MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

アフガニスタンへの介入はコストに見あう価値があったか

f:id:MIYOSHIN:20210429201855j:plain

アフガニスタンからの全面撤退

アフガニスタンからいよいよ米軍が全面撤退します。

撤退するのは米軍だけではありません。

9.11の連続多発テロ以来、米国と行動を共にしてきた英軍も全面撤退します。

この20年間の間に巨費を投じて維持してきたアフガニスタンへの米国の介入は一体どんな意味があったのでしょうか。

英BBCが「20 years in Afghanistan: Was it worth it?」(アフガニスタンにおける20年間:それは見合うだけの価値があったか)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

BBC記事要約

アフガニスタンで20年を過ごした後、米英軍はアフガニスタンを去っていきます。

今月、バイデン大統領は、残留している2,500〜3,500人の米国軍人が9月11日までに撤退すると発表しました。

英国も残っている750人の軍隊を撤退させています。

 

アフガニスタンで計画されたアルカイダのアメリカへの9/11攻撃が、タリバンを権力から追いやり、一時的にアルカイダを追い出した米国主導の連立政権が設立されたのは、ちょうど20年後のことです。

この20年間の軍事および安全保障に関するコストは、天文学的な数字となっています。

2,300人以上の米国軍人が殺され、20,000人以上が負傷し、450人以上の英国人と他国籍の数百人が負傷しました。

しかし、犠牲者が最も多いのはアフガニスタン自身であり、治安部隊の60,000人以上のメンバーが殺害され、その数のほぼ2倍の民間人が殺害されました。

米国の納税者の推定負担コストは、驚異的な一兆ドルに近いものです。

したがって、尋ねなければならない厄介な質問は、アフガニスタン介入はそれだけの価値があったのかということです。

 

答えはあなたがそれを何で測定するかによります。

少しさか戻って、西側の軍隊がそもそもなぜアフガニスタンに入ったのか、そして彼らが何をしようとしたのかを考えてみましょう。

1996年から2001年までの5年間、国境を越えたテロリストグループであるアルカイダは、カリスマ的な指導者であるオサマ ビン ラーディンの下、アフガニスタンでの地位を確立することができました。

毒ガスの実験を含むテロリストの訓練キャンプを設立し、世界中から推定2万人のジハード主義者ボランティアを募集して訓練しました。

また、1998年にケニアとタンザニアにある米国大使館への同時攻撃を指揮し、224人、主にアフリカの民間人を殺害しました。

アルカイダは、当時の政府によって保護されていたため、アフガニスタンで自由に活動することができました。

タリバンは、ソビエト赤軍の撤退とその後の数年間の破壊的な内戦に続いて、1996年に国全体の支配権を掌握しました。

 

米国は、同盟国のサウジを通じて、タリバンにアルカイダを追放するよう説得しようとしましたが、彼らは拒否しました。

2001年9月の9.11攻撃の後、国際社会はタリバンに責任者を引き渡すよう要請しましたが、タリバンは再び拒否しました。

そのため、翌月、北部同盟として知られるアフガニスタンの反タリバン軍がカブールに侵攻し、英米軍の支援を受けて、タリバンを権力から追い出し、アルカイダを国境を越えてパキスタンに逃亡させました。

 

今週、政府高官はBBCに、それ以来、アフガニスタンから計画された国際テロ攻撃の成功は一件もなかったと語りました。

確かに、純粋に国際的なテロリズム防止の観点から、西側の軍隊はその目的を達成したと言えるでしょう。

しかし、それは、紛争が民間人と軍人の両方のアフガニスタン人にもたらした莫大な犠牲を無視する、非常に単純化された評価といえるでしょう。

20年経った今でも、国は平和ではありません。

研究グループAction on Armed Violenceによると、2020年には、世界の他のどの国よりも多くのアフガニスタン人が爆弾によって殺されました。

アルカイダ、イスラム国(IS)および他の過激派グループは消えていません、彼らは復活し、西側の軍隊の撤退によって間違いなく勢いづいています。

それでも、そこで英国国防長官のニック・カーター将軍は、「国は2001年よりも良い状況にあります。そしてタリバンはよりオープンマインドになりました」と言います。

 

一方、アジア太平洋財団のゴヘル博士は、かなり悲観的な見方をしています。

「アフガニスタンが1990年代の過激主義の繁殖地に戻る可能性があるという懸念があります。」それは多くの西側の諜報機関によって共有されている懸念です。

ゴヘル博士は、「西側からテロリスト訓練のためにアフガニスタンに旅行する外国人の新しい波が怒るだろう。しかし、アフガニスタンの放棄がすでに完了しているので、西側はそれに対処することができないだろう」と予測しています。

これは避けられないことではないかもしれません。

それは2つの要因に依存します:

第一に、勝利を収めたタリバンがその支配下地域でアルカイダとイスラム国の活動を許可するかどうか、そして第二に、国際社会がリソースを持っていない時にもそれらに取り組む準備ができているかです。

したがって、アフガニスタンの将来の安全保障状況は不透明です。

西側の軍隊が去る国は、決して安全ではありません。

しかし、9.11事件後の激しい日々の中で、彼らが20年もの間とどまるだろうと予測した人はほとんどいなかったでしょう。

 

私がアフガニスタンで、英米軍に随行した過去の取材旅行を振り返ると、1つの記憶が他の何よりも際立っています。

パキスタンとの国境からわずか3マイルのところにある米軍の駐屯地で、満点の星の下に私は弾薬箱に座り込んでいました。

ドイツのラムシュタイン基地から空輸されたテキサス産リブアイステーキを食べたばかりでした。

その直後にタリバンが放ったロケット団が基地を襲いました。

 

ニューヨーク州北部出身の19歳の兵士は、仲間を何人か失ったことを教えてくれました。

「それが俺の番なら、俺が死んでいた」と彼は肩をすくめました。

その時誰かがギターを取り出して、クリープの曲を弾きました。

それは「僕はここで何をしているんだろう?僕はここに属していない」という言葉で終わりました。

そして、私はその時考えたことを覚えています:私たちはこの地に属していないと。

アフガニスタンと米国

9.11からもう20年も経っていたんですね。

現在に至るまで20年間も米軍はアフガニスタンに多くの兵を置きました。

その間に1兆ドル(108兆円)もの巨額な資金を使い、二千名を超える米軍犠牲者を出しながら何を得たのでしょうか。

その間、アフガニスタン発の9.11の様なテロは米国では起きていませんが、世界の治安は決して良くなったとは言えません。

アフガニスタンを追い出されたアルカイーダなどテロ組織はその後、イスラム国という形でシリアやイラクで活動を活発化させました。

米軍はこれらをモグラ叩きの様に追いかけてテロ対策を強行しましたが、未だにこれらを完全に押さえ込んだとは言えません。

最近の米軍の中東からの撤退は、20年にもわたった中東でのモグラ叩きは費用対効果の観点から割りに合わないと判断した結果ではないかと思います。

米国ではアフガニスタンからの米軍撤退を批判する声が未だに強い様です。

しかしこれらの批判の中には、米軍に費やされる巨額な資金から利益を得ている集団の声もあります。

筆者は相手の善意に全面的に期待する平和主義者ではなく、時には力による抑止も必要であると考えていますが、米軍がアフガニスタンの様な国に多くのリソースを割くのは賢明ではないと思います。

ソ連はアフガニスタン戦争に深入りした結果、国力を使い果たし、最終的に崩壊しました。

これ以上の中東における国力の浪費は現在の米国に許されないと思います。

そこは米国人に属した土地ではありません。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。