MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

史上最高のサッカー選手逝く- ディエゴ マラドーナ

f:id:MIYOSHIN:20201126164221j:plain

史上最高の選手

ディエゴ マラドーナ、伝説的なサッカー選手が亡くなりました。

彼は私が知る限り、史上最高のサッカー選手です。

私も若い頃から数々の名選手を見てきましたが、マラドーナを上回る選手はいません。

ブラジルのペレ選手を史上最高の選手に推す方も多いのですが、ペレ選手の現役時代を私は見ていないので、比べようがありません。

マラドーナはクラブレベルでも活躍しましたが、何と言ってもワールドカップでの活躍が目立っています。

ワールドカップ- 形を変えた戦争

ワールドカップというものを間近に見る様になったのは、フランスに留学していた1982年でした。

当時、日本のナショナルチームはワールドカップに出場経験がなく、日本のマスコミもワールドカップをあまり取り上げませんでした。

スペインで行われたその年のワールドカップで下馬評を覆して活躍したのがフランスチームでした。

ミッシェル プラチニやアラン ジレスといった名手を抱えながら、勝負弱さが災いして大きな大会に勝てなかったフランスチームは、ミシェル イダルゴという名伯楽を得て、快進撃を続けました。

準決勝は忘れもしません。西ドイツとの壮絶な戦いは延長戦にもつれこみました。フランスが二点リードしたにも拘らず、西独が反撃し、PK戦の末にフランスは屈しました。

この時のフランス人の落ち込みようは想像もできないものでした。

私がホームステイしていた家族だけでなく、街全体、国全体がとんでもない奈落の底に落ち込んだという印象を受けました。

決勝は西独とイタリアの間で行われ、イタリアが勝ちましたが、翌日のフランスの新聞は「兄弟であるイタリアが、我々の仇を討ってくれた。」との見出しで報じたことを覚えています。

ワールドカップは形を変えた戦争なのです。仮想的戦争と呼んでも良いでしょう。

各国の国民はナショナルチームに思いを託し、一緒にフィールドで敵国と戦っている気分になるのだと思います。

フランスとドイツは昔からライバルでした。

ドーデの「最後の授業」が取り上げた様に、アルザスロレーヌ地方は両国間でとったり取られたりを繰り返しています。

そんな国民はワールドカップの西ドイツ戦を固唾を飲んで見守っていたに違いありません。

アルゼンチン-イングランド戦の意味

ディエゴ マラドーナがアルゼンチンで「神」と讃えられているのも、彼が1986年のワールドカップでチームを優勝に導いたからだけではないと思います。

この大会は「マラドーナのための大会」と呼ばれるほど、彼の活躍が目立った大会でしたが、極め付きは準々決勝イングランド戦での超人的な活躍でした。

彼は「神の手」と呼ばれる審判を見事にあざむくハンドでゴールを決めた後に、ハーフラインの向こう側からの高速ドリブルで5人のディフェンダーを置き去りにして見事なゴールを決めています。

しかし、アルゼンチン国民を狂喜させたのは、相手がイングランドだったからでしょう。

アルゼンチンと英国との間ではフォークランドという島を巡って武力紛争が1982年に生じ、アルゼンチンは英軍の軍事力の前に屈辱的な敗北を喫しています。

アルゼンチン国民は、イングランドの大きなディフェンダーたちを赤子の手をひねる様にやっつけたマラドーナを見て、フォークランド紛争の仇を討ったと溜飲を下げたものと思われます。

やはりワールドカップは仮想的戦争なのです。

それにしても、伝説となったマラドーナの5人抜きは人間業とは思えません。

スローで観てると、彼がこの長いドリブルの間、左足でしかボールに触っていないことに気付き、改めて驚きます。

ディフェンダーも彼が左足しか使わないことをわかっていながら、簡単に抜き去られてしまうんですから、別次元のスピードとテクニックだと思います。

 

私が史上最高の選手としてマラドーナの対抗馬に推すメッシ選手が、マラドーナについて「永遠だ」として、哀悼の意を次の様に表明しています。(BBC記事抜粋)

 「すべてのアルゼンチン人とサッカー界にとってとても悲しい日だ」

「彼は先に逝ってしまったが、いなくなったわけではない。ディエゴは永遠だからだ」

「彼と一緒だった素晴らしい瞬間をすべて覚えている。彼の家族と友人にお悔やみ申し上げる」

彼の言葉にはアルゼンチン国民が抱くマラドーナへの深い尊敬が滲んでいると思います。

宗教は貧者の阿片と言われますが、サッカーもそうかも知れません。

現世で厳しい生活を余儀なくされている庶民にとって、マラドーナの胸のすく様なプレーは一瞬でも天国を見せてくれたのでしょう。

不世出の天才、マラドーナに哀悼の意を表したいと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。