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接種が始まった新型コロナワクチンが抱える様々な問題

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世界中で感染拡大進む

コロナ感染は世界中で拡大を続けています。

世界の感染者数は6,700万人に達し、死亡者数は150万人を突破しました。

最大の死者を出しているのは米国で28万人を超えていますが、フランスも5万人を超えるなど、医療体制が充実しているはずの先進国での死者数増加も止まりません。

最も期待されているのはワクチンですが、遂に英国で接種が始まり、米国でも年内に接種が予定されています。

ワクチンの供給は十分なのでしょうか

世界中に行き渡るのにはどの程度の時間が必要なのでしょうか。

米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「Race to Vaccinate World Against Covid-19 Intensifies - Governments scramble to secure limited vaccine supplies, and only a small sliver of the population will receive a shot for months to come」(ワクチンの確保にむけた競争激しさを増す - 今後数ヶ月内に接種を受けられるのはほんの一握り)と題した記事を発表しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJ記事要約

世界の人々に新型コロナウイルスの予防接種を行う取り組みは、各国政府間の競争に突入しつつあります。

ワクチンの接種は、国ごとに大きく異なるスピードで進行する可能性が高いと思われます。

世界中の多くの人にとって、ワクチンは遠い先の話にとどまるでしょう。

最貧国が接種を実施できるようになるまでには、何年もかかる可能性があります。

欧米諸国はそれぞれに医薬品メーカーと多くの契約を結んでいますが、初回供給量は限られ、少なくとも来年1-3月期の見通しは暗いです。

英当局は先週、欧米初のワクチンを承認し、他の欧米メーカーのワクチン候補も近く承認に至るとの期待が広がりました。

ただ、先頭を走るワクチン候補は新しいRNA技術を使っており、量産が困難です。

欧米が人口の大半に早期に接種できるようになるかは、従来型の技術を用いる他のワクチンが安全性と有効性を証明できるか否かにかかっています。

貧困で力の弱い国はその間、ほぼ疎外され、ロシアや中国、あるいは世界保健機関(WHO)が後押しするプログラムに依存するしかありません。

ロシアと中国は中東や中南米などで、ワクチンを配布する二国間契約を結んでいますが、両国のワクチンはまだ臨床的に証明されていません。

さらに、ロシアも中国も世界の膨大な需要を埋めることはできません。

ロシアはワクチン「スプートニクV」の量産が難航しています。

中国は、何回分を輸出するかは明らかにしていません。

欧州と米国の規制当局は数週間以内に、米製薬大手ファイザーとドイツのビオンテックが開発したワクチンを英当局に続いて承認するかどうか決定する見通しです。

 しかしEUは域内人口4億5000万人のうち、最大でも3分の1に接種する分しかファイザーのワクチンを予約していません。

米国は5000万人分を事前購入しました。

こうした分量の製造には何カ月もかかるでしょう。

ファイザーは年内に世界で1億回分を用意したい考えでしたが、その半分の製造に必要な分でさえ、原料確保と新技術の確立に苦戦しています。

次に有望な候補は米バイオテク企業 モデルナ のワクチンですが、EU向けの用意はわずか1億6000万回分しかなく、米国向けには今月2000万回分を製造する予定となっています。

モデルナのワクチンもファイザー製と同様に、2回接種する必要があります。

ファイザーと同じくメッセンジャーRNA技術を用いており、製造工程には困難を伴ないます。

このため欧米は、最先端技術ではないものの製造がはるかに容易なワクチンに依存することになりますが、そうしたワクチンの見通しは不透明です。

中でも重要なのは、アストラゼネカとオックスフォード大学が開発した2回接種のワクチンです。EUは4億回分、米国は5億回分をそれぞれ購入しています。

 しかし、臨床試験で何千人もの被験者に、予定より少ない量を誤って投与したとアストラゼネカが明らかにしたことから、このワクチンの有効性に疑問の声が上がっています。

フランスの製薬大手 サノフィ や米 ジョンソン・エンド・ジョンソン (J&J)などその他のワクチンがEUの承認を受けるのは何カ月も先の話で、有効性が証明されるか保証はありません。

新型ワクチンは安全か

WSJの記事から、十分なワクチン供給が如何に難しいかが理解できますが、他にも様々な問題があります。

フランスなどでは、新しいワクチンの安全性に疑問が投げかけられています。

今回のワクチン開発は従来のワクチンに比べて非常に短い期間で開発されました。

その安全性が十分に実証されているのか不安です。

一方、ワクチンというものは集団免疫を確保するために摂取されるものですので、接種を拒否する人がたくさん出れば、集団免疫が生じません。

フランスなどでは、起こりうる重篤な副作用に誰が責任を取ってくれるのかという声が上がっているのです。

各国政府は難しい選択を迫られそうです。

ワクチンに対する国民の期待は日ごとに高まっています。

特に隣国で接種が始まったなどとのニュースが流れれば、政府は「何故接種を始めないのか」とのプレッシャーを国民から受ける事になります。

しかし、一方で安全性に一抹の不安があるワクチンを国民全員に義務付けるべきかという問いにも答えなければいけません。

 

今回のワクチン開発において、我が国の開発体制にも不安を覚えざるをえません。

欧米そして中国、ロシアなどが自国の開発体制を整えているのに対して、我が国は立ち遅れています。

SARSや新型コロナの様な感染症は、今後も必ず発生します。

新型コロナは、多くの国民の命を奪い、経済に大きな損害を与えました。

今からでも遅くないので、政府は感染症対策に力を入れ、ワクチン開発も自国で対応できる様な体制を整えるべきと思います。

これは安全保障上の問題だと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。