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テスラの天下はいつ迄続くか

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高騰したテスラ株価

昨年は新型コロナの出現で世界の株価は大きく下げるものと予測されましたが、現実は大きく異なり、平均株価は上昇しました。

その中でも大きく値を上げたのが電気自動車(EV)で有名なテスラです。

イーロン マスク率いる同社の株価は昨年7倍に上昇しました。

同社に関して、英誌Economistが「A Tesla bull debates a Tesla bear」と題して記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

テスラの株価は右肩上がりに上昇します。

「常識外れの」スピードで高騰し、2020年には7倍以上に上昇しました。

自動車産業への影響は無視できません。

しかし、テスラを単なる自動車メーカーの尺度で判断するのは間違いです。

テスラはテクノロジー企業であり、自動車製造だけでなく、モビリティ、エネルギー(バッテリー技術と太陽光発電)、ロボット工学、ヘルスケアなどを融合した会社です。

その評価は、モビリティの未来を支配する可能性によって高まりました。

2020年の最初の9か月の営業利益率は7%近くで、他のどの大手ライバルよりも高く、上昇しています。

しかも彼らの市場は爆発的に拡大しています。

現在、電気自動車は全自動車販売の約3%を占めており、そのうちテスラが5分の1を占めています。

環境規制が厳しくなり、気候変動への懸念が高まるにつれ、世界で販売される全自動車の3分の1が2030年までに電気自動車になります。

2030年までに、イーロンマスクが予測しているように、テスラはEV市場の25〜30%を支配する可能性があります。


テスラの「生産問題」は過去のものです。

2020年にパンデミック前の納車目標である50万台をほぼ達成し、中国に新しい工場を建設しました。

1月18日に最初の小型SUVであるモデルYを納車しました。

テキサスの新しいバッテリー工場「ギガファクトリー」もまもなく生産開始します。

更に、新型コロナの危機の最中に120億ドルの資金を調達したことは、それが意のままに拡大できることを示しています。

 

同社のイノベーションにおける実績は、内燃機関の遺産から解放されるのに苦労している多くの自動車メーカーと、電気自動車になだれ込む新参者の両方に対して、テクノロジー面でリードし続けることを可能にします。

Appleなどの他のハイテク巨人と同様に、その製品は引き続き市場を定義します。

マスク氏は自動車をネットに接続された電子機器に作り直しました。

自動運転技術はすでに多くのテスラに搭載されており、規制当局がそれを承認するのを待っています。

これにより、世界がモビリティサービスに移行するにつれて、マスク氏はロボットタクシーの最前線に立つことになります。

テスラの最大の資産は、火星への先見の明のあるロケット旅行、神経科学、グリッドスケールのバッテリー、その他の革新的な技術であるマスク氏です。

テスラへの投資は、未来をドルに変える彼の天才への賭けです。

 

しかし、他の8大自動車メーカーを合わせたものに等しい8000億ドル(83兆円)のテスラの市場価値は、今後急激に減少する可能性があります。

競争はますます激しくなっています。

ゼネラルモーターズは、2025年までに30のモデルを市場に出すと述べています。

フォルクスワーゲングループは2030年までに70を目指しています。

中国の多くの新興企業もパワーアップしています。

2020年の利益の増加は投資家を安心させるかもしれませんが、主にカーボンクレジットの販売によるものです。

一部のモデルは経年劣化しています。

モデルSとモデルXの売上は減少しており、同社はヨーロッパでの市場シェアを失っています。 

それからマスクという経営者のリスクがあります。 彼は、不規則なツイートによって、過去に規制当局との論争に巻き込まれました。

しかし、彼はテスラ、スペースXのロケット、その他のベンチャーの間で事業を急速に拡大しています。

テスラの拡大は、、株主に災いをもたらす可能性があります。

テスラの他社との相違点

イーロンマスクの勢いは止まることを知らない様ですが、彼は今後も世界をリードし続ける事は可能でしょうか。

一つ参考になるのは、世界最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンの電気自動車への取り組みだと思います。

同社はクリーンエネルギーの最先端にある欧州に本拠を置いていることから、早くから電気自動車に取り組みました。

これまで電気自動車の開発に何と5兆円と5年の歳月を注ぎ込みました。

内燃機関で培った最高の技術を注ぎ込めば、テスラなんて難なく追いつけると思ったのでしょうが、結果は悲惨なものでした。

米紙ウォールストリートジャーナルはこのフォルクスワーゲンの失敗に関して「彼らはEV(電気自動車)ではハードウエアよりもソフトウエアの方が重要だという点を見落としていた。また、精巧に設計されたガソリン車を生産できるからといって、コードに精通しているというわけではない。」と結論づけています。

電気自動車はスマホと同じ様にハードウエアよりソフトウェアがより重要なんですね。

このコペルニクス的転回をを胆に銘じないと、これからの自動車産業は勝馬になる事が難しい様です。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。