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米中対立の主戦場 となる東南アジア

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東南アジアの重要性

バイデン政権は慎重に対中戦略を練っている様ですが、両国の主戦場がインド太平洋地域になる事は間違いありません。

米国はこの地域に必要なリソースを手当てするため、中東など他の地域への関与を減らして行く事になると予測されます。

インド太平洋地域において、重要な地域として東南アジアがクローズアップされています。

英誌Economistが「The rivalry between America and China will hinge on South-East Asia - China’s advantages in the tussle are not as big as they seem」{アメリカと中国の競争は東南アジアにかかっている - 中国のアドバンテージは見かけほど大きくない)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

冷戦時代、米ソはは世界中で代理戦争を戦いました。

しかし、冷戦はヨーロッパで最も激しく、ソビエトは衛星国が崩壊することを常に心配しており、アメリカは常に同盟国が軟化することを恐れていました。

米中の対立は異なります。

一つには、両国の軍隊は前線を境に向き合っていません。

ただし、台湾と北朝鮮では、数十年にわたる緊迫した対立関係にあります。

2つの勢力間の競争において、東南アジアという主要な対立地域が存在するでしょう。 

東南アジアの人々は米中を2つの極と見なしており、国をそれぞれの方向に引っ張ろうとしています。

たとえば、最近のミャンマーでの軍事クーデターに抗議する人々は、アメリカに介入を懇願し、中国を攻撃するプラカードを掲げています。

政府は、どちらか一方を選ぶよう圧力をかけられていると感じています。

2016年、フィリピンのロドリゴドゥテルテ大統領は、「アメリカからの離脱」を発表し、代わりに中国への忠誠を誓いました。

南シナ海のほぼすべてが領海内にあるという中国の主張と、その主張に対するアメリカの反発は、主要な地域クラブである東南アジア諸国連合(ASEAN)に混乱を引き起こしました。

この対立は、2つの理由から、より激しくなるだけです。

第一に、東南アジアは中国にとって非常に戦略的に重要です。

石油やその他の原材料が中国に輸送され、完成品が出荷される貿易ルートにおいて、中国の玄関口にあります。

中国は日本、韓国、台湾、すべての堅固なアメリカの同盟国によって東に縁取られていますが、東南アジアは敵対的な地形ではなく、商業目的と軍事目的の両方でインド海と太平洋の両方にアクセスできる可能性があります。

中国は東南アジアで卓越した大国になることによってのみ、閉所恐怖症を和らげることができます。

 

しかも、東南アジアは単なる中継地ではありません。

そこで競争が激化する第2の理由は、東南アジア自体がこれまで以上に重要な市場であるからです。

欧州連合、ラテンアメリカ、中東を超える7億人が住んでいます。

その経済は、それが単一の国であったとしても、物価を調整すれば、中国、アメリカ、インドに次ぐ世界で4番目に大きな経済になるでしょう。

そしてそれは急速に成長しています。

インドネシアとマレーシアの経済は、10年間、年率5〜6%拡大しています。

フィリピンとベトナムの成長率は6-7%です。

ミャンマーやカンボジアなど、この地域の貧しい国々はさらに急速に成長しています。

その消費者は今や魅力的な市場を構成するのに十分なほど裕福です。

商業的にも地政学的にも、東南アジアは貴重です。

 

米中の内、中国が勝利者になる可能性が高いように見えます。

中国はこの地域の最大の貿易相手国であり、アメリカよりも多くの投資を行っています。

少なくともカンボジアは、事実上、すでに中国の属国です。

そして、アメリカの側に公然と立つ国はこの地域にはいません。

しかし、東南アジアは一方で不安を抱えています。

中国の投資は莫大ですが、欠点があります。

中国企業はしばしば汚職や環境破壊で非難されます。

多くの中国企業が地元の人よりも中国人労働者を雇うことを好み、経済への貢献を減らしています。

それから、貿易と投資を使って他国を罰するという中国の憂慮すべき習慣によって引き起こされる不安があります。

 

中国はまた、軍事的な強引さによって隣国を失望させています。

南シナ海における東南アジアの船舶への嫌がらせは、ベトナム他この地域のほぼすべての国との緊張の源です。

中国はまた、ミャンマーの民主主義政府と戦う武装勢力との関係を維持しており、過去に地域全体でゲリラを支援してきました。

 

この種の好戦性は、中国を東南アジアの多くで不人気にしています。

反中国暴動はしばしばベトナムで発生します。

世界で最も人口の多いイスラム教国であるインドネシアは、違法な中国人の移民から中国のイスラム教徒の少数派の扱いまで、あらゆることについて抗議を表明しています。

国民の反対意見がほとんど聞かれない共産主義独裁政権である小さなラオスでさえ、中国の支配についての不満は当たり前のことです。

東南アジアの指導者たちは、経済的影響を恐れて中国を公然と批判することを敢えてしないかもしれませんが、彼らはまた、自国民の批判を恐れて、あまりにも寛容であることは出来ません。

 

東南アジアの政府は、繁栄している隣国との貿易や投資を放棄することを望んでいません。

しかし、彼らはまた、アメリカが望んでいること、つまり平和と安定、そして法に基づく秩序も望んでいます。

東南アジアの大国は、米中両国にヘッジし、どのような恩恵を引き出すことができるか見守っています。

 

東南アジアが中国の思う壺にはまらないようにするために、アメリカは東南アジアに選択肢を提示し、中国の影響力に対するカウンターウェイトを構築すべきです。

1つのやり方は、より緊密な地域統合です。

現状では、東南アジア諸国間の貿易と投資は、中国とのビジネスを上回っています。

もう1つのやり方は、日本や韓国などの他のアジア諸国との関係を強化することです。

何よりも、アメリカは東南アジア諸国に米中どちらに付くか選ぶように強制しようとすべきではありません。

それは東南アジアが抵抗しようと決心していることの1つです。

窺える英国の戦略

Economist社と英国政府の間に直接の関係はありません。

しかし、英国政府の視点はこの英国を代表するオピニオンペーパーに屡々現れます。

英国が最近TPPへの参加を表明した事からもわかる通り、英国はインド太平洋地域への強い関心を有しています。

古くは列強の代表格として、中国や東南アジアに広く覇を唱えた英国は、衰えたといえども今も隠然たる影響力をこの地域に有しています。

この経験豊富な英国が、バイデン政権の対中、対東南アジア政策に深く関与してくるのではと睨んでいます。

これを警戒する中国はBBCの中国での免許を取り消しました。

今後も英国の動きに注目しましょう。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。