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コロナ感染下、高騰する先進国住宅価格

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大きく外れた予測

新型コロナの感染が始まった頃、多くの人が世界は深刻な経済危機に見舞われ、その規模はリーマンショックを上回るモノになるのではと予測しました。

実際、世界の株価は一時下落しましたが、その後、右肩上がりで上昇し、米国を初め多くの国で史上最高値を更新しています。

株価以外にも大きく値上がりしたものがあります。

それは不動産です。

英誌Economistが世界の不動産価格の急上昇に関して「House prices in the rich world are booming」(先進国では住宅価格が高騰している)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

ロンドンの北80 kmの町、キングスミアでは10年間で1,600戸の住宅が敷地内に建設され、さらに900戸が間もなく建設されます。

不動産仲介業者Bovis Homesの営業所は、「こんなに忙しいことをなかった」と述べています。

ニューヨーク市の北130 kmの村であるラインベックでも不動産業界は同様に活気に満ちています。 

キングスミアとラインベックだけが盛り上がっている訳ではありません。

アメリカの住宅価格は1月までの1年間で11%上昇し、15年間で最も速いペースでした。

英国では昨年8%増加し、ドイツでは9%増加しました。

このパターンは、豊かな世界の多くで見られます(図を参照)。

エコノミストが追跡した25か国で、住宅価格は過去12か月間に平均5%上昇しました。

価格が下がったのは日本だけでした。

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出典:Economist

 

過去10年間のパターンとは一線を画し、最も上昇しているのは、都心ではなく、人口は少ないが通勤可能な場所の価格です。

新型コロナは、パンデミックに打ち勝つ可能性のある業界を見つけたようです。

 

一見すると、新型コロナによる経済混乱と住宅価格の堅調さは、矛盾しているように見えるかもしれません。

不動産価格は通常、経済と連動して変動します。

しかし、今回は、一時帰休制度と財政刺激策により、住宅の投げ売りは制限されました。

金利は前例がないほど低く、アメリカでは30年の住宅ローンを利用している人は2010年の金利水準を1.5パーセントポイント下回っています。

ロックダウンと支出の機会の減少は、仕事を続ける事ができた人から現金の使い道を奪いました。

英国の不動産コンサルタント会社であるLucianCook of Savillsは、住宅の価値は「持っていない人ではなく持っている人によって動かされている」と述べています。

アメリカでは、住宅ローン申し込み全体の14%がべ2月に申請された別荘向けで、昨年の2倍でした。

新型コロナが広まり、多くの国でロックダウンが行えわれると、人々の家はオフィス、学校、ジム、パン屋も兼ねる存在となりました。

したがって、多くの人が自分たちの持ち家に大金を費やしました。

アメリカ最大のDIYストアであるHomeDepotの収益は、昨年20%増加しました。

 

他の人々は新しい住居を探しました。

より広いスペースが必要な場合、最善の解決策は市内中心部から移動することです。

たとえば、ロンドンの1平方フィートあたりの価格は、周辺の郡よりも40%高くなっています。

人口密度は低いが通勤可能な英国の住宅価格は、人口密度の高い地域よりも過去1年間で急速に上昇しています。

対照的に、ロンドン中心部とシドニーの住宅価格は、昨年、それぞれわずか4%と3%しか上昇せず、マンハッタンは4%減少しました。

 

パンデミックは、海外から都市への人の動きを制限しました。、ロンドンの居住者人口は2020年に8%減少した可能性があります。 

しかし都市への人口流入は、パンデミックが終了するにつれて増加します。

学生と海外移民は大量に戻ってきます。

したがって、一部の投資家は大都市に大きな賭けをしています。ある不動産業者はロンドンの中心部に1,233戸のアパートを建てました。

 

それでも、郊外の魅力は持続する可能性が高いようです。

自宅で仕事をするという政府のアドバイスは、夏までになくなる可能性がありますが、リモートワークは続く可能性があります。

人材紹介会社であるマンパワーが世界中の2万人の雇用主を対象に行った調査によると、経営者の5分の​​2は、従業員に一部の時間は在宅勤務を許可することを計画しています。

通勤頻度が少ない場合、居住スペースの拡大や住宅費の削減と引き換えに、通勤時間の延長に我慢する人もいるかもしれません。

その場合、郊外の不動産価格は市内の不動産価格に近づきます。

 

住宅価格が今後も上昇するか否かは、政策にかかっています。

パンデミックが終わりに近づくと、住宅購入者と住宅所有者への緊急支援は撤回されます。

英国では、免税期間は年内に終了する予定です。

他の国は加熱した住宅市場を冷却する事を検討するかもしれません。

価格が年率22%で上昇しているニュージーランド政府は、投機を弱めるための措置を講じています。

しかし、景気回復を危うくする恐れから、政策立案者はおそらく極端な政策変換は行わないでしょう。

それは不動産市場ブームを持続させる可能性があります。

日本は蚊帳の外か

住宅の国際価格が上がっているとは聞いていましたが、これほどまでとは思っていませんでした。

カナダなどこの10年で住宅価格が2.5倍になっています。

これはブームというより暴騰に近いものがあります。

人口が急激に伸びている発展途上国ならまだしも、人口が減りつつある先進国でのこの価格上昇には驚かされます。

お隣の韓国でも住宅価格が上昇して、庶民の手が届かない価格になったことから、文政権は支持率を大きく下げています。

そんな中、一人蚊帳の外なのが我が国です。

しかし、不動産市場は国際化しています。

日本だけ例外的に価格が下がっているのであれば、格安だとして外国投資家が日本の不動産を買いに来る可能性はあります。

コロナ感染が始まる前、日本を訪れる観光客は急増しました。

これは日本の観光地の魅力によるというよりも、日本での観光やショッピングが他国に比べて格安だという理由の方が大きい様です。

世界の投資家は割安のものは何でも見逃しません。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。