第二波襲う中、リモートワークは
日本は新型コロナ感染者数が徐々に減ってきていますが、欧米では未だに高い水準で推移しています。
欧州の一部の国では第二波が襲来し、一日の新規感染者数がスペインで2万人を超え、フランスも2万人に迫りました。
この様な環境の中で、オフィスワーカーたちは、相変わらずリモートワークを余儀なくされているケースが多い様です。
コロナが引き起こしたリモートワークは定着するのでしょうか。また、社会にどの様な影響を与えるのでしょうか。
今回は下記の二つの記事をご紹介したいと思います。
- Economist「Is the Office Finished(オフィスは終わったのか)
- ロイター「New York office glut signals market downturn as COVID bites」(ニューヨークのオフィス過剰がコロナの影響で価格低迷を招く)
Economist記事要約
コロナ感染の長期化は期せずして、社会的な大実験を引き起こし、新しいテクノロジーの導入を促しました。
その結果、19世紀から誰もが当たり前と思っていたオフィスワークが時代遅れになっていた事が明るみに出ました。
もちろん、ワクチンがどの程度効果を発揮するかにもよりますが、リモートワークは社会に大きな変化をもたらすに違いありません。
19世紀末に巨大な企業が誕生してから、社員を管理し、仕事を効率化するため、大きなオフィスが必要になりました。
彼らは会議を行なったり、伝票を整理したり、大量のペーパーワークを行うため、互いに接近する必要が生じ、多くの労働者が都心のオフイスに通勤する様になりました。
コロナ感染が始まるまでは、この古いシステムが欠陥を持つことを知りつつも、大きな変革は起きませんでした。
在宅勤務する労働者の数は米国で3%未満だったのです。
しかし、コロナは全てを大きく変えました。
今後オフィスワークはどの様に変わっていくのでしょうか。
答えはコロナ感染を押さえ込んだ国にあると思います。
ドイツでは74%のオフィスワーカーがオフィスに通っていますが、毎日通勤しているのはその半分です。
企業はオフィスが従業員が毎日通勤してくる場ではなく、たまにスタッフ同士が情報交換し、チーム意識を高める場であると認識すべきでしょう。
政府は次の二つの対策を急ぐ必要があります。
一つ目は、リモートワークに関する労働法の整備です。例えば「遠隔地で勤務する労働者を企業は監視することが可能か」とか「労働者が自宅で怪我した場合、誰の責任となるか」などです。
二つ目は都市整備に関するものです。
リモートワークの増加はオフィス不動産に大きな影響を与えます。
街の中心にオフィスビルの代わりにマンションやレクリエーション施設を建設できる様関連法を整備する必要があります。
ロイター記事要約(マンハッタンのオフィスビル事情)
過密したマンハッタンに林立する高層ビル群は、人々のオフィスへの回帰を妨げています。
新型コロナのワクチンが開発され、地下鉄やエレベーターの「密」を危惧する人々が戻って来るまで、こうした状況が続く可能性が高いと思われます。
ニューヨーク市内の大手企業を調査したところ、8月半ば時点でマンハッタンのオフィスに戻った従業員は全体の8%にとどまりました。
不動産投資信託(REIT)の価格も株式市場とは異なり、価格が低迷したままで、今年2月の水準からすれば半値で推移しています。
しかし、不動産業者はリモートワークが定着するとは見ていません。
不動産業者の一人はその理由を「人々は社内での出世を考える時、上司のそばにいたがるだろう。」と分析しています。
日本では何ができるでしょうか
確かに、昇進はサラリーマンの大きな動機の一つですので、オフィスに行って上司の近くにいたいと思う人は多いでしょう。
しかし、経営者はそういう動きに対して、待ったをかける必要があるでしょう。
オフィスに行かなくても、在宅で結果を出した人を昇進させるという仕組み、企業文化を作る必要があるのではないでしょうか。
何故なら、リモートワークは日本の社会にとって次の様な大きなメリットがあるからです。
急激に減少する労働人口への対策
リモートワークが可能となれば、勤務形態が柔軟になりますので、女性や高齢者の勤務も容易になります。
労働人口を増やす上で、女性と高齢者は車の両輪ですので、リモートワークを積極的に取り入れるべきと思います。
東京一極集中の緩和
日本は東京に全てが集中しています。
これが通勤地獄や地価の高騰をもたらしています。
バランスの取れた発展を実現し、地方再生を現実のものにするためにも、リモートワークを積極的に取り入れるべきです。
リモートオフィスを積極的に推進した企業や地方にオフィスを移転させた企業にインセンティブを与えるなど、政府も施策を施すべきと思います。
在宅勤務が拡がり、人々が通勤地獄や東京の狭いアパート住まいから開放される様になれば、まさにコロナの災いを転じて福となす事が出来るのでと思います。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。