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米国の民主主義は風前の灯か

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決着がつかない大統領選

大統領選はバイデン候補が優位を保っていますが、未だ決着がついていません。

トランプ大統領は反対勢力が選挙をSteal(盗んだ)と非難し、法廷闘争を辞さない構えを見せています。

過去の大統領選では大手メディアが当選確実を遅くとも選挙翌日未明までに報じていました。

前回選挙でもヒラリー クリントン候補は翌朝に敗北宣言をおこないました。

しかし、トランプ大統領の事ですから、そう簡単に敗北を認めるとは思えません。

法廷闘争に持ち込まれた場合、どの様な形で決着が付けられるのでしょうか。

裁判で審判が下されるまで、大統領が決まらないとなると、相当時間がかかります。

しかしこの様な行政の空白期間を避けるために、米国憲法は1月20日正午に新しい大統領の任務が始まると規定しています。

それではどの様なプロセスを経て、今後大統領を決めていくのでしょうか。

この点について、英BBCが「Could the election be decided by courts」と題した記事を発表しました。わかりやすく説明されているのでご紹介したいと思います。

BBC記事抜粋

大統領を選ぶ選挙だけに、物事を進める上で重要になる期限を、連邦法と憲法が定めています。

  1.  各州は12月8日までに、どの候補者が勝利したかを決定し、選挙人を指名します。
  2. 州が期限までに選挙人を決められない場合、連邦議会はその州の選挙人について、最終集計の対象にしないと決定できます。
  3. 12月14日、選挙人はそれぞれの州で投票を行い、その結果は12月23日に連邦議会に通知されます。
  4. 来年1月6日時点で、過半数の選挙人を獲得する候補者が現れない場合、連邦議会は投票で結果を出します。
  5. 下院が大統領を選出、上院は副大統領を選出します。この場合、大統領と副大統領が別の党から出る可能性があります。ただし、バイデン大統領、マイク・ペンス副大統領の組み合わせになる可能性は小さいです。
  6. 下院では各州の代表に1票が与えられます。26票以上を得た候補者が次期大統領になります。

各州が、どの候補者が選挙人を得るかでまとまらない場合というのはどの様な状況で生じるのでしょうか? 

それは、ある政党が最終開票結果について、不正確だとか不正操作されたなどと主張したときには、そうした状況が発生し得ます。

ノースカロライナ、ペンシルヴェニア、ミシガン、ウィスコンシンの激戦各州は全て、知事が民主党、議会多数派が共和党のねじれの関係にあります。

選挙結果が争われた場合、議員は理論上、知事が認めたのとは別の選挙人を連邦議会に送ることができます(この事態は1876年に起きました)。

連邦議会は、州議会と知事のどちらが送り出した選挙人の投票を集計するのかを決めます。

連邦下院と上院の意見が一致すれば問題はありません。しかし、意見が割れた場合は、前例のない状況へと進みます。連邦法は知事が選んだ選挙人を優先していると、一部の専門家は指摘しています。

最終的に連邦議会が大統領を決める? 

BBCが指摘する中で、注目すべきは次の様なポイントかと思います。 

選挙結果が一部の州で確定しない

激戦州の多くで、知事と議会多数派がねじれの関係となっているため、各州で選挙結果が確定しない事態が起こりえます。

この場合は、1月の連邦議会で全体の集計から除外される可能性があり、その結果、選挙人の総数が減ってどちらの候補も過半数(270人)を獲得できない事態が想定されます。

一方で選挙人の総数が減った場合に勝敗のラインを270人のままにするのか、それとも減ったあとの有効な選挙人の過半数とするのかは法律に明確な規定がなく、この点を巡って新たな法廷闘争になる可能性もある様です。

連邦議会に最終判断が持ち込まれる

 もう一つのポイントは、選挙人が勝敗ラインに達せず、連邦議会が大統領を選出するケースです。

下院が大統領を選ぶ事になれば、下院で過半数を占めている民主党に一見有利に見えますが、この場合、各州の多数派が一票ずつ投票する事になりますので、改選後の状況にもよりますが、トランプ大統領が有利になる様です。

トランプ大統領ーカマラ・ハリス副大統領の組み合わせという可能性もある訳です。

 

しかし、ここまでもつれると、空前の規模で選挙に参加した国民の票は意味を失ってしまいます。これで良いのでしょうか。

世界中の人々が、アメリカの民主主義の行方を見守っています。

特に多くの全体主義国家では、独裁者たちがどうやって権力の座に居座るか米国が良い手本を見せてくれるのではと期待しています。

彼らの期待に応えてはなりません。

選挙に明らかな不正がない限り、負けた候補者は潔く敗北を認め、退く必要があります。

民意を反映した円滑な政権交代こそ民主主義の真髄である事は言うまでもありません。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。