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カショギ氏暗殺事件に関するCIAレポート公表される

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カショギ氏暗殺事件の真相明るみに

サウジ人の国際ジャーナリストだったカショギ氏がイスタンブールのサウジ領事館で暗殺された事件については、このブログでも何度か取り上げてきました。

トランプ大統領はこの事件の真の責任者であるサウジのムハンマド ビン サルマン皇太子(MBS)の責任を追求しませんでした。

これに対してバイデン大統領は先日、CIAの調査レポートを発表して、皇太子に責任があるとの公式見解を裏付けました。

英誌Economistが「The CIA blames MBS for the murder of Jamal Khashoggi - The Biden administration is fed up with Saudi Arabia’s ruthless crown prince」(CIAはカショギ氏の殺害についてサウジ皇太子を非難 - バイデン政権は冷酷な皇太子にうんざり)と題した記事を掲載しました。

Economist記事要旨

2月26日、アメリカは2018年10月にサウジアラビア政府によって殺害されたジャマル カショギ氏の殺害に関するCIAの調査報告を発表しました。

報告は2年前に発表されるべきでしたが、サウジアラビアを守るとの名目でトランプ政権によって阻止されました。

CIAのレポートが発表されましたが、その内容はすでに公知のものでしたので、大きな反響は生まれていません。

米国は、サウジの皇太子で事実上の支配者であるムハンマド ビン サルマンがカショギ氏を捕まえるか殺す作戦を承認したと信じています。

しかし、米国は、殺人計画に関与したサウジアラビアの当局者に対する制裁措置を発表しましたが、殺害命令を出した事を否定した皇太子には制裁は課されませんでした。

 

カショギ氏の殺害は、世界の注目を集めました。

ベテランジャーナリストとしての活躍もあり、中東では大変著名な人物でした。

そして、犯罪の詳細は恐ろしいものでした。

彼はイスタンブールのサウジ領事館に入り、自らの結婚の事務処理を求めましたが、そこから出てこなかったのです。

何日もの間、サウジは彼の所在について何も知らないと主張しました。

実際、彼は領事館の中で殺害され、窒息死し、彼の体はプライベートジェットで飛んできた暗殺者のチームによって粉々にされました。

チームの1人のメンバーは、カショギ氏の服を着て、イスタンブールの路上で監視カメラを通り過ぎて、彼が無事に出発したように見せかけました。

 

これらの事実はすべて2018年以来知られています。

CIAはすぐにムハンマド王子に責任があると結論づけました。

そしてその結論は漏れました。

サウジアラビアのライバルであるトルコは、ジャーナリストに独自調査の詳細をリークして熱心に報道させました。

今回米国国家情報局によって新しくリリースされたレポートは、新しい情報をなんら追加しません。

たとえば、ムハンマド王子の責任の確固たる証拠はありません。

代わりに、 「サウジアラビア当局が皇太子の許可なしにこの種の作戦を実行した可能性は非常に低い」と報告書は結論付けています。

 

おそらく、アメリカのスパイはレポートが伝える以上のことを知っています。

彼らがリリースしたのは、機密レポートの編集版のみでした。

しかし、トランプ氏にとっては、それでも明らかにするには多すぎました。

ムハンマド王子は彼の政権、特に大統領の義理の息子であり顧問であるクシュナーと緊密な関係を結んでいました。

2019年に議会は、情報を後悔する事をを大統領に要求する法律を可決しましたが、トランプ氏はそれを無視しました。

ワシントンポストのジャーナリスト、ボブ・ウッドワード氏は、大統領は後に王子を保護したことについて自慢したと述べました。

「私は彼のお尻を拭いた」とトランプ氏は語りました。 

 

大統領選の最中、サウジアラビアを「下賤民」と呼んだバイデン氏は、同国との蜜月時代を終わらせる決心をしているようです。

報告書を発表する以外に、彼は皇太子と話すことをはっきりと拒否しました。

補佐官はこれをプロトコル上の単純な問題として説明しています。

「大統領のカウンターパートはサルマン国王です」とサキ報道官は説明しました。(代わりに、サウジ国防相でもあるムハンマド王子に対応する任務は、オースティン国防長官に委ねられました。)

プロトコール上間違ってはいませんが、バイデン氏の嫌悪感がそれ程強いのでならば、オースティン国防長官は皇太子と会話するのに苦労するでしょう。

 

バイデン氏がこれだけ早いタイミングで報告書を発表した事は、ムハンマド王子に対するアメリカの憤慨を物語っています。

多くの問題があります。

イエメンでは戦争があり、現在7年目に入り、戦略的失敗と人道的災害が発生しています。

2月4日、バイデン氏は、アメリカがそこで戦うサウジ主導の連合に対する軍事的支援を終了すると発表しました。

多くの民主党員はまた、反政府派に対する王国の徹底的な取り締まりを批判しています。

カショギ氏の事件が最も注目を集めましたが、当局は保守的な聖職者から女性の権利活動家まですべての人を標的にしています。 (サウジアラビアの裁判所は2月10日に、有名な活動家であるLoujain al-Hathloulを釈放しましたが、彼女は旅行禁止やその他の制限を受けたままです。)

 

皇太子の擁護者たちは、彼が冷酷であったことに異議を唱えません。

しかし彼らは皇太子には選択の余地がなかったと主張しています。

1953年以来、サウジアラビアは、国家の創設者である故アブドゥルアズィーズ王の年老いた息子たちによって統治されてきました。

ムハンマド王子の昇格は、長老支配からの大きな変化です。

従って、彼は王国に強力な敵を抱えています。

彼の台頭に嫉妬する小王族や、彼が減少させようとした聖職者などは、彼が王位から引き離されるのを見て、喜ぶでしょう。

 

わずか35歳の皇太子は、悪質で衝動的な支配者としての評判を確固たるものにしました。

CIAレポートはその見解を確認するように見えます。

しかし、彼を遠ざけることは別として、バイデン氏は彼にどう対処するかをまだ決定していません。

これは、多くのアメリカ大統領を悩ますであろう問題です。

政敵を暗殺するリーダーと付き合えるか

独裁国家のリーダーは政敵を抹殺する傾向があります。

金正恩やプーチンはその例ですが、このサウジの皇太子も政敵を亡きものにすべく、イスタンブールまで暗殺チームを派遣しています。

政治や外交は綺麗事だけでは進められませんが、犯行の手口といい、用意周到な準備と言い、カショギ氏を暗殺した皇太子に国際的な倫理観というものが備わっているとは到底思えません。

サウジは米国の同盟国であり、兵器も大量に購入してくれる大のお客さんです。

米国の防衛産業筋からは強力な圧力がバイデン氏にはかかってくると思いますが、ここは踏ん張って筋を通して貰いたいと思います。

サウジは米国製品を購入してくれるから、非人道的な行為も目を瞑るでは、米国の威信が傷つきます。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。