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ミャンマーの市民弾圧に対し有効な手はあるのか

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血塗られた国民の祝日

ミャンマーの軍隊による市民弾圧は止まる気配をみせません。

毎日100名近くの犠牲者が出ており、その中にはデモに参加していない子供や一般市民も含まれます。

市民に銃口を向ける国軍の姿勢には国際社会から厳しい非難が浴びせられていますが、国軍は一向にその姿勢を改めようとしない様です。

この惨事に出口は見えるのか、英誌Economistが「Myanmar’s army kills more than 100 protesters in a single day - Brutal repression is encouraging protesters to take up arms」(ミャンマー軍は1日で100人以上の抗議者を殺害 - 残忍な弾圧は、抗議者が武器を取ることを選択させている)と題する記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

ミャンマー軍は、国民を保護し、民主主義を促進するために存在すると、最高司令官のミン アウン フラインは、3月27日、首都ネピドーの祝賀パレードで宣言しました。

この日は、軍の栄光に捧げられた国民の祝日であり、行進する兵士のパレードで祝われましたが、どんなに多くのファンファーレも、指揮官の言葉の虚ろさを隠すことはできませんでした。

ミャンマー全土で、治安部隊は軍事クーデターに反対する抗議運動を鎮圧しました。

この日軍は少なくとも114人を殺害し、クーデター以来の最悪の日となりました。た。

 

人々は警告されていました。

前日、政権は、軍が運営するテレビチャンネルを介して、抗議者がそれを無視し続けた場合、「背中か頭の後ろから」抗議者を射殺すると脅迫していました。

穏やかなピアノ曲が流れる中、アナウンサーが不気味に落ち着いた声で読み上げた軍の脅迫は、軍が抗議者を追い散らしただけではなかった事を証明しました。

地元の監視グループである政治囚人支援協会によると、3月27日まで、治安部隊によって殺害された人々の約4分の1が頭を撃たれていました。

 

少数の抗議者がパチンコやエアガンなどの自家製の武器で武装していますが、ほとんどのデモは平和的です。

弾圧の犠牲者の中には、抗議者でさえない人もいます。

子供を含む多くの傍観者が暴力に巻き込まれています。

軍事パレードの日だけでも、1歳の少年の目にゴム弾が当たりました。13歳の少女が自宅で射殺され、16歳の少年がバイクの上で銃撃されました。

全国の都市や町での殺害を伴う流血は、クーデターが始まってから殺された抗議者と傍観者の数は440人を超えました。

 

非難は迅速でした。

司令官とその仲間に制裁を課したアメリカ、イギリス、欧州連合は、暴力を非難しました。

アジア、ヨーロッパ、北米の12か国の国防長官は、軍に弾圧を停止する様促しました。

しかし、非難は普遍的ではありませんでした。

中国、インド、ロシアの代表が軍事パレードに出席しました。

ミン・アウン・ライン将軍はロシア国防相を「真の友人」と呼びました。

ロシアと中国は、国連安全保障理事会での拒否権を利用して、戦争犯罪を調査および起訴する国際刑事裁判所にミャンマー軍が付託されるのを防いでいます。

 

クーデターに対するミャンマーの人々の反対は揺るぎないものです。

さらに多くの血が流れようが、彼らの信念はかわらないでしょう。

ある24歳の抗議者は、火炎瓶とパチンコだけで武装し、商業の中心地であるヤンゴンのバリケードを守るために数週間を過ごしました。

彼のグループは数の面で劣勢ですし、装備も劣っています。

それでも彼らは、軍は「私たちよりも怖がっている」と考えています。

文民政府を設立しようとしている国会議員のグループは、少数民族を代表するいくつかの民兵を統合して、国軍に抵抗することについて議論しています。

ニューヨークタイムズ紙によると、一部の学生、活動家、サラリーマンは、軍事訓練を受け、軍事施設を妨害する計画を立て、ミャンマーの国境にあるジャングルに向かった様です。

何十年も戦闘に明け暮れてきた軍隊を大した訓練も受けていない民間人のグループが打ち負かす可能性は、低いです。

しかし、ミャンマーのな国境地帯を占領した多数の民族民兵による協調的な反乱は、国軍の仕事を困難にするでしょう。

クーデターの2か月前に、そのような民兵の1つであるアラカン軍との停戦を国軍は行い、市民蜂起が予想される国の中心部に軍隊を移動させた、とセキュリティアナリストは分析しています。

複数の前線で戦わなければならない場合、国を統治するのは困難になるでしょう。

 

一部の民族民兵はすでにのろしを上げています。

2018年に停戦交渉を開始して以来、ミャンマー軍との衝突を極力控えていたカチン独立軍は、クーデター以来、政府軍と数回小競り合いを繰り広げてきました。

それは3月15日にカチン州の国軍陣地の一部を占領しました。

いくつかの反乱グループとの軍の停戦協定の当事者であるカレン民族同盟は、抗議者と同盟を結び、3月27日にカレン州の軍基地を占領したと主張しました。

同日、最大の民兵組織の一つであるシャン州軍のリーダーであるYawd Serkは、連邦軍の結成を支持するとロイターに語りました。

「民族武装グループは今や共通の敵を抱えており、私たちは手を取り合って民衆を傷つけている人々に立ち向かう必要があります」と彼は言いました。

残念ながら、軍の記念日の流血は暴力の終わりにはなりません。

有効な手を打てない西側諸国

市民に銃口を向けるミャンマー軍は厳しく非難されるべきです。

一方、これを容認している中国やロシアにも責任があります。

最近民主主義国家はミャンマーに限らず、ベラルーシなどでも見られる様に、強権的な政府に対して抗議はするものの、市民の行動に効果的な支援を与える事に成功していません。

中国の体制は一党独裁の政治システムと高度経済成長を組み合わせたものになっており、多くの強権的な国家の為政者にとって、理想のモデルとなっています。

新型コロナ感染を食い止めた中国の個人に対するコントロールは民主主義国家では許されませんが、中国のシステムが感染防止に有効である事を証明しました。

この辺りで、日本を含めた民主主義国家は発展途上国に対して効果的な政治経済モデルを提示できないと、益々強権的な国家が増えていくのではと心配です。

中国やロシアはそれをほくそ笑んで見ています。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。