モーリシャスってどんな国
モーリシャスの日本船座礁事故については、海外のマスコミでも大きく取り上げられています。
モーリシャスはインド洋に浮かぶ島国ですが、過去の歴史を調べると、欧州の国々の植民地であった事がわかりました。
1638-1715 オランダ植民地
1715-1810 フランス植民地
1810-1968 英国植民地
1968 英国連邦の一国として独立
こんなインド洋の離れ島でも、欧州列強の勢力争いが繰り広げられていたんですね。
オランダ植民地時代は、インドへの航海上の補給拠点として位置付けられていたのですが、フランス植民地時代にサトウキビの栽培が始まりました。
英国の植民地になった後も、フランス人のサトウキビ農園主はこの島に残ったため、フランス語が英語より使われる状況が続いたそうです。
現在、フランス語が学校で英語と並んで必修科目となっており、これとは別にクレオール語というフランス語系の現地語が使われている様です。
クレオール後は話し言葉主体なので、ビジネスでは主にフランス語が使われている様です。
国民の一人当たりの所得は1万1千ドルを超えており、アフリカで2位です。意外に高いですね。
独立後にサトウキビのモノカルチャー経済を脱し、繊維業や観光業で外貨を獲得し、豊かになった様です。
年間の温度差が4度程度しかなく、まさに熱帯の楽園です。空気の清浄度も世界第二位との事で、素晴らしい環境ですね。
観光業はGDPの15.8%を占める重要産業で、主に欧州のバカンス客が多く訪れます。
中でも2割以上を占めるのがフランス人で、彼らはこの熱帯の楽園で長期間のバカンスを楽しんでいる様です。
訪問客の平均滞在日数が10日を超えているんですよ。
中には1−2日のビジネス目的の旅行客もいる事を考えれば、バカンス客は2週間以上滞在する事が予想されます。羨ましいですね。
座礁事故の原因は
そんなインド洋の楽園で、今回座礁事故がおきました。
事故原因に関しては、Wifiに繋げるために島に近づきすぎたのではないかと、14日付の朝日新聞デジタルは伝えています。
私も1週間程度の船旅をやった事がありますが、船旅の欠点は通信環境が悪い点です。
日頃スマホで電話したり、ネットサーフィンできているのは、よく考えれば地上の中継局からの電波を受けているからです。
海上には電波は飛んでいませんので、航海に出ると、突然スマホの画面にアンテナが立たない事に気付きます。
もちろん大きな船は衛星を使った通信環境を備えていますので、ネットを使うことは可能ですが、衛星経由の通信は極めて高価です。
今回の場合、輸送船ですので、船員に衛星を使ったプライベートな通信は許されてなかったと思います。長い航海を続けていると、島に近づきたくなる気持ちは分かります。
今や日本の船会社の船員はほとんど外国人です。
今回事故を起こした「わかしお」の乗組員もインド人の船長始め、スリランカ人、フィリピン人等であったと報道されています。
真相はこれから究明されますが、イーロン マスクが推進している様な多数の小型衛星による通信環境が整い、海の上でも通信できる様になれば、同様な事故が防げるかも知れません。
英仏の報道
今回の事故に関しては、旧宗主国の英仏がすかさず反応しました。
仏紙Les Echosは次の様に報道しています。
「真っ二つになった日本の貨物船から流れ出た油はモーリシャス島の隣にある仏領レユニオン島に到達する危険性があります。
フランス政府は今回の事故に関して、真っ先に支援を行い、ポンプ設備や油防止フェンスを送り届けました。
懸命な油回収作業により、かなりの油を回収できましたが、1000トンの重油と200トンの軽油分が流れ出たものと思われます。これは観光が主産業であるモーリシャスの経済にかなりの被害を与えるものと思われます。」
英放送局BBCは次の様に伝えました。
「『わかしお』から流出した重油は、過去の事例と比べると量が比較的少ない――。複数の専門家がそう指摘している。それでも、サンゴ礁や島の南東部の海岸に及ぼした打撃は甚大で、影響は長期にわたるという。
沖合で起きた過去の流出事故と異なり、今回は環境保護の対象となっている2つの海洋生態系と、国際的に貴重な湿地帯である自然保護区ブルー・ベイ・マリーン・パークの近くで起きた。
つまり、流出の量よりも場所が、環境への深刻な影響という意味で、大きな懸念材料となっているのだ。」
過去にも船舶から油が流れ出た事故は多くありますが、今回の場合、事故が起きた場所が大変まずかったという事が言えるでしょう。
BBCは次の様にも伝え、生態系への影響にも触れています。
「サンゴ礁は海岸を嵐や浸食から守る。モーリシャスの主要産業である観光業にとって、サンゴ礁と海洋生態系は大きな柱だ。」
今後数日、現場周辺は4メートルを超える高波が予想されますが、回収作業が順調に進む事を祈ります。
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