MIYOSHIN海外ニュース

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大西洋の間に生じた溝

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欧米の間で見られる大きな差異

先進国の間で新型コロナからの経済復調の差が目立つ様になりました。

ニューヨーク市はレストランなどの完全オープンを発表しましたが、欧州ではフランスやドイツといった主要国でロックダウンが続いており、経済復調は当面望み薄です。

欧州の人々は、大西洋の向こう側のコロナへの勝利宣言をどの様な気持ちで見ているのでしょうか。

仏紙Les Echosが「L'Amérique d'abord」(アメリカ ファースト)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Les Echos記事要約

米国の経済復調は明らかになりました。

アメリカが成長への道に戻っていることは、彼らにとっても、そして米国へ輸出を通じて利益を得ている私たちヨーロッパ人にとっても、素晴らしいニュースです。

バイデン氏の連帯精神に共鳴するヨーロッパ人は、自分たちの救いは大西洋の反対側にあるのではないかと考えるようになっています。

多くの人は、私たちが「眠そうなジョー」と呼んでいたものが、不平等を是正し、道路を修理し、金持ちに課税し、組合を支援するために非常に多くのエネルギーと資金を費やしているのを見て大喜びしています。

これはすべて、ヨーロッパの社会モデルへの賛辞のように聞こえます。

米民主党が「ピラミッドの頂点にいる人々が社会全体を頂点に引き上げる」という古い自由主義の理論に対して拳を上げたとき、興奮はピークに達しました。 

 

バイデン大統領ができるだけ多くのアメリカ人を経済回復に巻き込みたいと思っていることは疑いの余地がありません。

しかし、この連帯はアメリカの国境を越えるものではなく、それが必然的にヨーロッパに利益をもたらすと考えるのは幻想です。

なぜなら、老獪な大統領の善良さの背後には、トランプ前大統領を多くの点で思い起こさせる愛国心が隠されているからです。

 

「アメリカ ファースト」それが彼の執着です。

彼は中国が世界最強国になる事を防がなければなりません。

したがって、この目的を妨げる可能性のあるヨーロッパのイニシアチブを支援することは問題外です。

例えば、アメリカは、ヨーロッパの国境で炭素税を受け入れるつもりはありませんが、これは私たちにとって生態学的革命を起こす鍵であり、私たちに与えられた数少ない債務返済手段の1つです。

 

新型コロナに直面しても、大西洋を横断する連帯を期待する事はできません。

国際連帯の大きな呼びかけの背後で、バイデン大統領はアストラゼネカのワクチンをヨーロッパに送る事を拒否し、保健当局からの許可を待つ間、それらを国内に蓄積させました。

経済学と同様に感染症対策においても、米国と共に危機を脱するというのは幻想です。

それどころか、すべての面で彼らが脱出に成功し、ヨーロッパを置いてきぼりにするのではないかという恐れを引き起こします。

今週金曜日に発表されるヨーロッパの経済成長の数字は、その予感を裏付けるものになるかもしれません。

米国のワクチン外交

上記記事は欧州人の本音だと思いますが、新型コロナをコントロールする事に未だに苦労している欧州の焦りが見て取れます。

欧米の差を生み出したのは、やはりワクチンの開発力だったと思います。

新型コロナという感染症は世界規模の戦争を起こしたほどの経済的ダメージをもたらしましたが、そこからいち早く脱却できたところが、最も大きな利益を得る事になります。

二度の世界大戦で世界の補給庫として機能した米国は、今回のコロナ騒動でも同様に有利な立場に立っているわけです。

この差を作ったのはワクチンの開発力であり、今、米国は余ったワクチンをどの様な優先順位で同盟国に与えるかというワクチン外交を展開するに至っています。

台湾問題などもあって、幸運な事に日本は優先的に回してもらえそうですが、後回しにされた欧州の恨み節が聞こえてきます。

日本はこれで安心してはいけません。明日は我が身です。

次の感染症に備えて、ワクチン開発を急ぐ必要があります。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。