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台湾への武力行使の可能性は

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厳しい応酬が続いた米中のハイレベル会談

バイデン政権の最初のハイレベル会議は先週アラスカで行われましたが、冒頭から双方の厳しい批判合戦が始まり、外交儀礼から逸脱した内容になった模様です。

もちろん国内に対するポーズを示すため、強硬姿勢に出たと言う可能性もありますが、バイデン政権が中国に対して厳しい姿勢で臨む事はどうやら間違いなさそうです。

一国二制度を約束された香港が、国家安全維持法の導入以降、民主運動を抹殺された今、焦点は台湾に移っています。

中国が台湾を征服するか否かについて英誌Economistが「China faces fateful choices, especially involving Taiwan - To many Chinese, the island’s conquest is a sacred national mission」(中国は台湾を併合するか否かと言う運命的な選択に直面している - 多くの中国人にとって、台湾の征服は国家の神聖な責務である)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

中国の台頭において、国の指導者である習近平にとって幾つかの重要な決定が含まれます。

そのなかでも2400万人の民主的な親欧米の島、台湾を攻撃し、共産党の支配下に置くかどうかほど重要なことはありません。

ある日、赤い旗を付けたリムジンが習氏を征服者として台北の通りを行進させた場合、彼は共産主義者の永遠の英雄になります。

彼は、国民党政権が台湾に亡命した1949年以降、未完のままにされた中国の内戦の共同勝利者として毛沢東と同列に加わるでしょう。

おそらく、習氏は、火に焼かれ、血に染まり、戒厳令によって台湾人を排除した台北の通りを通り抜けるでしょう。

しかし、台湾の征服は他のどの国も中国の意思に逆らえない最強国へ中国が昇格する事を意味します。

習近平が人民解放軍に台湾を奪取するよう命じる場合、彼の決定は何よりも、アメリカが中国を止めることができるかどうかというただ1つの判断によって行われるでしょう。

71年間、台湾の自治は、アメリカによる中国の侵略抑止に依存してきました。

確かに、中国は戦争を回避する他の方法も試みたので、台湾はある意味中国の忍耐力からも恩恵を受けました。

鄧小平の時代以来、中国の指導者たちは台湾を経済的に本土に結び付けようとしてきました。

彼らはまた、「一国二制度」のお題目の下で、彼らが北京からの支配を受け入れるならば、自治を約束して台湾国民を丸め込もうとしました。

しかしその約束は、同様の約束が提供された香港での自由の崩壊によって、昨年、疑わしいものから全くあてのならないものに変わりました。

一方、中国は「平和的な統一」に対する忍耐力を失いつつあり、最悪の事態を想定する必要があります。

基本的に、アメリカの援軍が到着するまで台湾軍が持ちこたえる事態を恐れて、中国は自重してきました。

 

このアメリカの果たす役割について、経験豊富な集団であるバイデン政権は熟知しています。

そのため、バイデン政権の就任4日目に、国務省は、台湾を威嚇する軍事的、経済的、外交的試みについて中国を非難し、島に対するアメリカのコミットメントを「石の様に固い」と宣言しました。

 

実際には、台湾への侵略を阻止するアメリカの能力は崩壊しつつあります。

主な理由は、20年以上にわたって、米軍を寄せ付けないために必要な高度な兵器とスキルを中国がひたむきに追求したことです。

もう1つは、習氏の歴史的使命感と、彼の権威を強化するためのポピュリストナショナリズムの高まりです。

 

ワシントンのシンクタンクである戦略国際問題研究所のボニー・グレイザー氏は、バイデン政権は中国と台湾について話す時に、事故や誤算を防ぐために決意を示していると述べています。

この問題に通暁した学者であるグレイザー女史が、中国と台湾の飛行機や艦船間の偶発的な衝突や、5年か10年後の意図的な軍事紛争の可能性について懸念を表明している点は注目に値します。

ジョージ・W・ブッシュの元国家安全保障補佐官であるロバート・ブラックウィルは、アメリカに軍事力強化だけではなく、「地理経済的抑止力」を生み出すことを望んでいます。

彼は、アメリカ、そして日本などの同盟国は、中国が台湾を攻撃した場合、ドルベースの金融および貿易システムから追放する事を明確にすべきだと述べています。

 

しかし、悲しいかな、中国を抑止することの最も難しい部分は、中国の侵略に挑戦するための強力な同盟を構築することを含みます。

冷戦との比較は問題を正確に捉えていません。西ベルリンの存続は、アメリカとそのNATO同盟国によって重要な国益と見なされていました。

しかし、当時のソビエト連邦が経済面では小国であった事を忘れてはいけません。

今日、アメリカの地域同盟国の間では、台湾の存続は重要ですが、多くの場合彼らの最大の貿易相手国である中国を怒らせる価値があるというコンセンサスはありません。

 

一方、中国の指導者たちは、外部の経済的圧力に対する自国の脆弱性を軽減しようとしています。

昨年5月の記事で、元空軍少将のQiao Liangは、台湾をめぐる戦争で、アメリカとその同盟国が中国の輸出入へのシーレーンを封鎖し、中国の資本市場へのアクセスを遮断すると予測しました。

同将軍は、中国が世界の他の地域への依存を減らすという習氏の政策を正当だとしました。

彼は、台湾問題の鍵は、中国とアメリカの力比べの結果であると付け加えました。

将軍のコメントは習政権下の中国の多くの人々の見解を反映しています。

それはアメリカの同盟国の判断を慎重にさせるはずです。

多くの中国人にとって、台湾の征服は単なる神聖な国家的使命ではありません。

その実現はまた、アメリカのグローバルなリーダーシップが終わりに近づく事を示します。

中国が耐えられる費用でその任務を完了することができると信じるならば、彼らは行動を起こすでしょう。

台湾問題の難しさ - 日本はどう対応するか

台湾は中国にとって核心的利益です。

共産党との内戦に敗北した国民党が逃げた島ですので、中国共産党にしてみれば、唯一残った未解放の国土という位置付けだと思います。

人民解放軍という名前が示す通り、中国の国軍は人民を開放する事を使命としていますので、台湾開放は彼らの一丁目一番地の責務なのです。

リーマンショックやコロナといった世界的な問題を欧米に比べ遥かにうまく解決し自信をつけた中国は、ナショナリズムの高まりとあいまって、台湾に武力攻勢をかける懸念は十分にあります。

その時、日本はどうするのでしょうか。

台湾を守るために、米国との集団的自衛権を行使して援軍に加わるかそれとも腕組みをして戦況を見守るのでしょうか。

バイデン大統領は最初に直に面談する外国の首脳として菅首相を指名しました。

会談では、台湾をどうするのかという問題が中心議題として俎上に上る事は間違いありません。

台湾の防衛に協力してくれないなら、尖閣も守れないと米国は言ってくるでしょう。

ともかく、中国に台湾を武力で奪い取るという選択をさせてはいけません。

そのために日米はあらゆる手段を講じるべきと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。