急落したビットコイン
今週水曜日ビットコインは急落し、一時はその三分の一の価値を失いました。
急落を起こす前の暗号通貨全体の価値総額がいくらかご存知でしょうか。
何と2兆ドル(220兆円)、日本の国家予算が約100兆円ですからその2倍です。
その三分の一の価値が一瞬にして吹き飛んだのですから、そのインパクトは想像を超えるものがあります。
主な通貨交換所では接続障害が生じ、取引停止が長時間続いた様です。
銀行に対する取り付け騒ぎの様なものが起きたと考えて頂ければ良いと思います。
ビットコインの様な暗号通貨の将来について、英誌EconomistがAs bitcoin lurches, Wall Street plots its way into cryptoland「ビットコインが急落しても、ウォール街は暗号通貨の取り扱いを諦めない」と題した記事を掲載しました。
Economist記事要約
今週は仮想通貨にとって禍の多い週でした。
5月13日、ビットコイン取引を促進するために広く使用されている「ステーブルコイン(暗号通貨のボラティリティーを解消するためにドルなど法定通貨にリンクさせる方法)」の発行元は、580億ドル相当のコインのわずか2.9%しか現金準備金で裏付けられておらず、ドルペッグに疑問を投げかけていると述べました。
テスラの社長であるイーロン マスクは、テスラがビットコインでの支払いを受け入れないだろうとツイートし、同社が暗号通貨の一部を売却する可能性があることをほのめかしました。
その後、5月18日、中国政府は金融会社に暗号通貨のサービスを禁止するよう警告しました。
ビットコインの価格は$ 30,000に下落し、4月の過去最高値の半分となりましたが、その後約$ 38,000に戻しました。
ビットコインは他のほとんどの暗号通貨を引きずりました。
Coinbaseを含むいくつかの大きな交換業者は、接続障害を起こし長い取引停止を経験しました。
ポジションを清算できない投資家は打つ手を封じられたと感じました。
底値を拾おうとした人々はだまされたと感じました。
最近の乱高下は、暗号通貨市場に流動性があるのか、あるいは機関投資家を受け入れるのに十分信頼できるかどうかについて疑問を投げかけるかもしれません。
この観点から、ウォール街を観察すべきです。。
アメリカの大手銀行は仮想通貨に進出しています。
3月、モルガンスタンレーは、裕福な顧客にビットコインファンドへのアクセスを提供した最初の企業になりました。
今月、ゴールドマンサックスは、2017年に一時停止していた暗号通貨デスクを復活させました。
規制の厳しい銀行が規制されていない暗号通貨の荒野に迷い込んでいるのはなぜでしょうか?
それは、アメリカの当局が銀行が提供できるサービスを規定しているからです。
昨年、通貨監督庁は、銀行が暗号資産の保管サービスを提供できると述べました。
商品先物取引委員会は、ビットコインやその他のデジタル通貨を商品と見なし、銀行がそれらにリンクされたデリバティブを取引できるようにしました。
しかし、銀行の熱意の主な理由は、暗号通貨のことが頭から離れない一部の顧客の存在です。
裕福な顧客は、スタートアップを介して暗号通貨を購入するために、銀行からお金を引き出しています。
多くの人はむしろ銀行ですべてをやりたいと思っており、銀行は手数料とデータで報酬を獲得したいと望んでいます。
おそらく、ゴールドマンが現在行っているように、提供する最も簡単なサービスはデリバティブ取引であり、資産を購入することなく顧客に資産へのエクスポージャーを提供します。
次に、大規模な投資家に代わって資産を保管します。
しかし、銀行がバランスシートに暗号通貨を保持するのは、現在不可能な次のレベルのサービスです。
5月19日の様に、ビットコインが数時間でその価値のほぼ3分の1を失ったとき、当局は規制を行う可能性があります。
銀行は、多くの顧客がジェットコースターに乗ることを期待していると主張しています。
しかし、長期にわたる価格の乱高下は、当局の規制取り締まりを引き起こす可能性があります。
ウォール街には、流動性を新しい資産にもたらす比類のない能力があります。
暗号通貨の運命を知りたい人はも、アメリカの銀行が次に何をするかを観察する必要があるでしょう。
投機の対象である暗号通貨
ビットコインの様な暗号通貨は、一部の国では資金洗浄に使われているとか、そのマイニングに膨大なエネルギーを要し、気候温暖化の要因となっているなど、大きな問題点をはらんでいます。
今年に入ってからの価格急騰、そして今週の急落は、暗号通貨が支払い手段として不適格であることを示していると思います。
今後も乱高下を繰り返し、場合によっては紙屑になる可能性があるかも知れません。
投資ではなく投機の対象として捉えるべきかと思います。
最後まで読んで頂き、有り難うございます。