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英国のゲノム解析技術が特定した新型コロナ変種

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英国で発見された新型コロナ変種

英国で新型コロナの変種が発見されたニュースは世界を驚かせました。

日本でもロンドンからの搭乗客5名が変種の新型コロナに感染していた事が判明しました。

実はこのウイルス変種はそう簡単に発見できる代物ではなく、英国の研究者が最新のゲノム解析技術を駆使して突き止めたものだった様です。

もし英国で発見されていなければ、日本での発見は相当遅れていた可能性が大きいと言われています。

この英国での発見に関して米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が How British Scientists Tracked Down the New Covid-19 Variant - Researchers are trying to determine whether the variant will cause more-serious disease and evade vaccines(英国の科学者は如何にして新型コロナ変種を発見したか - 研究者たちは、変種がより深刻な症状を引き起こし、ワクチンを回避するかどうかを判断しようとしている)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJ記事要約

英国の公衆衛生当局者は当惑していました。

全面的なロックダウン導入で、11月下旬頃までには国内大半の地域で新型コロナウイルスをほぼ封じ込めていたにもかかわらず、不可解なことに、英南東部のある地域では感染者が急増していたためです。

職場でソーシャルディスタンスを無視したか、違法なホームパーティーで人が集まっていたか――調査に乗り出した疫学者らは当初、こうした予想を立てていました。

しかし、そのいずれの事例も発見されませんでした。

行き詰まった疫病学者は、ウイルスのゲノム変異を分析する科学者チームに協力を依頼しました。

12月8日、この科学者グループがコロナ変異種をケント州で発見しました。翌日には、ロンドンで検査を受けた患者からも同じ変異種が確認されました。

ケンブリッジ大学の微生物学者で、同グループを率いるピーコック氏は「ゲノムデータやケントでの感染拡大の詳細を分析することで、重要な発見につながった」と話します。科学者にとって「ひらめきの瞬間」だったと言います。

その後も新たな情報が集まり、14日にはハンコック保健相が議会に対して、ロンドンおよび南東部で1000人が変異種に感染しており、急速に広がっていると明らかにしました。

変異の1つは、スパイクタンパク質に変更を加えることで、ウイルスが細胞壁に接着しやすく、そして体内に侵入しやすくしました

従来のウイルス種よりも感染力が強い可能性があります。

発見された当時、ロンドンの感染者の62%が変異種による感染でしたが、その後も変異種による感染が急激に広がっています。

英国全体の直近の感染者データによると、欧州諸国の大半では感染者数が減少しているにもかかわらず、23日までの7日間平均は前週比61%増となっています。

ウイルス感染に遅行して現れる入院数や死者数は、それぞれ16%、20%増えている。

 

英政府の諮問機関で議長を務めるホービー氏は23日、議会で、感染急拡大を招いている根本的なメカニズムはまだ完全には解明できていないと述べました。

ウイルスの複製スピードが速いことが要因として考えられるが、そうであれば、体内のウイルス量が一段と多くなり、感染力が強まることを意味すると言います。

もう1つの仮説は、ウイルスとの接触から感染力が生じるまでの期間が短くなり、他人への感染も速まるのではないかというものです。

研究者らの目下の焦点は、変異種によって病状がより深刻になるのか、開発されているワクチンの予防効果が失われるかどうかの2点だ。

米ファイザー・独ビオンテックのワクチン開発者や科学者の間では、ワクチンはウイルスのさまざまな部分を攻撃する抗体を作り出すため、小さな部分で変化が起きても、ワクチンの効果が全くなくなる公算は小さいとの見方が大勢だ。

こうした中、英国内ではここ数週間、「ゼロ号患者」の特定も進められています。

仮説の1つとして、欠陥のある免疫系を持つ人から変異種が生まれたのではないかとの説が出ています。

免疫系に欠陥があると、ウイルスがその中で長く生きのびることができるため、大量の変異を起こす温床になることが多いです。

前出のピーコック氏は、「これが英国内の患者から発生したのか、外部から持ち込まれたのか、われわれは全く分かっていない。現時点で断定することはできない」と述べます。

その後のデータなどから、英国の科学者は、変異種が従来種よりも速いスピードで再生できるとの確信を強めています。一部の推計モデルによると、感染力が50~70%も高い可能性があることが示されました。

日本の感染症対策は十分か

この記事を読むと、英国で新種が発見されたのは、幸運にも同国の感染症研究のレベルが高く、ゲノム分析からウイルスの変異を特定出来たためだという事が解ります。

同じ様な事が日本で起きた場合、英国と同じ様なスピードで原因を特定できたか甚だ疑問です。

日本は感染症対策で世界の先端を走っていると思われる方もおられると思いますが、水際対策一つとってみてもかなりお粗末と言わざるを得ません。

3月に私がイスタンブールからの直行便で帰国した際、検温も問診もなく、搭乗客全員をノーチェックで通関させた事からも解る通り、空港でのチェックは極めて甘いと言わざるをえません。

変種のコロナウイルスは既にかなり日本に入り込んでいると思った方が良いと思いますが、今からでも遅くないので、空港、港湾でのチェックを厳格にすべきと思います。

 

最後まで読んで頂き有り難うございました。