MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

ASEAN諸国がミャンマーに介入しない理由

f:id:MIYOSHIN:20210424154726j:plain

インドネシアが招集したASEAN首脳会議

ミャンマーの暴動は一時ほどの激しさは見せていませんが、国民の軍事政権に対する抵抗は続いており、多くの国民がゼネストを行って、職場に復帰していません。

ミャンマー経済は大きなダメージを受けています。

状況を打開するため、インドネシア政府が音頭をとって、ASEAN(東南アジア諸国連合)の首脳会談をジャカルタで行う事が決まりました。

そこに当事者であるミャンマー軍のリーダーであるミン・アウン・ラインが招待された事で、論議を呼んでいます。

米誌Foreign Policyが「ASEAN Won’t Save Myanmar」(ASEANはミャンマーを救えない)と題した論文を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Foreign Policy論文要約

ミャンマー軍が2月1日にクーデターを企て、これに反対する大衆蜂起を引き起こして以来、諸外国は国際的解決策を模索し続けてきました。

米国のような主要な西側諸国は、ミャンマー軍に対して限られた影響力しか持たず、中国とロシアは国際レベルでの強力な対応を妨げているため、多くの人が東南アジア諸国連合(ASEAN)がもっと重要な役割を果たすことを期待しています。

 

今週末、インドネシアのジャカルタで危機について話し合う予定のASEAN諸国は、ミャンマーの隣国です。

彼らは、ミャンマーが完全な混乱状態に陥ることを恐れています。

したがって、彼らが行動を強いられていると期待するのは、見当違いです。

ASEANは問題を解決するようには設計されておらず、その全会一致ベースの意思決定構造は、決定的な行動を阻害します。

 

結果として、今週末のジャカルタでの首脳会議から具体的な行動方針が打ち出されることはほぼありません。

代わりに、ASEANの指導者たちは、人道援助を行う可能性が強そうです。

2008年に壊滅的なサイクロンがミャンマーで数万人の犠牲者を出した時は、確かにASEANの人道援助は役に立ちました。

しかし、現在の危機は自然災害ではありません。

人工のものです。

苦しみには明確に特定できる原因があります。

すでに700人以上を殺害し、さらに数千人を投獄し、過去数か月にわたって激しい弾圧と大規模な通信途絶によって経済を停滞させたミャンマー軍です。

状況は政治的解決を必要とし、人道的救済は、それが人々に届いたとしても、根本的な問題解決にはなりません。

ASEANは、2016年と2017年にラカイン州でのミャンマー軍による大量虐殺作戦が数十万人のロヒンギャ イスラム教徒をバングラデシュに追いやった後も同様に、ほとんど役に立たない行動方針を追求しました。

クーデターのリーダーであるミン・アウン・ラインがミャンマーの代表としてインドネシアでの会議に招待された事自体、ASEANが現在の危機への対処に真剣でないかを示しています。

ASEAN首脳は、間違いなく、この決定は加盟国の「内政」への関与を禁止する彼らの「非干渉」原則と一致していると主張するでしょう。

しかし、ミン・アウン・ラインを会議に招待すること自体が、ミャンマーの内政への紛れもない介入です。

ミャンマー軍とそのクーデター政府(国家行政評議会と呼ばれる)は、国で唯一の政府ではありません。

ミャンマー議会の正式に選出された議員を含むクーデターの反対派は、先週、挙国一致内閣の設立を発表し、ジャカルタでの首脳会談への招待を要求しました。

ASEANは、挙国一致内閣の代表ではなくミン・アウン・ラインを招待することにより、2つうち合法性の低いものを選択しました。

 

最終的に、行動への最大の障壁をもたらすのは非干渉の原則ではなく、ASEANの全会一致に基づく意思決定構造です。

加盟国が一つでも反対する場合、提案を実現化できません。

この構造は、過去に重要な地域の優先事項に対する行動の妨げとなっていることが証明されています。

 

軍部が支配していたミャンマーを1997年加盟国として認めて以来、ASEANの指導者たちは、苦労してきました。

ミャンマーのASEAN加盟を認めることは、米国やその他の西側諸国からの強い反対に直面しましたが、それがミャンマー国内の政治的進歩を促進するのに役立つかもしれないという希望も存在しました。

しかし、ミャンマー軍部は妥協することを望まず、2007年に民主派に対する残忍な弾圧を行いました。

当時、シンガポールのASEANリーダーであるリークアンユーは、ミャンマーをブロックに入れることについて遺憾の意を表明し、明らかに憤慨して将軍を「愚かもの」と呼びました。 

 

ASEANの構造的問題だけがミャンマーへの介入を妨げているわけではありません。

そのメンバーの多くは、ミャンマー軍部の正当性の主張に異議を唱えることにほとんど関心がありません。

彼らはミャンマーを自分と似たものと思っているかもしれません。

タイの現在の首相は、彼自身が2014年のクーデターの産物です。

2018年のカンボジアでの不正な選挙は、民主主義が如何に根付いていないかを示しました。

そして、ラオスとベトナムの一党政権は、民主的な正統性を主張するふりさえしていません。

インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールは少なくとも表面上は状況を懸念しているように見えますが、他のメンバーは足を引っ張っています。

タイの首相は、インドネシアでの首脳会議を欠席する事を決めており、ミャンマー軍に大きな影響力を持っているこの国がこの問題を重要視していない事を示しています。

タイは、ラオスとベトナムとともに、3月27日の軍事記念日を記念してミャンマーの軍事パレードに代表者を派遣しました。

 

おそらくASEANの指導者たちは、ミャンマー軍部と協力することで、抵抗の終焉を早めることができると信じています。

しかし、ミャンマーは限界を超えました。

ミャンマーの未来は、結局のところ、過去に戻ることはありません。

特に挙国一致内閣が勢いを増しているため、ミャンマー軍のグリップは弱く、ASEANは負け馬に賭けている可能性が高いのです。

 

ミャンマーの近隣諸国は、さらなる大惨事を回避するために果たすべき役割をまだ持っています。

タイの当局者は、ミャンマーの将軍と密接な個人的関係を持っており、シンガポールなどの国々は、政権との経済的つながりを維持しています。

しかし、ASEANは前向きな変化の手段として信用を失っています。

決定的な行動を妨げる規則によって絶望的に分断された組織は、地域を脅かす危機への建設的な解決法を示していません。 

出口が見えないミャンマーの混乱

ASEANも全会一致の原則に縛られているとは知りませんでしたが、国連の安全保障理事会が良い例ですが、国際機関が機能停止に陥りやすい主因はこの全会一致の原則です。

ASEANが役に立たないし、米中も介入に消極的な現在、ミャンマーの危機に決定的な影響を与える事ができる国はなさそうです。

こうなってくるとミャンマーの国民が中から体制を変えるしかなさそうです。

多くの国民がゼネストを続けている様ですが、一旦民主主義と自由経済の味を知ったミャンマー国民は粘り強く戦い続けるのではと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。