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市中銀行の未来は - 金融業界大変革期来たる

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デジタル化の進展

最近、金融業のデジタル化は著しい進化を示しています。

れはスマホの普及とともに加速化したと思われますが、iPhoneが世に出たのが2007年ですので、たかが14年で驚くべき進歩を遂げた事になります。

この変化の中で、金融業界の勢力図も大きな変化を遂げています。

いわゆるフィンテック企業の勢いは止まらず、米国のPayPalのユーザー数は3億2千万人と米国の総人口に迫る勢いで、日本でも楽天などフィンテック企業のシェアが急増しています。

一方で、伝統的な市中銀行の将来はどうなるのでしょうか。

英誌Economistがこの点について幾つか記事を掲載しておりますので、かいつまんでご紹介したいと思います。

Imagine there were no banks(銀行のない世界を想像してみよう)記事要約 

銀行のない世界は、かつては考えられませんでしたが、今日、地平線上でそれを垣間見ることができます。

銀行の役割は、新技術、資本市場、さらには公共部門からの脅威にかつてないほどさらされています。

フィンテックプラットフォームが彼らのビジネスに食い込んでいますし、 ベンチャーキャピタルは、伝統的な金貸しを尻目にシェアを奪っています。

そして中央銀行は、政府が支援するデジタル通貨の進化という、最も驚くべき方法で仲介者を排除し、銀行を脅かしています。

大国の中で、中国は金融セクターと中央銀行の両方のデジタル化において最も進んでいます。

しかし、他の場所と同様に、金融がオンラインに移行するにつれて、金融犯罪も頻発します。

新しいテクノロジーにより、産業規模でのサイバー犯罪が可能になりました。

The digital currencies that matter Get ready for Fedcoin and the e-euro(デジタル通貨の重要性増す - デジタルドルやデジタルユーロに備えよ)抜粋

技術の変化は金融界を混乱させています。

ビットコインは、無政府主義者の持ち物から多くのファンドマネージャーがポートフォリオに組み入れる総額1兆ドルの資産となりました。

政府のデジタル通貨の作成は、人々が市中銀行をバイパスして中央銀行に直接資金を預けることを目的としています。

あなたのお金は、倒産するかもしれない銀行ではなく、国家によって安全を保証されるでしょう。

シティグループのコールセンターに対応したり、Mastercardの手数料を支払ったりする必要はありません。

イングランド銀行とFRB(米国連邦準備制度)がサービスを提供します。

金融界の貴族から労働者に変わる中央銀行のこの変容は、あり得ない様に聞こえますが、それは進行中です。

世界の50以上の金融当局が、デジタル通貨を模索しています。 

 

政府と中央銀行がデジタル通貨を勧める動機の1つは、コントロールを失うことへの恐れです。

今日、中央銀行は銀行システムを利用して金融政策を展開しています。

支払い、預金、ローンが銀行から民間経営のデジタルネットワークに移行した場合、中央銀行は危機の際に景気循環を管理し、システムに資金を注入するのに苦労します。

監視されていないプライベートネットワークは、詐欺やプライバシー侵害が広がる可能性があります。

 

もう一つの動機は、より良い金融システムの保証です。

理想的には、お金は信頼できる価値の貯蔵、安定した口座、そして効率的な支払い手段を提供します。

政府のデジタル通貨は、国が保証し、安価な中央決済ハブを使用しているため、高い満足度が得られます。

デジタル通貨は、地球上のすべての人に対して一人当たり年間350ドルを超える金融業界の運営費を削減する可能性があります。

これにより、銀行口座を持たない17億人の人々が金融にアクセスできるようになる可能性があります。

通常のユーザーにとって、無料、安全、即時、普遍的な支払い方法の魅力は明らかです。

 

しかし、危険を生み出すのはこの魅力です。

デジタル通貨はすぐに金融の支配的な力になる可能性があります。

ほとんどの人や企業が中央銀行に現金を預金した場合、貸し手である銀行はどこからお金を借りて来ればよいのでしょう。

市中銀行が資金調達に苦労するとしたら、他の誰かが融資をしなければならないでしょう。

これは、官僚が信用配分に影響を与える事を意味します。

危機においては、中央銀行への貯蓄者の過度の集中が取り付け騒ぎを引き起こす可能性があります。

又、デジタル通貨は国が市民を管理するためのツールになる可能性があります。

悪い行動に対する即時の罰金を考えてみてください

政府や金融会社は、お金の仕組みの長期的な変化に備える必要があります。

これは、プライバシー法を強化し、中央銀行の運営方法を改革し、市中銀行がより二次的な役割を担う準備をすることを意味します。

デジタル通貨が金融界における重要な実験であることは間違いありませんが、その影響は極めて大きい事を認識しておく必要があるでしょう。

デジタル通貨の光と影

確かにデジタル通貨というのは、中央銀行に個人や企業が口座を持つ事になるわけで、市中銀行の役割はなくなってしまいそうです。

中央銀行から低金利で金を借りて個人や企業に金利を乗っけて貸すという伝統的な市中銀行の商売は成り立たなくなってしまいます。

これまで市場に流通していた紙幣もデジタル通貨の登場により、価値がなくなって行くはずですから、タンス預金は表に出てくるでしょうし、脱税は激減する筈です。

日本の場合、中銀への預金はマイナンバーと紐づけられると思いますので、今回のコロナの様な感染症が広がった場合、必要な人や企業に迅速に補助金が届けられると思います。

しかし、一方で政府に全ての出費を監視されるのは、気持ちが悪いですね。

中国などでは既に始まっていると思いますが、政府に批判的な勢力の資金移動などは厳しく監視されると思います。

デジタル通貨を利用した政府監視の強化に一抹の不安を覚えるのは私だけではないと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。