世界経済の大動脈での座礁事故
スエズ運河で大型コンテナ船が座礁したとのニュースが流れました。
原因は霧の様ですが、どうもこの船を元に戻すのは想像以上に大変な作業の様です。
英BBCが「Suez Canal: How are they trying to free the Ever Given?」(スエズ運河:どのようにしてエバーギブンを解放しようとしているのか?)と題して現状をレポートしています。
かいつまんでご紹介したいと思います。
BBC記事要約
スエズ運河で座礁した巨大なコンテナ船を解放する作戦が続いており、数日場合によっては数週間かかるとの警告が出されています。
台湾の会社エバーグリーンマリンが運営するエバーギブンは、4つのサッカー場を連ねた長さで、運河の南端を横切って横たわっており、他の船が世界で最も忙しい水路の1つを通過するのを遮っています。
エバーギブンをどのように動かすことができるのでしょうか?
船の運航を管理している会社、Bernhard Schulte Shipmanagement(BSM)によると、船を解放するために最大9隻のタグボートが配備されています。
船の長さは400メートル(1,300フィート)で、幅が200メートル(656フィート)もない運河を斜めに横切っています。
タグボートは、ケーブルを使用するか、被災した船の横に直接配置して、運河の両側の砂の土手から船を移動させようとしています。
BSMは、木曜日に行った試みは失敗し、すぐに再試行すると述べています。
船は両岸の土手にしっかり食い込んでいるので、これまで行ったやり方では船を移動させるのが非常に難しいことが証明された、と米国キャンベル大学の海事史の専門家であるメルコリアーノは言います。
船の周りの運河を浚渫する作業も進行中です。
オランダに本拠を置く浚渫会社Boskalisはこれを試みており、船体の周りから砂や泥を取り除きます。
同社の社長であるベルドウスキー氏は、浚渫、引っ張り、船からの重量の除去を組み合わせて「砂の上の巨大な重量」を開放すると述べています。
海事の専門家であるメルコリアーノ氏は、スエズ運河は通行可能性を維持するためにとにかく浚渫され続けていると述べています。
スエズ運河は2015年に拡張され、「エバーグリーン」のサイズの船舶が通過できるようになりました。
20万トンの船舶を再浮揚させる取り組みの次の段階は、燃料と貨物を取り除くことです。
エバーギブンのサイズの船は、2万個もの20フィートコンテナを運ぶことができます。
ただし、これを行うと、損傷を引き起こしたり、船のバランスを崩したりする可能性があるため、危険が伴います。
したがって、繊細で時間のかかる操作になります。
「大型の浮きクレーンを持ってくる必要がありますが、今何をするにしても、船の安定性を計算し、それが安定性にどのように影響するかを判断する必要があります」とメルコリアーノ博士は言います。
「最悪のシナリオは、不均一な体重分布のために船が半分に壊れるというものです。」
また、クレーンを使用して貨物コンテナを取り除こうとすると、船に積み上げられている高さを考えると難しい場合があります。
船のタンクから燃料を排出する方が簡単な操作ですが、重量を十分に減らすことができない場合があります。
運賃高騰の可能性
サッカー場4面を連ねた長さ(全長400メートル)を持ち、2万個のコンテナを搭載できる船、想像を絶する大きさですね。
私も何回か大きな船に乗った事がありますが、この船は規格外の大きさです。
これだけの巨体を持つ船の慣性はとてつもなく大きく、ゆっくりした速度で運河を進んでいたと思いますが、両岸に激しくくい込んでしまっているものと思われます。
昨年から今年にかけて船の運賃が急激に上がりました。
これはコロナ感染拡大により巣篭もり需要が増加した事やトラックの運転手がコロナにより十分集められなかったため、港の荷捌きが遅れたためと見られています。
NHKは中国から北米へのコンテナ船運賃が去年の同時期の2.7倍にもなっていると伝えています。
世界物流の大動脈で生じた今回の座礁事故、運賃の更なる上昇に繋がらなければと思います。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。