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米国でも問題視されている韓国の新法

 

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理解に苦しむ韓国の新法

お隣の韓国政府が北朝鮮への風船ビラを取り締まっている事を以前ブログで書きました。

 

www.miyoshin.co.jp

 

この話は米国でも話題になっている様です。

米紙Foreign Affairsが「Don’t Leave North Koreans in the Dark - South Korea’s Misguided Ban on Sending Information Across the Border」(北朝鮮を暗闇に閉じ込めるべきではない - 国境超えに情報を送る事を禁止する韓国政府の判断は間違いだ)と題する論文を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Foreign Affairs論文要約

ソウル郊外の目立たないオフィスで、私が「カン」と呼ぶ男は韓国のテレビドラマやドキュメンタリーをUSBドライブにコピーします。

ソウルでは、このコンテンツは誰でも入手可能です。

しかし、それが送られるところでは、そのような情報はまれであり、危険です。

ドライブの準備が整うと、北朝鮮に密輸されます。

北朝鮮では、ドライブに含まれるプログラムが平壌の全体主義政権によって禁止されており、ドライブを所有ましている人は高額の罰金、懲役、さらには死刑執行のリスクに晒されます。

カンは2011年に北朝鮮から逃亡したので、情報の力を理解しています。

「外国のラジオ番組を密かに聞いた後、政権に対する私の信頼は失われた。」

「私は自由な国に住んでいるので、嘘に基づいた生活を送っている同胞と世界の情報を共有することが私の義務です。」と彼は述べました。

 

カンは一人ではありません。

現在、何千人もの韓国の活動家が、USBドライブ、海賊放送、さらにはドローンや気球によって国境を越えて配信されるチラシを介して情報を北朝鮮に提供する取り組みを支援しています。

私が以前「Foreign Affairs」で報告したこれらの努力のおかげで、これまで以上に多くの北朝鮮人が、金正恩政権が彼らを欺き、権力を握り続けるために使用するプロパガンダと現実の間のギャップを認識しています。

金正恩が最も嫌悪するのは、彼の抑圧的な体制に疑問を呈する事が出来る情報に通じた市民です。

したがって、政権はカンの様な人々を犯罪者と見なします。

 

そして、今や韓国の政府がカンの様な人々をあぶり出しています。

先週、韓国の文在寅大統領の与党は、リーフレットやUSBドライブなど、幅広い手段による北朝鮮への情報の配布を禁止する法律を韓国議会で可決しました。

この法案は、懲役3年または最高3000万ウォン(約27,000ドル)の罰金を定めています。

その法案は、韓国からの情報の密輸を猛烈に非難した金正恩政権を軟化させることを意図しています。

 

この法案は、平壌との和解を通じて朝鮮半島の平和を確保するという企ての最新のステップです。

その目標のメリットが何であれ、文在寅大統領の問題は北朝鮮の人権を促進する多くの活動の抑制につながった事です。

金正恩をなだめるため必死の文政権は自由民主主義の基本原則に背を向けました、

ソウルは現在、平壌の弾圧を直接支援し、幇助しています。

韓国政府は北朝鮮人を罰するするのではなく、北朝鮮人に情報を提供する努力を支援すべきです。

 

北朝鮮人に情報へのアクセスを提供することは、内部から前向きな変化を作り出すための効果的で低コストの戦略です。

北朝鮮からの難民の子として生まれ、人権弁護士となった文在寅は、この事を誰よりも理解しているはずです。

2017年のインタビューで「両親は北朝鮮の共産主義体制を軽蔑したため、朝鮮戦争中に北朝鮮から逃げました。彼らは自由を求めて逃げました。」と彼は述べました。

1970年代、韓国自身の民主化運動に参加した事で、文在寅は投獄されました。しかし先週の時点で、彼は現在、言論の自由を行使した市民を投獄する政府を率いています。

 

そのような活動を禁止しても、国境を越えた緊張が恒久的に緩和されるわけではありません。

北朝鮮は、トラブルを引き起こす言い訳を見つけてきた長い歴史があります。

韓国人の基本的権利に制限を課すことによって平壌の要求に応じることは持続可能な戦略ではありません。

 

文在寅の党は、そのアプローチがワシントンで歓迎されると信じています。

法案が可決される前、韓国議会の外務国家統一委員会の宋永吉委員長は、この法案がバイデン政権と北朝鮮の交渉の突破口となることを期待して、法案をが「時宜を得た」ものだと述べました。

しかし、バイデン氏はは人権を促進した実績があり、彼の政権が新しい法律を受け入れるかどうか疑わしい。

伝えられるところによると、彼の政権において重要な役割を果たすことが検討されている人物の1人は、Samanth Powerです。

彼女は、米国の国連大使として、2016年に脱北者のチョン・グァンイル氏を訪問した際に、北朝鮮の人権への支持を表明しました。



トランプ米大統領の金正恩に対する明らかな好意は、共和党員に韓国の和解的アプローチを支持させるかもしれません。

しかし、一部の共和党員はすでに懸念を表明しています。

12月11日、ニュージャージー州の共和党議員であるスミス議員は、新法を批判し、「韓国政府の公民権および政治的権利の擁護に関する公聴会を召集する」と述べました。

 

北朝鮮の抑圧的な戦術が韓国に波及するのを許す代わりに、文在寅の政府は市民の技術革新を利用し、北朝鮮に情報を配布する韓国の市民社会組織を静かに支援するべきです。

そうすることは、文在寅政権と韓国の市民社会組織との間の現在の対立を和らげるという効果ももたらします。

一方、バイデン政権は、北朝鮮の人権と韓国の市民的自由の保護を支持していることを明確にし、文在寅政権に新法の撤回を提案すべきです。

国際的な共感を得られない新法

上記論文の説く通り、北朝鮮との融和を優先するあまり、基本的な人権を侵害するというのは国際的な共感を得られないと思います。

北朝鮮からの難民の子として生まれ、人権弁護士として名を馳せた文大統領がなぜこの様な法案を支持しているのか理解に苦しみます。

バイデン政権もこの新法を支持するとは思えません。

それにしても、バイデン政権がSamantha Powerを起用する事を検討しているというのは面白いですね。

彼女は国連大使としてトランプ大統領に起用され、次期共和党大統領候補として有望視されている人物です。

共和党員を政権に迎え入れるという手法は、過去の米国民主党政権が何度か採用してきましたが、国民の一体感を出すにの効果的だと思われます。

彼女が舌鋒鋭くこの問題を世界に発信してくれる事を期待します。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。