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コロナ感染の影響ここにも- 中東の商都ドバイ

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ドバイに異変が

ドバイは言わずと知れた中東ビジネスの中心地です。

摩天楼が立ち並ぶこの街、意外に新しい事ご存知でしょうか。

1853年に英国がこの地を保護領としてから補給地として整備される様になり、本格的な発展は第二次世界大戦後、湾岸諸国で油が発見されてからです。

現在のドバイは、中継貿易地としても金融のハブとしても中東の中心になっていますが、そんなドバイに異変が訪れている様です。

英誌Economistが「Dubai hopes rich pensioners will fill empty homes」(ドバイは引退した金持ちが空室を埋めてくれる事を期待している。)と題して記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

ドバイでは、現在、お年寄りはほとんど見られません。

しかし、将来老人が増加する可能性があります。

9月、55歳以上の高齢者向けに新しい居住ビザが発表されました。

 申請者は、既に大きな邸宅を持っているか、200万ディルハム(約5千6百万円)相当の不動産を購入する必要があります。

ポルトガルやパームビーチに定住するかもしれない老人が代わりにペルシャ湾を選ぶことが期待されます。

この計画は2年で作成され、今年は11%も縮小すると言われるドバイの経済を下支えする事が期待されています。

ほとんどの湾岸諸国とは異なり、ドバイ(アラブ首長国連邦の一部)は石油やガスに依存していません。

原油はGDPのわずか1%しか占めていません。

代わりに、経済を活性化するために絶え間なく建物を建設してきました。

新しいホテルはより多くの観光客を引き付け、移民労働者の雇用を増やします。

 

新型コロナ感染が始まる前でさえ、ドバイは建物を作り過ぎに見えました。

不動産市場は飽和状態にあります。

あるウェブサイトには19,000近くのアパートが売りに出されており、別のウェブサイトには32,000の賃貸アパートがあります。

コンサルタント会社のValuStratによると、平均販売価格は1平方フィートあたり896ディルハムに下がっています。

これは10年以上で最低のレベルであり、2014年の1,380ディルハムを35%下回っています。

一部のテナントは、20%から25%の割引を交渉しています。

 

新型コロナ感染は成長のエンジンを逆転させました。

旅行業や観光業は崩壊しました。

ドバイの空港は、2つの主要ターミナルのうちの1つを閉鎖しました。

9月のホテル稼働率はわずか45%でした。

エミレーツ航空は、すでに従業員の10%以上を解雇しています。

レイオフは経済全体に波及し、需要を低下させます。

 

湾岸諸国は、数ヶ月または数年遅れて指標を公開することで有名です。

あるアナリストは、電力と水の消費量に関するデータを使用してドバイの経済成長を推測しました。

9月、首長国は20億ドルの債券発行した際の目論見書には、ドバイの政府債務が1,240億ディルハム(340億ドル)と記載されており、GDPの30%未満です。

ただし、この数字は、政府関連事業体が保有する債務を含めていません。

彼らは商業的条件で借りていますが、国家の暗黙の保証を得ています。

最大の例はドバイワールドです。590億ドルの債務不履行を回避するために、2009年に国の救済を必要としました。

 

格付け機関であるS&Pは、政府関連企業を含めると、ドバイの公的債務はGDPの148%に達するとしています。

 

年金受給者は、ドバイの余剰能力の一部を吸収する可能性があります。

しかし、ドバイが成長のため、新規不動産建設に依存し続ける場合、それは大した役に立ちません。

何年もの間、経済モデルは「建設すれば、客はやってくる」というものでした。そのモデルはもはや終わりを告げようとしています。

ドバイは砂上の楼閣になるか

ドバイは中東の繁栄を象徴する街でした。

天を衝く高層ビル街は、他の天体に降り立ったかの印象を与えました。

ゴージャスなホテル、迷い子がたくさん出そうな広大なショッピングセンター、世界中のブランドが店を出す街、それがドバイだったのです。

しかし、新型コロナはドバイの運命を暗転させました。

旅行者の移動が止まれば、ビジネスマンや観光客に依存するドバイは生きていけません。

今後、ドバイは昔の様な姿を取り戻す事ができるのでしょうか。

コロナ感染が止まれば、ある程度回復するでしょうが、もはや昔日の勢いはありません。

世界の石油、ガスへの依存度は年々、減少していきますので、天然資源頼りである中東の経済は今後も低迷を免れません。

中東のハブであるドバイは中東の地盤沈下の影響をもろに受けるでしょう。

欧米やアジアの高齢者をドバイは誘致したがっている様ですが、これはありえないと思います。

 

官民の日本人中東駐在員を集めて、年一回行われる「中東協力現地会議」というものがありましたが、会場としては、圧倒的にドバイよりイスタンブールの方が人気がありました。

何せ気候が違います。

緯度から言えば、ドバイは台湾、イスタンブールは青森県にそれぞれ位置しますので、当然、イスタンブールの方が涼しいのです。

その上、イスタンブールには歴史に裏打ちされた文化があります。

引退後の生活を海外で送りたいと考えておられる方、ドバイはリストから外すことをお勧めします。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。