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歯周病は万病の元

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歯周炎の恐ろしさを教えてくれたインド人歯科医

以前ロンドンに住んでいた頃、歯痛に悩まされ,歯科医に駆け込んだところ、歯周病だと診断されました。

その時に初めて、歯周病が様々な病気を引き起こす危険性についてインド人の歯科医から聞かされたのですが、その後研究が進み、歯周病をひきおこすマイクロバイオーム(細菌叢)が人体に相当な悪さをしている事がわかってきました。

英誌Economistが「Microbial ecosystems in the mouth and gut are linked to many ill - Understanding how will help treatments」(口と腸の微生物生態系は多くの病気に関連しています - いかに治療に役立てるか理解しましょう)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

「体のいかなる状態もマイクロバイオームが関与していない可能性は低いと思います。」これは、今年オンラインで開催された米国科学振興協会(AAAS)講演者の1人であるチャップル博士の発言です。

チャップル博士は、2020年まで、英国のバーミンガム大学の歯科医長であり、現在もこの分野で活躍する研究者です。

歯痛を経験したことがある人なら誰でもご存知の通り、口は悪玉バクテリアの繁殖地です。

しかし、健康な口でさえ、たくさんのバクテリアが生息しています。

 

一方、消化管の反対側の大腸にも、人体の細胞数を上回るほど多くの微生物が含まれています。

両方の細菌集団は何百万年もの間宿主と共に進化してきたので、チャップル博士が唱える通り、細菌集団と人体は密接な関係にあります。

米国科学振興協会では、最新の調査結果の幾つかが議題となりました。

チャップル博士は、歯周病と関節リウマチの関連性を研究してきました。

歯周炎になると、歯とその隙間にある細菌の数が数千から数百万に増加します。

歯茎には多くの毛細血管があるため、このような細菌は体の他の部分に移動します。

この事実は、関節炎だけでなく、糖尿病、アルツハイマー病他50を超える他の病気にも関連しています。

関節リウマチにはさまざまな形態がありますが、いずれも免疫系が体の関節を攻撃することを伴います。

チャップル博士の研究は、ポルフィロモナスジンジバリス菌がそのような反応を引き起こす可能性があることを示しています。

関節炎と歯周病の関連性はまだ暫定的でが、糖尿病の場合はそうではありません。

歯周炎に関連する細菌は、ブドウ糖を吸収する体の能力を破壊することが長い間知られており、その結果、糖尿病の特徴である血流中の糖のレベルが上昇します。

一方、逆のパターンもある様です。

高血糖値は体の炎症系を破壊し、歯周病を含む多くの合併症を引き起こします。

 

新しい研究では、クマール博士が、さまざまな細菌種とそれらが相互作用する免疫系の構成要素との間の関連性を確認しました。

彼女はこれを3つのグループの人々で行いました:歯周炎のある人、歯周炎と糖尿病の両方のある人、そしてどちらも持っていない人。

彼女の研究は、両方の病気を持っている人の場合、免疫系のネットワークが完全に崩壊されることを示しました。

人々の歯周炎を治療することは免疫系のネットワークを強化しました。

 

最も興味をそそる話は、歯周炎とアルツハイマー病の関係です。

カリフォルニア大学マーク ライダーは、それらがジンジパインとして知られている物質によってリンクされていると考えています。

これらはタウと呼ばれる神経タンパク質の絡み合いを引き起こします。

タウのもつれはアルツハイマー病の症状であり、この病気の人は、記憶形成に関与する脳領域のペアである海馬に高レベルのジンジパインを持っています。

 

消化管の反対側では、マイクロバイオームと別の神経疾患であるパー​​キンソン病との関連性の証拠が蓄積されています。

パーキンソン病を最初に発症した多くの人々が便秘などの消化器疾患を経験するという観察から始まりました。

パーキンソン病の人には、特定の種類の腸内細菌が異常に多く存在することが多いという発見がありました。

その1つが大腸菌です(写真ご参照)。

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出典:Economist

これは一般的なバクテリアですが、エモリー大学の研究者であるサンプソンによると、パーキンソン病の患者でのみ、結腸の内面に付着していることがわかりました。

付着するタンパク質はカーリと呼ばれ、カーリはα-シヌクレインと強い類似性を持っています。α-シヌクレインは、脳に蓄積するとパーキンソン病に関連する症状を引き起こします。

サンプソン博士は、この仮説をマウスでテストしました。

彼は、カーリを作ることができない大腸菌株を飼育し、マウスにそれを注射し、他のマウスには未修正の細菌を注射しました。

カーリ産生菌を投与されたマウスは、高レベルのα-シヌクレインを発生し、不随意の硬直などの症状を示しました。

これは、人に見られると、パーキンソン病に関連しています。

サンプソン博士は、症状が現れ始めるずっと前にパーキンソン病にかかりやすい人を特定できるのではと期待しています。


消化管の両端にある微生物叢でさらに興味深いのは、それらが相互作用する程度です。

たとえば、口はどの微生物が腸に到達するかを決定しますか?

それとも、腸内の微生物がそれを決定しますか?

或いはリンクがまったくありませんか?

現時点では、それらには答えがありません。

しかし、消化管の両端の間の微生物のつながりをマッピングする事は、今後行われる多くの会議において議題になる事は間違いありません。

大腸が果たす重要な役割

歯周病が糖尿病他重要な疾患を引き起こす可能性について警鐘を鳴らしてくれたインド人歯科医に感謝しています。

彼の指導のおかげで、歯周菌は激減し、関連症を起こすこともありませんでした。

最近は日本の歯科院でも歯周菌の有無を測定する様になりましたが、当時日本ではあまり注目されていませんでした。

それにしても、口腔内と腸内の細菌集団の関係は興味深いですね。

大腸は以前は食物より栄養分を摂取するのが役割と考えられていましたが、体の中に入った毒素を体外に排出したり、免疫力を生み出す上で主要な役割を果たしている事が最近の研究で明らかになってきた様です。

歯周病だけでなく、大腸にも配慮する必要がありそうです。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。