高田賢三さん亡くなる
高田賢三さんが新型コロナに感染され、パリでお亡くなりになりました。
今年、日本のファッション界は山本寛斎さんに次いで高田賢三さんという国際的なスターを失ったことになります。
KENZOさんは、子供の時から数多くの映画を観て育ったそうです。
特に「若草物語」や「慕情」といったハリウッドの映画が好きで、映画のファッションについて、生前語った事がありました。
KENZOさんに言わせれば、歴史上、最もファッショナブルなスターはオードリー ヘップバーンだそうです。
「ローマの休日」を代表作とするヘップバーンの衣装はフランスの巨匠ジバンシーが担当したらしいですが、KENZOさんに言わせると、圧倒的に優れているそうです。
KENZOさんはオートクチュール(個人のために特注の服を作る)が不得意で、カトリーヌ ドヌーブの映画衣装を作らないかとの提案を断ったそうです。
映画が好きなだけに、その時の判断を今でも悔やんでいると語っていました。
ヘップバーンは「ティファニーで朝食を」にも主演し、エレガントな衣装を披露しましたが、そのティファニーとフランスのルイヴィトン・モエ・ヘネシーグループ(LVMH)の間の買収劇の顛末について英誌Economistが「Why the rocky engagement between Tiffany and LVMH might survive」(何故ティファニーとLVMHの壊れそうな契約は持ち堪えそうか)と題する記事を発表しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
Economist記事要旨
熱く燃え上がったロマンスは最悪の破局を時にもたらします。
ルイ ヴィトン他数々の高級ブランドを有するLVMH社はティファニーを10ヶ月前に170億ドル(1兆8千億円)で買収することに合意しました。
しかし、同社はこの契約を解約しようとしています。
3月から新型コロナが感染が拡大した為、LVMH会長であるベルナール アルノー氏は、9月9日、「予期せぬ理由により、取引を進めることができない。」と発表しました。
フランスのドリアン外務大臣から手紙が出され、買収計画を2021年1月まで延期するよう求めました。
ティファニーは、LVMHがフランス政府の介入を要請したとして非難しました。
LVMHは、当局に介入を求めた事を否定しましたが、9月22日、ドリアン大臣ははフランス議会において、LVMHの要請を受け介入した事を明らかにしました。
ティファニーはLVMHを訴えましたが。 9月28日、LVMHは、「ティファニーはもはや購入する価値がない」と反論しました。
新型コロナが「壊滅的」な影響を与えたとして、買い手に解約の理由を与える「深刻な悪影響」が生じたと主張しました。
ティファニーはこれに同意しません。
新型コロナは確かに利益を圧迫しましたが、物事はかなり回復しているとティファニーは主張しました。
米国デラウェア州の裁判所は、購入者の解約に対して厳しい見方を示してきました。
彼らは、「深刻な悪影響」を理由に取引が打ち切られることに同意したのは、これまでに一度だけでした。
ティファニーの高騰する株価は、裁判の上で、同社に有利な条件を提供しています。
現在約116ドルで、LVMHが支払うことに合意した135ドルをはるかに下回っていますが、LVMHが購入意思を示す前の90ドルを上回っています。
株価が高値で取引されている事は、ティファニーが未だに買収の対象になりうる事を示しています。
ほとんどの投資家は、1月に予定されている裁判の前に双方が仲直りし、おそらくわずかに安い価格で合意すると予想しています。
LVMHに対抗するライバルはいません。
フランスファッション業界の底力
フランス政府も巻き込んだ大騒ぎに発展しましたが、Economistが記載している通り、最終的にはこの超大型買収劇は纏まるでしょう。
それにしてもこのフランスのLVMHグループというのは凄い集団ですね。
ルイ ヴィトンだけではありません。クリスチャン ディオール、ジバンシー、セリーヌ、ロロ ピアーナなど欧州で一流と言われているブランドは殆ど含まれています。
入っていないのは一流どころではエルメスぐらいではないでしょうか。(実はエルメスの株も密かに買い進めたが、途中で露呈し諦めた模様。)
ファッションだけではありません。
ワイン、香水、スーツケースのリモワなど超一流ブランドを網羅しています。
昨年の売り上げ540億ユーロ(6兆5千億円)、従業員16万人以上の巨大な企業集団となっています。あのKENZOブランドも含まれているんですね。
毎年発表される世界の長者番付で唯一ヨーロッパ人として、世界のトップ10に食い込んでいるのが、LVMHの総帥ベルナール アルノーです。
総資産8兆3千億円で世界第3位に食い込み、あの投資の神様バフェット氏を上回っています。
フランスは最近経済低調で、基幹産業の自動車会社などはルノーを筆頭に青息吐息ですが、ファッション業界は別物ですね。
フランスの生きる道は今後この方向かも知れません。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。