MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

未開の大陸アフリカは覚醒するか

f:id:MIYOSHIN:20210324192318j:plain

意外に大きいアフリカ大陸

アフリカ大陸の面積がヨーロッパの3倍あると言うと、多くの人は驚かれると思います。

見慣れたメルカトル図法で描かれた世界地図は両極に行けば行くほど大きく描かれるので、赤道を中心に南北に広がるアフリカ大陸は実際よりかなり小さく見えるのです。

この広大な未開のアフリカが経済的に今世紀覚醒するのではと多くの専門家が見ています。

英誌Economistが「The right way for Africa to promote manufacturing - The prospects are better than previously thought」(アフリカで製造業を促進する正しい方法 - 見通しは以前想定されていたより明るい)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

南アフリカの製造業の興亡を象徴する建物として、Gqeberha(以前のポートエリザベス)にある古いゼネラルモーターズ自動車工場よりも優れているものは無いでしょう。

アパルトヘイトの間、工場は、関税によって国際競争から保護されました。

南アフリカの自動車産業の象徴である同工場は、2009年から2017年の間に4人に1人を解雇し、2017年に閉鎖されました。

これは、大陸全体で製造業が大幅に衰退している典型的な例です。

1975年から2014年にかけて、サハラ以南のアフリカにおける製造業のGDPのシェアは19%から11%に低下しました。

 

この製造業の崩壊には多くの原因があります。

ザンビアなどの国では、企業が国有化され、官僚によって滅茶苦茶にされました。

ナイジェリアのような資源の豊富な場所では、石油やその他の資源の輸出が現地通貨の過大評価につながり、物を作るよりも輸入する方が安くなってしまいました。

1990年代に大陸の多くの国が輸入開放したため、製造業者は、安価な中国製品に対抗するのに苦労しました。

 

2015年、ハーバード大学のエコノミストであるダニ・ロドリックは、アフリカの「早すぎる産業空洞化」について書いています。

大陸は、生産性を高め、雇用を創出するための重要な手段を失った様だと彼は書きました。

2035年頃までに、アフリカでは世界の他の地域を合わせたよりも多くの若者が労働力に加わることになるのですが、ロドリックの説は果たして正しいのでしょうか。

ありがたいことに、最近のデータはそうではないことを示唆しています。

サハラ以南のアフリカの製造業の不振は2000年代に底を打ちました。

2010年以降、アフリカの工場の労働者数は着実に増加しています。

工場の生産量についてもそうです。

産業空洞化への懸念は、今では時期尚早のように見えます。

 

多くのアフリカの指導者は、不安定なコモディティへの依存を回避するため、また一部はパンデミックにおいて医薬品を迅速に輸入することが非常に困難であると感じているため、製造業の促進に熱心です。

最良の結果を得るには、過去の失敗から学ぶことから始める必要があります。

これは、企業を国有化したり、自国の産業を甘やかすため、補助金を出したり、輸入障壁を引き上げたりすることを止める事を意味します。

多くの指導者は、今年発効した大陸全体の自由貿易協定を賢明に受け入れています。

それは明るい希望を提供します。

内陸国のルワンダのマットレスメーカーは、遠く離れた日本よりも隣のコンゴで注文を獲得することによって成長する可能性が高いのです。

 

しかし、政府が害を及ばさないだけでは十分ではありません。

企業は生産性を向上させるために、信頼できる電力、教育を受けた労働者、および優れたインフラストラクチャを必要としています。

難しい選択は避けられないので、政府はコモディティとは関係のない投資を選ぶべきです。

これは、鉱山ではなく、工業地帯へ繋がる道路を備えた港を建設することを意味します。

一部の政府は、自動車製造のような戦略的に重要な産業に参入するために企業に税制上の優遇措置を与えています。

 

インフラストラクチャとガバナンスが改善されれば、より多くの企業がアフリカに工場を建設して、地元のサプライヤーの部品を使用してグローバルサプライチェーンのコンポーネントを製造することを選択する可能性があります。

アフリカの工業化はアジアと同じではないでしょう。

状況は異なり、テクノロジーは進化しています。

しかし、アフリカでは製造業は育たないという考えは間違っているようです。

より良い政策が施されれば、企業は成長する方法を見つけることができます。

アフリカの時代は来るか

アフリカの成長ポテンシャルが大変大きいのは間違いありません。

「2035年までにアフリカでは他の地域を全て合わせたよりも多くの若者が労働人口に加わる」と言う点は大変な魅力です。

経済はやはり人口動態に左右されます。

これだけ若い人口を持っているのはアフリカの経済が爆発的に成長する可能性を持っている事を示します。

しかし、このアフリカの成長にブレーキをかけるものがあるとすると、政府の腐敗でしょう。

アフリカの時代が来るか否かは、優秀で清廉なリーダーが現われ、教育とインフラに適切な政策を施すか否かにかかっていると思います。

我が国も手助けできる点があるかも知れません。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。