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コロナの後は水不足に悩まされるフランス

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7月のフランスは降雨量殆どゼロ

今年の夏、日本は大雨に悩まされました。球磨川の氾濫は豪雨災害の恐ろしさを見せつけられました。

豪雨災害に悩まされたのはお隣の中国も同様です。

揚子江に位置する巨大な三峡ダムが氾濫するのではないかとの憶測が広がる程、今年の中国の雨量は多かった様です。

 

一方、フランスでは全く逆の現象が起きている様です。

7月は全くと言って良いほど、雨が降らなかった様です。

フランスはご存知の通り、欧州随一の農業国ですから、本来水資源は豊富です。

アルプス山脈、ピレネー山脈から流れ出すローヌやセーヌといった大河は中央部の大平原を潤してきました。

皆さんにも馴染みのあるエビアンペリエといったミネラルウォーターはフランス産であることからも、同国の水資源が豊富な事がお分かり頂けるでしょう。

今年の水不足に関して、フランスの経済紙「Les Echos」が記事を掲載しましたので、かいつまんでご紹介したいと思います。

Les Echosの記事要約

7月中、フランス全土で殆ど降雨が見られませんでしたが、この水曜日漸く雨が降りました。

しかし、この程度の降雨では、数日前までフランスを覆い尽くした酷暑を抑えてくれるものにはなりません。

穏やかな春が終わってからというもの、フランスは信じられない暑さが、つい数日前まで続きました。

2017年と2019年の夏と同じ様に、河川の水位は低下しています。

77の都市、これは全体の4分の3の都市部に相当しますが、水の制限を実施しています。

CreuseとHaute-Vienneの両地域では、農業用水を含め、特別な用途(医療、公安、飲料水)を覗き取水が許可されていません。

海岸沿いの南西部と北西部を除いて、現在取水制限から解放されている地域はありません。

2019年の干ばつと違い、地下水量はそれほど減少していませんが、それでも深刻な影響が出始めています。

農業では穀物生産や家畜の収量を減少させます。

「大規模な農地を持つすべての農民が苦しみ、牧草地を持つすべての農民が苦しみ、対応する必要があります」と、全仏農民組合連盟( FNSEA)の会長であるクリスチアンヌ・ランベー氏は語っています。

 

農業ほどではありませんが、ダムの水位の低下は、発電量の低下をもたらすでしょうし、林業では森林火災の危険が高まっています。

観光業でも、既に二つのキャンプ場が山火事で閉鎖になるなど影響が出始めています。

フランスの干ばつから読み取れるもの

フランスは欧州随一の農業国ですので、降雨は非常に重要です。

専門家は、フランスでは以前10年に一回であった干ばつの頻度が、ここ4年で3回(2017、2019、2020)となった事を問題視しており、気候変動との関係が取り沙汰されています。

今年の降雨量の減少はマイナス16%から23%にも及ぶと予想されており、これは農業に極めて深刻な影響を与えます。

 

専門家は、フランスはもはや水が無尽蔵にある事を前提とした水利法から脱却しなければいけないと主張しています。

今までは、好きな時に好きなだけ水が得られるというのがフランスの常識でしたが、そうで無くなってきている様です。

 

欧州を旅行し、フランスの中央部に位置する広大な田園地帯を訪れられた方も多いと思いますが、本当にフランスは素晴らしい気候と豊かな大地に恵まれた国です。

フランスの牛や羊が美味しいのは、彼らが栄養豊かな牧草を食べ、暑くもなく寒くもない素晴らしい気候の中で、ストレスフリーで育っているからだと聞いた事がありますが、まさにフランスはそんな国です。

しかし、どうも農業大国フランスにも異変が起きている様です。気候変動というのは本当に怖いと思います。

フランスに雨が降らなくても、地球上のどこかに雨が降るのだから問題ないのではとおっしゃるかもしれませんが、本来雨が降るべき処に雨が降らなくなれば、農業生産量は激減します。

誰もすまない海や砂漠に雨が降っても、農産物は生産できないのです。

ダムもある地域に一定の降水量がある事を前提に建設されています。

フランスが今体験している現象が世界中でで起きるとなると、事態は深刻です。

やはり国際的な対策が必要と思われます。

 

今年のフランスにおける酷暑、少雨は一つだけ良い事を持たらすかもしれません。

統計上、フランスのワインは酷暑、少雨の年に良いワインが生まれると言われています。

今年のワインは当たり年になる可能性があります。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。