
そして、今回の決断に至ったのですが、こうなるとトランプ大統領は後に引くわけにはいきません。
中国に対して更に厳しい姿勢を示し、中国に甘いバイデン候補との差別化を図る作戦に出ると思います。
今、次の一手として考えれらているのは、中国に対する金融制裁と言われています。イランに対する経済制裁に使われている手ですが、これはかなりの劇薬です。
中国銀行や中国工商銀行など中国のメガバンクがドル決済から排除されれば、彼らは貿易決済もできなくなりますし、中国が進める一帯一路に必要なドル資金の調達も不可能となります。
この金融制裁は中国に大きなダメージを与えますが、中国はイランと比べると世界経済における比重が比べ物になりませんので、世界の金融システムにも大きな影響が出ることが確実です。
この伝家の宝刀をアメリカが抜くかどうかが今後の焦点です。
私はタイミングはもう少し先、大統領選の直前になるのではないかと思いますが、トランプ大統領がこの伝家の宝刀を抜くのではないかと見ています。
バイデンが大統領になれば、中国に対して融和的になるのではと思われる方も多いと思いますが、香港自治法が議会の満場一致で可決された事からもわかる様に、現在米国は保守からリベラルに至るまで中国に対して厳しい姿勢に変わっています。
彼の選択肢も、かなり限られてくると思います。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。