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勝負を決めるフロリダ州の熱い戦い

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Swing Stateの重要性

9月30日トランプ大統領とバイデン候補による第一回テレビ討論会が行われました。

ご覧になった方も多いと思いますが、両者の口汚い罵り合いは、視聴者を失望させるに十分なものでした。

世界のリーダーとなるべき人にもっと崇高な政治理念などを披露頂きたかったと思ったのは私だけではないと思います。

三回にわたるテレビ討論会は大統領選に大きな影響を与えますが、米国の選挙戦は日本と同様に、共和、民主両党の支援者による地道な選挙活動に支えられている様です。

ご存知の通り、米国大統領選は、「選挙人制度」と呼ばれる間接選挙にて行われます。各州の選挙人を選ぶ選挙で最多の投票を得た候補がその州の選挙人を総取りします。

カリフォルニアやニューヨークなど海岸沿いの州は民主党の牙城であり、中央部の州は共和党の地盤です。

大統領選の帰趨を制するのはSwing States(保守にもリベラルにも揺れるのでこう呼ばれる)と言われる一握りの州であり、この州を押さえた方が勝利します。

そんな州の中でも、最も重要なフロリダ州の状況について、英誌Economistが「Why Donald Trump is doing surprisingly well in Florida」と題して記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介しましょう。

Economist記事要旨

暑い土曜日の午後、フロリダ州セミノール郡の共和党の運動員たちは、戸別訪問という昔ながらの方法で有権者に支援を訴えていました。

多数の有権者と消費者のデータを分析した彼らは、オーランドの北部郊外で支持政党なしの有権者と説得が可能と思われる民主党員をターゲットにしており、その目標を達成していました。

「バイデン候補とそのチームが地下室から選挙戦を戦っている時に、私たちは170万戸以上のドアをノックしました。」と彼らは自慢げに語ります。

それは完全には正しくありません。バイデン候補は9月15日にフロリダを訪れました。

しかし、彼の選挙活動は、新型コロナ感染の広がる中、電話やネットを通じて主に行われています。

フロリダを上回る選挙人を持っている州はカリフォルニアテキサスだけです。

この二州はSwing Stateではありません。

過去12回の大統領選で、フロリダで負けた候補が大統領になったのは一回だけです。

オバマもブッシュ(息子)もここで2連勝しました。

我々の分析では、トランプ大統領がフロリダで勝った場合、大統領になる確率は50%となります。

ここで負ければ、彼にはほとんどチャンスが無くなります

フロリダでの選挙で鍵を握っているのはラテン系住民高齢者でしょう。

最近の世論調査の結果では、フロリダのラテン系住民のうち、バイデン氏の支持率は52%、これはアリゾナ州の65%、テキサス州の66%に比べ低い数字で、それだけトランプ大統領が健闘しているという事です。

これはフロリダと他の州に住むラテン系住民の民族構成が違う点に起因している様です。

フロリダのラテン系住民の三分の一はキューバ系で、彼らは伝統的に共和党びいきです。

共和党は「民主党が社会主義政党である」と主張して、社会主義を実際に経験した事のあるキューバ、ベネズエラ、コロンビア系の有権者の共感を得ようとしている様です。

一方、白人有権者の獲得においては、トランプ大統領は苦戦するかもしれません。

前回大統領選では、クリントン候補はフロリダの白人有権者層では、32%しか支持を得られませんでしたが、世論調査ではバイデン候補は38%を獲得しそうです。

フロリダは常に変化しています。そこは外国あるいは他の州から多くの新しい住民が流れ込みます。

それには、アリゾナに行ったかも知れない保守的な年金受給者も含まれますし、プエルトルコ人の様な移民も含まれます。

フロリダの人口統計だけを見れば、ラテン系住民の比率が高い事から民主党有利の州の様に思えます。

民主党はそれがために、あまり積極的な選挙活動を行いませんが、共和党は違います。

フロリダがトランプ大統領の運命を決めるかの様に懸命に戦っています。

彼らをフロリダで打ち破るのは簡単ではありません。

ビッグデータで武装した米国のドブ板選挙

日本人にとってはこの「選挙人制度」と呼ばれるシステムわかりにくいですね。

鍵を握るのは一握りのSwing Statesです。

テレビで良くやっている世論調査の全国ベースでの支持率比較はあまり意味がありませんね。

Swing Statesでの支持率が重要です。

その中でも大票田のフロリダ、ここでの勝敗が大統領を決めると行っても過言ではなさそうです。

それにしても共和党の選挙活動、戸別訪問や電話での有権者のアプローチ、ドブ板選挙やってるんですね(アメリカにドブ板は無いでしょうが)。

ただ、やみくもに戸別訪問を行なっているわけでは無さそうです。

住民一人一人の支持政党、収入、宗教、人種、性別、年齢など個人情報を元にターゲットを絞って攻勢をかけている様です。

おそらくSNS上でも同じ様な手法が取られていると思いますので、昔の選挙戦略に比べ、随分精度が上がっていると思われます。

日本の政治家も米国での選挙キャンペーンについては、学ぶところが多いのではないでしょうか。

このブログを書いている間に、トランプ大統領が新型コロナに感染したとの情報が入ってきました。

これは大統領選に大きな影響を与える事は間違いありません。

世界一の権力者を決めるレースはこれからが山場です。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。