MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

米紙に寄稿した菅首相が最も伝えたかったこと

f:id:MIYOSHIN:20210419121633j:plain

菅首相の寄稿

菅首相の訪米が終了しました。欧米のメディアの反応を見ていて驚いたのは、同首相が16日、米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)に寄稿した事でした。

英語で書かれた首相の一文、米国民に何を伝えたかったのでしょうか。

今回は全文をご紹介させて頂きます。

菅首相の寄稿文英訳

日本はターニングポイントに直面しています。

パンデミック後の私たちの課題は、成長軌道に戻り、世界経済において強力なリーダーシップを発揮することです。

 

人口の高齢化と減少、セクショナリズムと非効率で頑迷な官僚主義-これらの長年の困難な問題の解決策を提供し、さらなる成長志向の改革を実施することは、私の政権の成長戦略の中核です。

 

日本は、自国と世界経済の両方のために、成長のための新しい推進力を生み出すことにおいて主導権を握らなければなりません。

グリーンポリシーとデジタルトランスフォーメーションには特に可能性があります。

 

気候変動は差し迫った世界的な問題です。

私は、それを経済的制約としてではなく、強力で持続可能な成長を生み出す原動力として取り組むことを考えています。

その信念を持って、私は2050年までに日本をカーボンニュートラルにすることを約束しました。

 

昨年末、私の政府は、洋上風力、水素、その他の技術の野心的な目標を特徴とするグリーン成長戦略を発表しました。

グリーンプロジェクト、税制優遇、規制改革、国際標準化プログラム、その他の国際協力を支援するための2兆円(180億ドル)の基金など、民間経済への投資とイノベーションを促進するためのさまざまな政策を動員します。

 

パンデミックは、日本の行政サービスにおけるデジタル化の遅れを明らかにしました。

民間企業にもやるべき事がたくさんあります。

私の政府は、最先端のデジタル国家になるための改革を大胆に加速します。

私は、首相に直属し、今秋に稼働するデジタル庁の創設を発表しました。

 

このデジタル革命により、私たちはすべての人をデジタル経済に引き込むことを目指しています。

日本は、人口の高齢化と少子化に直面した最初の国のひとつとして、テクノロジーを駆使して誰も取り残さない社会を構築していきます。

 

また、ポスト5Gネットワ​​ークを視野に入れて、米国と協力してデジタルテクノロジーの競争力を磨き、グローバルなデジタル化競争の最前線に立つことを楽しみにしています。

日本は、電子商取引に関する世界貿易機関の交渉を通じて、「信頼できるデータフリーフロー」を引き続き推進していきます。

 

保護貿易主義が世界中に広がるにつれ、日本は自由貿易の旗手としてのリーダーシップを発揮してきました。

米国がTPPを離脱した後、環太平洋パートナーシップ協定を締結するために11か国が集まり、日英経済連携協定、日英協定、包括的経済連携協定などの協定を締結しました。

今後も、WTO改革を含め、自由で公正な経済圏を拡大し、ルールに基づく多国間貿易体制を強化していきます。

オープンな法による秩序、航行の自由は、地域および世界の繁栄のために不可欠です。

日本は、志を同じくする国々との協力を通じて、自由で開かれたインド太平洋を保護するイニシアチブを戦略的に推進していきます。

これらの努力を通じてより強い経済と社会を構築することは、私の政府の使命と責任です。

強力な日本は、米国との同盟がうまく機能し、インド太平洋の平和と繁栄の基盤となるための前提条件です。

 

今週私はワシントンを訪れます。 私を最初の外国人指導者ゲストとして迎えることを決定したバイデン大統領に感謝します。

1912年に日本から寄贈され、アメリカ人が丁寧に育てたワシントンの桜は、毎年春に美しく咲きます。

 

この困難なパンデミックの季節に、私は、自由、民主主義、人権、法の支配の普遍的な価値を表す同盟を強化し、自由で開かれたものに向けた両国のリーダーシップを示す機会を楽しみにしています。 

注目すべきメッセージ

菅首相のメッセージは米国市民に向けられたものです。

そういう観点から見ると一つ興味深いメッセージに気付きます。

菅首相は日本のデジタル化に取り組む姿勢を強調しています。

これは意外です。日本のデジタル化を米国市民にアピールする必要がそもそもあるのでしょうか。

菅首相が米国民に日本のデジタル化をアピールした背景には、同首相の深謀遠慮があるのではないかと思います。

コロナ関連の給付金でさえ、満足に支給できないのですから、日本のデジタル化の遅れは深刻です。

日本にはデジタル化を快く思わない抵抗勢力がありますが、その中でも最も強力なのは官僚機構ではないかと思います。

各省庁が持つ利権はデジタル化で剥奪されかねません。

縦割り行政の弊害に着目した菅首相はこの問題に真っ向から取り組んだのですが、おそらく反対勢力の抵抗を受けて手こずっている様です。

最近国会を騒がしているNTTの接待問題などは、総務省内部のリークが発端だと思いますが、抵抗勢力がデジタル化を主導する総務省を混乱させていると捉えることもできます。

菅首相はデジタル化で進んでいる米国の力を使って、国内のデジタル化を図ろうとしているのではないかと推測しています。

ペリーの来航により開国を決断した江戸幕府の様に、日本は外圧がかからないと、改革が行われません。

絶望的に遅れている日本のデジタル化に、菅首相が一石を投じることになるのか、今後の展開が注目されます。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。