一足先に回復する米国経済
米国経済が急回復している様です。
あれだけ新型コロナの感染が広がった米国は、経済回復にかなりの時間が必要だと思われていましたが、ワクチンの急速な接種や思い切った景気刺激策の効果などもあり、先進国の中でも一足早く経済回復を実現しそうです。
そんな中、米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)がバイデン政権の400兆円規模とも言われる大型景気刺激策にかみつきました。
同紙は「Sorry, the Economic Crisis Is OverI - t’s getting harder for the White House and Federal Reserve to pretend that emergency policies are needed.」(残念ながら経済危機は終わりました。ホワイトハウスとFRBが緊急政策が必要であると偽ることはますます難しくなっています。)と題した社説を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
WSJ記事要約
米国が経済危機の最中にあり、財政支出拡大が必要だというバイデン政権の主張を正当化することは、次第に難しくなっています。
現在の米経済の実態は、成長加速によって財政、金融両面での引き締めが必要になっていると言うべき状況に近づいています。
米供給管理協会(ISM)が5日に発表した3月のサービス業景況指数が史上最高の63.7に達したことは、経済の好調さを示す最新の証拠となりました。
この数値は、急速な経済成長と楽観的見方の台頭を示しています。
唯一の問題点は、需要を満たすのに十分な労働力と供給を確保できないと、多くの事業者が訴えていることです。
この統計は、2日に爆発的な雇用者増加を示した3月雇用統計に続くものです。
雇用者数は過去2カ月の改定分を含め、107万人の純増となりました。
職場に復帰した労働者の多くは、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行で打撃を受けたサービス業に従事する比較的低賃金の人々だったことを考慮すると、賃金の伸びは、一見した感じより大きかったのです。
他の経済的な指標も、新型コロナの新たな変異株がワクチンを無効化することなく、政治家がばかげたことを一切しないのであれば、経済が今年急回復するであろうことを裏付けています。
リセッション(景気後退)の底は、最も早くて昨年4月だった可能性があり、経済は少なくとも9カ月間にわたって成長を続けています。
これら全ては連邦準備制度理事会(FRB)の超金融緩和政策に一層の疑問を投げ掛けるものです。
それはまた、バイデン大統領の新たな4兆ドルの支出計画が不必要な過剰支出であることを意味します。
バイデン政権の経済政策がもたらすもの
バイデン政権は上記4兆ドルの支出計画を現実のものにするために、増税を計画しています。
民主党は大きな政府を、共和党は小さな政府を志向する傾向がありますが、トランプ政権は2017年に法人税を35%から21%に減額しましたが、これをバイデン政権は大幅に増税しようとしているのです。
WSJの記事はこの動きを批判しているわけですが、もしWSJの説が正しければ、米国経済は過熱しつつあり、財政、金融両面で引き締めが必要な局面に入りつつある事になります。
実際、米国債の長期金利も上昇傾向にあり、これは将来発展途上国の経済回復に大きな足かせとなる可能性があります。
WSJはこの点について、別の記事で次の様に分析しています。
「米国の債券利回りの上昇は、途上国経済に悪影響を及ぼすということです。
途上国は長期債の借換時に、経済の回復が米国より大きく遅れている段階で、ドル建ての借り入れでさらに高い金利に直面することになります。」
米国の経済運営は自国のみならず、他国にも大きな影響を及ぼします。
途上国がデフォルトを起こせば、アジア通貨危機と同様な問題が生ずる可能性があります。
バイデン政権の米国経済の舵取りに注目しましょう。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。