MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

ワクチンの強制接種を始めたイスラエル

f:id:MIYOSHIN:20210102184649j:plain

ワクチン接種の最先端を走るイスラエル

コロナ感染は未だに急拡大を続けています。

世界の感染者は8400万人に達し、累計の死者は180万人を突破しました。

日本の累計死者は3300人程度ですので、外国の状況は日本より遥かに悲惨な様です。

この状況を打開する切り札として期待されているのがワクチンです。

ワクチンの接種は一部先進国で既に開始された様ですが、その中でも先頭を走っているのがイスラエルです。

仏紙Les Echosがその様子を「Israël : vaccination à marche forcée contre le Covid」(イスラエル:新型コロナに対するワクチン強制接種)と題して記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Les Echos記事要約

イツァークのワクチン接種時間帯は、なんと午後9時30分に設定されました。

その日のワクチン接種診療所には、たくさんの人がいましたが、待っている人はほとんどいませんでした。

 「それは本物の蜂の巣の様な忙しさでした。」と彼は言います。

ワクチン接種の初日である12月20日、政府の電話センターは大忙しでした。

13日後の2021年1月1日、イスラエルはすでに100万人近く、つまり60歳以上の3分の1にワクチン接種を行っており、これは重症者と死亡者の数に大きな影響を及ぼします。

その結果、イスラエルは今や、100人の住民あたりのワクチン接種率が最も高い国です。

イスラエル政府は、最も脆弱な人々を救い、経済を正常に戻すために、ワクチン接種キャンペーンを開始しました。

12月中旬の世論調査によると、イスラエル人の63%はワクチン接種の準備ができていましたが、39%は物事がどうなるかを待ちたいと回答しました。

躊躇している人を説得するために、ネタニヤフ首相をはじめ、政治家、芸能界のスター、テレビの司会者らがカメラの前でワクチン接種を受けました。

さらに、政府は、60歳以上またはそのリスクのあるすべての患者にSMSメッセージを送信して最初の予約をしました。

大量ワクチン接種の課題に関して、930万人の住民がいる若くて小さな国であることはアドバンテージです。

全人口を保護するために必要なワクチンの数は限られています。

さらに、イスラエル政府は非常に早い段階でワクチン関連の研究所と連絡を取りました。

イスラエルはワクチン接種を迅速に実施するためにもっとお金を払っていただろうと言われています。

臨床試験がまだ完了していない昨年6月から、モデルナ社と200万回の購入契約が締結され、12月6日に400万回の追加契約が締結されました。

 

モデルナ社のチーフメディカルオフィサーであるイスラエル生まれのタルザックスは、イスラエルが最初のワクチン接種国の一つになるだろうと語りました。

そして11月中旬、イスラエルはファイザー社からも800万回分を購入しました。

ネタニヤフ首相は、アメリカの会社ファイザーの社長であるアルバート・ブルラは、「ギリシャ系ユダヤ人の起源を誇りに思っている」と語りました。

結果として、イスラエルは合計で1,400万回分を購入し、700万人にワクチンを接種します。

つまり、ワクチン接種可能な人口のほぼ全体が接種を受けます。

 12月27日に3回目のロックダウンが実施され、1日あたり約6,000件のケースが発生したにもかかわらず、感染レベルは高まり続けています。

これは、フランス規模で41,000件に相当します。

イスラエルに在住する大量のアラブ人のワクチン摂取率は低く、これが将来問題になる可能性があります。

ワクチン摂取を拒否する権利はあるのか

この記事を読むとつくづく、ユダヤ人というのは人的ネットワークを持っているなと思います。

モデルナやファイザーといった製薬会社の経営陣にもユダヤ人がいるんですね。

それとユダヤ人の危機管理意識も日本人はもとより欧米人に比べても高いものが感じられます。

歴史上、様々な国で虐待を受け、ホロコーストでは絶滅しかかった彼らは、安全保障に関する意識が極めて高いのでしょう。

生物兵器の様なものに対する対策も常日頃から準備されているのでしょう。

そうでなければ、昨年の半ば頃からワクチン確保に走り回ったりはしないと思います。

 

ワクチンの強制接種はこれから、様々な国で問題になると思います。

ワクチンの生産量は限られています。

モデルナが良いとかアストラゼネカが良いとか贅沢は言ってられません。

政府は国民に選択権を与えず、摂取を行っていくと思います。

それでも日本などは比較的恵まれています。

契約を結んでいるのがファイザーとアストラゼネカ等欧米薬品メーカーだからです。

発展途上国になると、そこに中国製やロシア製が入ってきます。

ろくに安全性に関する試験を行っていないワクチンを強制接種されるというのは、大変怖いことです。

トルコなども大量の中国製ワクチンを購入した模様で、私の知人も中国製のワクチンは受けたくないと話していました。

ワクチンは国民の大半が接種を受けなければ、集団免疫が獲得できず、効果を発しません。

米国に留学する学生が、事前にハシカやおたふく風邪のワクチン摂取を求められるのは、米国民を感染症から守るためには必要な措置です。

今後、重大な副作用が発覚した場合、そのワクチンの接種を継続できるか、国民にワクチン摂取を拒否する権利が与えられるのかといった点が、今後大きな問題になってきそうです。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。