MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

コロナの最中に増税を発表した英国蔵相

f:id:MIYOSHIN:20210306202836j:plain

増税に関する英国国内評価

一昨日、英国の蔵相がコロナの真っ只中で法人税の大幅増税を発表した事を取り上げました。

フランスの経済紙はこの予算案を「英国の勇気ある決断」と称賛しましたが、当の英国ではどの様な評価がされているのでしょうか。

英誌Economistが「Britain’s expansionary budget - Rishi Sunak wants fiscal rectitude, but not yet」(英国の拡張予算 - リシ・スナックは財政規律を望んでいますが、簡単ではありません)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

英国は新型コロナにより大きな経済的打撃を受けました。

政府は他国よりも多くの財政刺激策を提供し、何百万もの人々の賃金を支払い、GDPの16%の規模で企業を救済しました。

英国が徐々にロックダウンを解除すると、関心は財政のバランスを取ることに変わり、3月3日、財務省は緊縮財政が準備されていることを発表しました。

それでも、大蔵大臣のリシ・スナックが実際に財布の紐を締めるのはまだ先です。

彼は驚くほど寛大な予算を出し、増税を延期しました。

予算は、2つの対立する力の統合を表しています。

一方で、スナック氏は、税金を低く抑えることを望んでいる一部の保守党議員など、さまざまなタカ派の支持者を懐柔したいと考えています。

一方、2007-09年の金融危機の後、前任のオズボーン財務大臣は支出を削減し、増税を急いだため、経済回復が遅れたので、同じ轍を踏まない様注意しています。

この予算は、英国がその深い経済的低迷から抜け出すのを助けるように設計されています。

4月から9月に一時解雇制度が延長されると、人々の懐にお金が入り、家計支出の回復に力を与えるでしょう。

企業が投資費用の130%を税控除できるという提案は、英国の永続的に低い事業投資率を高めるように設計されています。

同時に、予算には幾つかの盲点があります。

大きな問題は、財政規律を正すための信頼できる戦略がないということです。

確かに、スナック氏は2023年に法人税を19%から25%に引き上げることを約束しました。

政治的にはそれは賢明です。

それは野党労働党を微妙な立場に置き、増税を支持するか(暗黙のうちに緊縮財政を取り戻す)、反対するか(したがって英国の企業側に立っているように見える)を決定することを余儀なくさせます。

 

しかし、実際には、法人税の大幅な引き上げの可能性は低いと思われます。

選挙が間近に迫っている可能性が高いときに、彼は実際にそのような増税を課せるのでしょうか。

首相は、来たるべき投資ブームが大きなものになり、増税の大部分を取り消すことができることを望んでいる可能性が高いのです。

しかし、ある時点で、増税は避けられない事になるでしょう。

これは、英国の人口が急速に高齢化していることと、政府が来年以降、奇妙な事にウイルス関連の費用をまったく提供していないことが原因の1つです。

英国は、財政赤字の拡大が急増する傾向にあります。

首相はより高い税金に頼らなければならないでしょう。

最終的には、スナック氏はは財政上の美徳の道を歩む必要があります。

英国で活躍するインド系移民

本文で登場するスナック財務大臣はインド系移民です。

英国が元宗主国ということもあり、インド系民は各方面で活躍しています。

インド系移民が英国で下層階級をなしているかと言えば、全くそうではありません。

スナック蔵相が示す通り、閣僚に名前を連ねるほど、各方面で活躍しています。

ロンドンに住んでいた頃通った歯科医もインド人でしたし、高学歴なインド系移民が多く見られるのが英国の特徴です。

英国はインド人に限らず優秀な外国人を移民として積極的に受け入れています。

単に高学歴だけを求めているわけではありません。

私が住んでいた頃の英国では、労働ビザが取りやすいのはバレリーナと数学の先生でしたし、行きつけの寿司屋の日本人板前さんも永住ビザを取得しました。

要するに英国の価値を高めてくれる人材であれば職種を問わず、芸術からテクノロジーに至るまで広く外国から人材を募っているわけです。

最近日本でも外国人労働者を多く見かける様になりましたが、その多くはコンビニや建築現場で安い賃金で働かされています。

手に職を持った優秀な外国人が日本で働く事を夢見る様な環境を育てる事が、重要と思います。

「ウィンブルドン現象」は自国の選手が勝たなくても大会そのものが盛り上がる事が重要という英国人の実利的な考え方を象徴するものですが、我々も彼らに学ぶところは多いと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。