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キムチの起源は韓国か中国か - 沸騰する文化論争

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中国の皇帝を「日没する処の天子」と呼んだ日本

聖徳太子が「日出づる処の天子、書を、日没する処の天子にいたす、つつがなきや」で始まる書を時の中国の皇帝に送った事は有名です。

読み返してみると、こんな文章中国の皇帝に良く書けたなと思います。

聖徳太子にこの様な書を書かせたのは、日本海の存在があったからだと思います。

大陸と日本を隔てる海は外敵の侵入を困難にさせていました。

お隣の韓国はこの点違います。

中国と地続きですから、常に中国の覇権に怯え、かろうじて民族と文化の独立を維持してきたというのが現実ではないでしょうか。

そんな韓国で中国との間の文化論争が持ち上がっている様です。

英誌Economistが「South Korea’s cultural spats with China are growing more intense」(韓国と中国との文化的衝突は激しさを増している)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

中世の王朝を倒そうとする悪霊たちのドラマの中の出来事など、あまり真剣に受け止められないと皆さんは思われるかもしれません。

しかし、今年初めにテレビドラマ「朝鮮駆魔師」が登場するや、ソーシャル メディア上で大炎上を引き起こしました。

ドラマは歴史を歪曲したとの理由でわずか2話で放送が中止されましたが、その理由は月餅ピータンなどの中国の食事を朝鮮の宮廷で楽しんでいたからです。

 

この事件は、最近の一連の社会現象の 1 つに過ぎません。

過去数か月間、韓国人は繰り返しソーシャル メディアを利用して、国内テレビでの中国ブランドの「過剰な」存在感を非難し、俳優や放送局に謝罪を要求しました。

中国の国営メディア、外交官、ソーシャルメディアのユーザーが、キムチサムゲタン (高麗人参入りチキンスープ)、ハンボク (伝統的な衣装) などの韓国の文化遺産の重要な部分が 実は中国で生まれた事を示唆したとして、強い反発を示しました。

これらの議論は、ナショナリズムの衝突の最新バージョンです。

韓国人は、自国が中国帝国の支流だったことや、朝鮮戦争中に中国軍が北朝鮮の専制政権を救うために韓国人を虐殺したことを彼らの歴史の一部として痛みを伴って認識しています。

一方で、彼らは自国の近代性、豊かさ、民主主義を誇りに思っています。

多くの人が中国を貧しく、独裁的で、まったく洗練されていないと見下している一方で、韓国自身の経済的成功にとって中国の広大な市場が極めて重要だという現実も認めざるを得ません。

.一方、中国人は韓国を、その文化を隣の大国から派生させた傲慢な小人だと見なすことがあります。

「韓国人は私たちの文化が独特で中国に依存したことはないと信じていますが、中国人は韓国が中国のおかげで発展したと考えています」とソウルのセジョン大学のリ・ムンギは言います。

 

このように異なる歴史解釈から生じる緊張と、それに対する皮肉な反応は、両国が1992年に外交関係を樹立して以来、定期的に表面化してきました。

10年後、かつて中国と北朝鮮の国境にまたがっていた古代王国に関する中国の研究をめぐって、新たな論争が引き起こされました。

韓国人は、これを半島の歴史を再構築する取り組みと見なしました。

両国は泥沼化した長期戦に巻き込まれたように見えますが、今回はソーシャルメディアによって争いが激化しました。

 

韓国人は、中国でますます自己主張を強めるナショナリズムを非難しています。

中国の指導者である習近平氏は、「中国が100年の苦痛の後に過去の栄光を取り戻すことについて話している」とリ氏は言います。

中国当局者が、中国がキムチを発明したなどの扇動的な主張を一般の中国人に反響させていると、ソウルの漢陽大学のミン・クウィシク氏は考えています。

「彼らはかつて私たちの土地を奪っていましたが、今はキムチを奪おうとしています」と彼は言います。

そして、ソーシャル メディアではたとえその意見が少数派でも、怒りの声を増幅する傾向があります。

「インターネットは、紛争を拡大し、解決策を葬り去るのに最適な場所です」と ミン氏は言います。

ソーシャルメディアは、深まる中国への嫌悪感を反映しています。

今春に実施された 2 つの世論調査では、韓国人は北朝鮮 (法的にはまだ戦争状態にある) に対するのと同じくらいしか中国に好意を寄せておらず、これより悪いのはかつての植民地支配者であった日本しかありません。

中国に対する見方が変わった転機は、韓国が米国のミサイル防衛システム「THAAD」を配備したことを受けて、2017年に中国が仕掛けた経済ボイコットだったと、ソウルの調査専門家キム・ジユンは言います。

スタンフォード大学のシン・ギウク氏も、「中国が攻撃的な大国であるという事実を韓国に認識させました。」と同意します。

今のところ、不満は、食べ物やテレビドラマなどの文化的な領域に限られています。

一方、中国に対するこういった国民の見方は、韓国政府の慎重に調整された外交には影響しておらず、韓国政府は、アメリカとの安全保障同盟の中心性を強調しながら、中国を重要な戦略的パートナーとして位置付けています。

しかし、5 月 21 日にワシントンでバイデン大統領と会談したとき、韓国の文在寅大統領は、中国の影響力を封じ込めることを目的としたアメリカの政策へのコミットメントについて、異常に明確でした。

キムチ戦争に冷静に対応する事は皆の利益になるのではないでしょうか。

他国の文化への敬意

韓国の歴史は中国によって翻弄されてきたと思います。

地政学的に言えば、韓国が有史以来最大の帝国であった中華帝国の隣人である以上、それは避けられない運命だったと思います。

彼らが中国への朝貢外交を行なったのは、環境を考えれば当然ですし、むしろ中国の隣国でありながら民族の言語、文化を守り続けた事を称賛すべきではないかと思います。

そんな彼らが自分たちの文化やアイデンティティに執着を見せるのは、彼らの歴史を考えればむべなるかなと思います。

日本との関係においても、一部の韓国の人々が声高に反日論を訴えるのは、ナショナリズムを煽って支持率を得ようとの政治家の思惑があるからと思います。

私は現在の韓国の文政権の対日政策はいかがなものかと思いますが、同政権の政策が韓国の世論を正確に反映しているとは思っていませんし、韓国にも心ある人がたくさんいると信じています。

国民のナショナリズム感情を煽って、政権の支持率を高めようとするのは洋の東西を問いません。

外に敵を作れば、国内の失政から国民の目を逸らす事ができます。

そういう雑音に耳を傾けず、お互いの共存共栄のために冷静な議論を行う事が必要なのではと思います。

お互いの文化に関心を持つ若い世代が、偏見にとらわれない新しい日韓関係を作ってくれると信じています。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。