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小売業の最先端を走る中国企業

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中国で急速に進行する小売業革命

アマゾンの台頭は小売業のビジネスモデルにおいて革命と言えるものでした。

アマゾンの例が示す通り、小売業の新しいビジネスモデルは常に米国で生まれると信じられてきましたが、この常識は過去のものになりつつある様です。

中国でのネット小売業の革命は米国を凌駕するスピードで進行しており、英誌Economistが「Why retailers everywhere should look to China - That is where they will see the future of e-commerce」(小売業者が中国に目を向けるべき理由 - eコマースの将来は中国にある)と題して記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

過去10か月間、先進国のほとんどの人々が最大のショッピング革命に参加してきました。

新型コロナ感染拡大はオンライン支出の急増につながり、実店舗からのシフトを5年ほど早めました。

アマゾンやウォルマートなどは、オンライン注文をさばくために超人的な努力をし、ウォール街では西洋の小売業が最先端にあるという認識からアマゾンの株が買われました。

しかし、eコマースの将来が賭けられているのは欧米ではなく中国です。

その市場ははるかに大きく、より創造的です。

一方、中国は規制の最前線でもあり、年末のニュースでは、中国政府当局がジャック マーによって設立されたアリババを取り調べています。

一世紀の間、世界の小売企業は、1970年代に開発されたバーコードが良い例を示す通り、、新しいトレンドを見つける際には、アメリカに目を向けてきました。

しかし、今、彼らは中国を見ているは​​ずです。

電子商取引における中国のリードはつい最近生じた訳ではありません。

サイズ的には、その市場は2013年に既にアメリカを追い抜きました。

アリババが2014年に上場したとき、それは世界最大の新規株式公開でした。

今日、この国の電子小売市場は、アメリカとヨーロッパを合わせたものよりも大きく、2兆ドルの価値があります。

しかし、その巨大な規模以外にも、いくつかの重要な点で、西洋を凌駕しています。

 

まず、それはよりダイナミックです。

過去数年で、「美団」(Meituan)「拼多多」(Pinduoduo)含む新しい電子商取引企業が急成長しました。

激しい競争が生じた事を裏付ける事実として、中国のeコマース業界の時価総額に占めるAlibabaのシェアが、上場時の81%から今日の55%に低下しました。

競争により、eコマースやその他のテクノロジー企業は、さまざまなサービス間の境界線を取り壊すようになりました。

中国の電子商取引フォームは、デジタル金融サービス、グループディール、ソーシャルメディア、ゲーム、インスタントメッセージング、短い形式の動画、ライブストリーミングなどを融合させています。

 

今後の焦点は、中国の電子商取引モデルが世界に広がるかどうかです。

何十年もの間そうであったように、シリコンバレーの巨人たちは依然として中国を過小評価する傾向があります。

アメリカと中国の電子商取引業界の間には、双方の保護貿易主義のせいもあって、直接的なつながりはほとんどありません(米Yahooが2012年にアリババの株式の多くを売却したのは時期尚早でした)。

そして、欧米の企業は長い間、居心地の良い専門分野でそれぞれ活動してきました。

つまり、Visaは支払いを専門とし、Amazonはeコマースを、Facebookはソーシャルメディアを、Googleは検索を専門としています。

専門分野に特化した欧米の電子小売り業のやり方が世界の主流になる可能性は低いでしょう。

すでに、先進国以外では、中国のやり方が勢いを増しています。

東南アジア(グラブ)、インド(ジオ)、ラテンアメリカ(メルカドリブレ)など多くの大手eコマース企業は、豊富なサービスを取り揃えた「スーパーアプリ」を提供するという中国の戦略の影響を受けています。

欧米と中国の市場にまたがる巨大な消費財企業も、中国のアイデアやビジネス戦術に倣う可能性があります。

ユニリーバ、ロレアル、アディダスなどの多国籍企業は、アメリカよりもアジアで多くの収益を上げており、カリフォルニアやパリではなく、アジアで最新の動きを吸収しています。

すでに、中国の特徴が欧米に影響を与え、企業間の境界線は崩壊しつつあります。 Facebookは現在、ソーシャルネットワークでショッピングサービスを宣伝しており、商人と買い物客の間のメッセージングのために、WhatsAppを使用する「ソーシャルコマース」に取り組んでいます。

 

中国式のビジネスモデルのグローバル化は、消費者にとって素晴らしいニュースになるでしょう。

しかし、中国の電子商取引には欠陥があります。

そこでは、詐欺がより一般的です。

そして、独占禁止法上の懸念があります。

アリババのオーナーであるマー氏への取り締まりは、共産党権力の発露として見ることができます。

一方、中国の独占禁止法規制当局のやり方には学ぶべき点もあります。

彼らは、あるeコマースプラットフォームの決済サービスをライバルのプラットフォームでシームレスに使用できるようにさせる事で、商人が複数のプラットフォームで商品を販売する事を可能にしました。

これまでのところ、アメリカとヨーロッパの独占禁止法当局はビッグテック(巨大IT企業)の管理に効果的な手が打てていません。

彼らもまた、業界がどこに向かっているのか、そしてどのように対応すべきかについて、中国を研究する必要があります。

欧米が中国のイノベーションについてどう考えるかにはパターンがあります。

電子機器から太陽光パネルに至るまで、中国の製造業の進歩は無視されるか、真似事だとして軽視されました。

現在、グローバル化しているのは中国の消費者の嗜好と習慣です。見て学びましょう。

中国を軽視するなかれ

中国の電子商取引については、以前のブログで取り上げた通り、中国政府の国民に対する監視を容易にさせる仕組みが組み込まれており、警戒が必要です。

中国のプラットフォームが顧客から吸い上げる個人情報は全て政府と共有されると思った方が良いでしょう。

一方、中国のeコマースプラットフォームが、顧客にありとあらゆるサービスを提供できる利便性の高いものになっている事も事実であり、この点、過小評価すべきではないと思います。

記事の中に出てくるPinduoduoという企業は中国で急成長している電子商取引関連企業ですが、そのビジネスモデルは大変興味深いものがあります。

Pinduoduoでは、単品だけを購入すると大変割高な価格となりますが、既定の販売個数をクリアすると、かなり割安な価格を享受できる仕組みになっています。

商品が欲しいユーザーは、自らその商品のセールスマンと化して友人知人を巻き込んで行くというビジネスモデルになっています。

中国人は金儲けが大好きな民族ですから、こういう斬新なプラットフォームが生まれるんですね。

新しいビジネスモデルを模索する人は、今後欧米だけでなく、中国の動きにも注意を払う必要があるでしょう。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。