ビットコイン価格急落を招いたイーロン マスクの一言
テスラの社長であるイーロン マスクが暗号通貨でのテスラ車購入を受け入れるのをやめると言った後、ビットコインの価値は10%以上下落しました。
マスク氏は、ビットコインの「マイニング」が引き起こす莫大な環境コストに言及しました。
中国のマイニングけでも、2024年までにイタリア全土と同じくらいのエネルギーを使用すると予測されている様です。
ビットコインを新たに発行するためにはマイニングという作業が必要です。
これは複雑な数式を解く作業ですが、膨大なコンピューターワークが必要で、これに大量の電力が必要になる訳です。
英Economistが「Totting up bitcoin’s environmental costs」(ビットコインは環境コストを引き上げる)と題した記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
Economist記事要約
暗号通貨には多くのファンがいます。
しかし、批判する人ももいます。
特に環境保護論者は、ビットコインが多くのエネルギーを使用する事について憂慮しています。
Nature 論文では、清華大学のDaboGuanと中国科学院のShouyangWangが率いる学者グループが、中国でのビットコインのエネルギー使用を調査しています。
彼らは、法的な規制がなければ、ビットコインは2024年までに、中国の経済を脱炭素化する取り組みに対する「無視できない」障壁になる可能性があると結論付けています。
ビットコインのエネルギー大量消費は、その設計に由来しています。
ビットコインは、ユーザー間で分散管理されるデータベースである「ブロックチェーン」を利用し、一元化された記録管理は使用しません。
ブロックチェーンは「マイニング」によって維持されます。
マイニングは、解答を引き出すのは難しいが、解答の正誤をチェックするのは容易な数学パズルを解く作業です。
正常にマイニングされたビットコインの1ブロックは、現在6.25ビットコイン(約3800万円)の報酬を生みます。
ビットコインのシステムはパズルの難易度を変えて、平均して10分ごとに1つの新しいブロックが作成されるようにします。
ビットコインの価格が高くなるにつれ、マイニングの報酬も高まるため、より多くのコンピューティング能力、つまり電力を費やす価値が生まれます。
マイニングは少数の専門家に集中しており、約70%は中国で行われています。
研究者たちは、ビットコインに対する規制が行われなければ、中国のマイニングは2024年までにイタリアやサウジアラビアと同じくらいのエネルギーを消費する可能性があると結論付けています。
年間の炭素排出量は1億3000万トンで、ナイジェリアの排出量に近づくでしょう。
ビットコインのエネルギー使用量は、その価格に大きく依存します。
価格は大きく変動します。
新しいビットコインが作成される速度は4年ごとに半分になるように設計されているため、長期的には価格が上昇すると予想されます。
実際の価格変動は間違いなくもっと複雑な要因に左右されるでしょうが、ビットコインが環境を汚染するビジネスである事は間違いなさそうです。
公表されているデータによれば、ビットコインのエネルギー消費量はすでにカザフスタンのエネルギー消費量と等しく、二酸化炭素排出量が香港の二酸化炭素排出量と一致している様です。
ビットコインの負の側面
ビットコインは年初から猛烈な勢いで高騰しました。
この暗号通貨は、サトシ ナカモトなる人物(架空の人物)が考案したと言われていますが、ナカモト氏もこれだけエネルギーを大量に消費するとは予想していなかったのではないでしょうか。
それにしてもイタリア全土と同じエネルギー量とは凄まじい量です。
ビットコインの価格が上昇すればするほど、マイニングによる利益は増加しますので、今後加速度的にエネルギー消費量が増える可能性があります。
上記の記事で興味深かったのは、ビットコインが地球温暖化に影響を及ぼしている事と、この事実が中国の研究者によって明らかにされている点です。
この記事の掲載を中国当局が容認しているところを見ると、中国政府もビットコインに対して、必ずしもポジティブな見方をしていないのではと思われます。
昨日、ビットコインが世界の犯罪者に好まれている事をお伝えしましたが、犯罪者にも好まれ、地球温暖化にもマイナスの影響があるとすれば、今後各国の規制が入ってくる可能性は否めないと思います。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。