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北朝鮮にどう向き合うか- バイデン 政権に打つ手はあるか

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アジアを不安定にする北朝鮮

北朝鮮は昨年新型コロナ感染が始まって以来、自国を鎖国化し、生命線であった中国との取引も自ら断ちました。

これは北朝鮮の国民に大きな負担を与えている事は間違いありません。

北朝鮮の存在はアジアの平和安定に大きな懸念材料となっていますが、バイデン 政権には秘策があるのでしょうか。

米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「How Do You Solve a Problem Like Korea? - Pyongyang shrugs off sticks and turns up its nose at carrots. Biden has few options.」(朝鮮半島の問題をどのように解決するか?北朝鮮はムチはかわし、人参には鼻を向ける。バイデン 政権に殆ど打てる手はない。)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJ記事要約

北朝鮮の金正恩総書記の公式の伝記が出版され、韓国語版がウェブ上にアップロードされたと、ウォールストリートジャーナルが伝えました。

この伝記の著者らが、金氏を持ち上げていることは驚くに値しません。

彼らはトランプ大統領らとの首脳会談の動きを要約して「わが国人民の偉大さと尊厳が全世界からこれほど注目された時代は、わが国5000年の歴史の中でかつてなかった」と褒めたたえました。

彼らは間違ってはいません。

国内総生産(GDP)が260億ドル(約2兆8000億円)以下と推計され、人口が2600万人の北朝鮮は、その実力よりずっと大きな影響力を示しています。

金氏は、自分が破綻国家のおかしな指導者だと考えてはいません。

彼は、自分が勝者であり、世界の超大国に対等の取引を強いてきた小国の、比類なき指導者だと考えています。

米政権はまたしても、北朝鮮政策を練り上げるという困難で報われない作業と格闘しています。

バイデン大統領のチームは、厳しい制裁措置を実施しても効果がない可能性が大きいことを理解する必要があります。

制裁支持者らはこれまで何年も、米国が中国の全面的協力を得られさえすれば、北朝鮮は何らかの非核化措置を受け入れざるを得なくなると主張してきました。

その可能性は残念ながら高くありません。

中国はこれまでもしばしばそうであったように予測不可能で破壊的な北朝鮮の政治に対するアプローチに悩まされており、隣国を不安定化するほどの厳しい制裁を科すことには決して賛成しないでしょう。

より重要なのは、金政権が簡単には経済的圧力に屈しない点です。

北朝鮮政府は、新型コロナを封じ込める対策として、自発的に自国を孤立させる措置を講じましたが、それはどんな制裁よりもはるかに大きな打撃をもたらすものでした。

中国との貿易は80%減少し、GDPは推計で10%減少しました。

穀物生産は、全国民に行き渡らせるのに必要とされる550万トンを100万トン下回るとみられています。

大半の工場は予備の部品が不足しているために閉鎖されているほか、停電が頻繁に起きています。

これら全てのことにもかかわらず、政府はパンデミック(感染症の世界的大流行)が終わるまで、この方針を堅持する決意を示しています。

北朝鮮政府が目標追求のために国民に大きな苦痛を強いる姿勢を示すのは、今回が初めてではありません。

この決意は恐らく、はるかに切迫した事態に直面すれば崩れるでしょうが、1990年代の大規模な飢饉(ききん)の際も、同政権は核開発を放棄しませんでした。

制裁だけでは、それがいかに厳しいものであったとしても、この国を服従させることはできないでしょう。

北朝鮮政府はムチを払いのけるだけでなく、アメも鼻であしらいます。

中国指導部は1世代以上にわたって北朝鮮に対し、中国を世界第2の経済大国にした経済政策を受け入れるよう説得を試みてきました。

韓国は何度となく支援を申し出ています。

金政権は時々小さな変更に手を出すものの、北朝鮮をアジアの成長軌道に乗せるような改革の導入をかたくなに拒否しています。

金王朝の視点(それは北朝鮮政治で重要とされる唯一の視点だ)からすると、これは理にかなっています。

軍の既成勢力が支配する閉鎖的な指令経済は、王朝の絶対的権力を強固なものにします。

経済を開放すれば、外国の投資家や外国の考えが存在感を示すのを許すこととなり、金王朝の権力が希薄化することは避けられないでしょう。

金政権が民間経済の繁栄を望んでいないことは明らかです。

経済の軍事化と資源の恒常的な欠乏は、権力を中枢に集中させます。

核兵器開発計画は金政権を外国の軍事圧力から守り、世界でも第一級の抑圧体制は権力者を国内の不満から守ります。

核兵器は、これを懸念する諸外国が金政権の機嫌を伺う姿勢につながり、北朝鮮の権力者とそれに従属する人々にとって、金王朝の重要性を高めることになります。

そして、諸外国は、核開発のさらなる進展を抑制するために飴(経済援助)を用意しますが、それは、金体制の支持者の手に渡り、金体制の権力をさらに強化します。

金王朝による人的コストは恐ろしいほどのものです。

しかし、その目的が金体制による国の完全な掌握と、北朝鮮の国家としての完全な独立を維持することであれば、このやり方は明らかに機能しています。

国内での現行体制を維持しようとする金王朝の戦略は、国際的に深刻な不安定をもたらしています。

核兵器の増強、ミサイル発射システムの向上、サイバー兵器や生物化学兵器など非通常兵器の実験において、北朝鮮に対する懸念はますます大きくなりつつあります。

そして、インド太平洋地域の情勢が一層不安定となる中、北朝鮮の行動がより広範な紛争を引き起こす危険が高まることは避けられません。

こうした理由に基づき、バイデン政権は北朝鮮が方針を変えるよう説得するか、あるいは強く要求するとみられます。

しかし、自身の戦略が輝かしい成功を収めていると考える金正恩の確信を揺さぶることができないかぎり、バイデン政権は、前任者たちと同様、勝てるカードを持ち得ないでしょう。

北朝鮮とどう向き合うか

北朝鮮の扱いは本当に難しい問題で、我が国にとってもこれだけ近い距離にその行動が予測不可能な国家が存在することは、安全保障上極めて大きな問題です。

この問題を解決する事ができるのは、朝鮮半島の再統一しかないかも知れません。

しかし、再統一には大きな障害が待ち構えています。

それは米中両大国の反対です。

米国にとってみれば、朝鮮半島に軍事基地を維持することは、中国の喉元に匕首を突きつけることになるので、絶対に譲れない点です。

従い、韓国との安全保障条約は維持したいと思っています。

一方、中国にとってみれば、再統一された南北朝鮮が米国と軍事条約を維持して、今の北朝鮮に米軍の基地が建設されるなんて事は悪夢でしかないでしょう。

北朝鮮は中国にとってみれば緩衝国として不可欠なのです。

米中大国の思惑が交差する朝鮮半島において北朝鮮は残念ながら当面このまま存在しそうです。

最後まで読んで頂き、有り難うございました。