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40年ぶりに台湾代表を就任式に招待したバイデン政権

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大統領就任式のサプライズ

1月20日に行われたバイデン大統領の就任式に台湾代表が招待されたというニュースには驚きました。

この招待はニクソン大統領が米中国交回復に踏み切り、台湾と米国が断交して以来40年ぶりの事でした。

ご存知の通り、中国は台湾を中国の一部であり、核心的利益と位置付けています。

大統領の就任式に正式招待するという事は、台湾を国として認める事になりかねません。

この問題についてウォールストリートジャーナル(WSJ)が「Biden Sends Important Foreign-Policy Signal With Taiwan Inauguration Invite - Taiwan envoy formally attends presidential swearing-in for first time since 1979; China restrained in response(バイデン氏は就任式に台湾代表を招待し重要な外交的シグナルを発した)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJ記事要約

台湾の実質的な駐米大使である蕭美琴氏(台北駐米経済文化代表処代表)はバイデン米大統領の就任式に出席し、過去40年続いた慣習を破る事になりました。

蕭氏が就任式に招待されたことは、トランプ後の時代に米国の支援が薄れかねないと危惧する台湾市民の不安を和らげる形となりました。

蕭氏は20日、バイデン氏の就任式を控え米議会議事堂の前に立つ自身の姿をビデオに収め、ツイッターに投稿しました。

式典への出席を光栄に思うとし、「民主主義はわれわれ共通の言語であり、自由はわれわれ共通の目的である」と述べました。

中国政府は台湾を自国の領土とみなしており、米国にとって台湾への対応は、対中関係における最も扱いの難しい問題の一つとみられてきました。

中国指導部は4年前、当時のトランプ大統領が台湾の蔡英文総統からの祝福の電話に応じたことに仰天しました。

それは米国の伝統的な外交から大きく逸脱するもので、中国政府は正式に抗議しましたが、トランプ政権はこれを機に台湾との関係強化に動き出しました。

ホワイトハウスはその後、高官を台北に派遣。多額の武器売却契約を結び、台湾との外交上の交流制限を突然解除しました。

一方で、中国政府とは貿易からテクノロジー、世界への影響力を巡る問題で衝突しました。

中国政府は今回、より融和的な姿勢を見せています。

中国外務省の報道官は21日、バイデン氏の就任を祝福し、米政権が誠意と敬意を持って中国に接することに期待を示しました。

台湾の駐米代表が就任式に出席したことについて問われると、米国と台湾の公式な交流に中国政府は以前から反対していると強調しながらも、米国の姿勢を挑発的と非難するには至りませんでした。

トランプ政権が同様の動きをした際には、中国外交筋はしばしば非難の声を上げていました。

台湾の中央通信社が匿名の内部関係者の話を引用して伝えたところによると、台湾政府にとって、今回の招待は対米関係の「大きな突破口」となりました。

バイデン氏が国務長官に指名したブリンケン氏は19日の承認公聴会で、米国は台湾との非公式な関係を規定した法にのっとり、引き続き台湾の自己防衛力を確保していくと言明しました。

国際組織への参加などを含め、台湾が国際舞台でより大きな役割を果たすことをバイデン政権は望んでいると述べました。

台湾は国連に加盟していません。

台湾は新型コロナ感染拡大の制御で見事な実績を上げているにもかかわらず、中国政府は台湾の世界保健機関(WHO)への参加を制限しています。

トランプ氏は関係強化を支持したことから、台湾で高い人気を得ています。

台湾人の多くは、11月の米大統領選結果を受け、バイデン政権になればそうした支持がなくなると懸念していました。

蕭氏の招待とブリンケン氏のコメントは、そうした懸念をいくらか和らげたようです。ただ、専門家の間では、バイデン政権は台湾側の懸念払しょくに一段と力を入れる必要があるとの指摘が聞かれます。

米国の台湾へのコミットメントの重要性

就任式において台湾代表は他国の外交団とは違う場所に席を用意された様ですが、それでも公式に招待された事は米国政府の明確な意思表明です。

これまで台湾代表は知り合いの米国議員に就任式のチケットをわけてもらっていたそうですから、大きな違いがあります。

中国政府は今のところバイデン政権への批判を抑えている様ですが、中国軍は台湾への挑発行動を行っている様です。

昨日、英BBCは次の様に伝えています。

「台湾は、2日連続で中国の軍用機による大規模な侵入を報告しました。アナリストは、中国が台湾に対するバイデン氏の支持の度合いをテストしていると言います。」

そうです。中国はバイデン政権を試しています。

中国は相手が反応しないとわかると、なし崩し的に自国の権益を拡大する動きに出ます。

ここでバイデン氏は明確なメッセージを中国に伝えることが重要です。

今のところ、新大統領とその閣僚たちはこの点において、大きく道を踏み外す事は無さそうです。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。