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リモートワークは本当に有効か

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パンデミックが引き起こしたリモートワーク

リモートワークは政府の強い要請にもかかわらず、日本ではあまり普及しなかった様ですが、欧米ではロックダウンを行った事もあり、多くの人がフルタイムリモートワークを実践した様です。

リモートワークはパンデミックが収束した後も、その影響は残り、ニューヨークの摩天楼のオフィス街は空室率が上がっているという報道もあります。

リモートワークは上司の監視もないし、自宅で自由に仕事ができるので、一見良さそうですが、本当に有効でしょうか。

英誌Economistが「Remote workers work longer, not more efficiently」(リモートワーカーはより長く働きますが、効率的ではありません)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

北半球の夏が始まるのと同じように、オフィスへの復帰は順調に進んでいます。

間もなく、人々は窓の外を物憂げに見つめる習慣を再開するようになり、週末が晴れる事を願う様になるでしょう。

多くの労働者が週に2〜3日通勤するハイブリッドパターンを採用しているため、フルタイムの在宅勤務の実験は終了しています。

同時に、その有効性の評価が公表される様になりました。

 

従業員と雇用主の初期の調査では、リモートワークは生産性を低下させなかったことがわかりました。

しかし、2019年4月から2020年8月までのアジアのテクノロジー企業の10,000人を超える従業員を対象とした新しい調査では、異なった結果が示されています。

同社は、従業員のコンピューターにインストールされているソフトウェアを使用して、アクティブなアプリケーションやWebサイト、および従業員がキーボードとマウスのどちらを使用しているかを追跡しました。 (オンラインショッピングに費やされた時間ははカウントされません。)

 

調査は従業員がハードに働いていたと結論付けました。

総労働時間は、パンデミック前よりも30%増加しました。

これには、時間外の労働時間が18%増加したことが含まれます。

しかし、この余分な努力は、生産量の増加にはつながりませんでした。

生産性を測定する方法は、労働時間あたりのアウトプットです。

仕事に余分な時間がかかったため、これは20%減少しました。

興味深いのは、なぜこれが起こったのかということです。

学者は、従業員がさまざまな種類の会議として定義される「コラボレーション時間」に費やした時間と、電話や電子メールに中断されることなく、タスクに集中できる「フォーカス時間」として費やした時間を分析しました。

長時間労働したにもかかわらず、従業員はパンデミック前よりも「フォーカス時間」が少なかったのです。

代わりに、彼らの余分な時間はすべて会議に費やされました

以前、このコラムでもご紹介した通り、会議に参加する8割の人の時間の80%は無駄になります。

 

1つの可能性は、マネージャーがチームのコミットメントについて確信が持てず、チーム員をチェックするためにより多くの会議を開催していることです。

もう1つは、マネージャーが自分の存在を示すために非常に多くの会議を企画することです。

ただし、学者は、会議の必要性が高まっているのは、従業員がリモートで作業している時に調整することがより困難になった結果であると示唆しています。

これは、プロセスが非効率的であることを示すもう1つのヒントです。

リモートで作業する場合、従業員は評価、トレーニング、および指導に費やす時間も少なくなります。

 

これは従業員にとって割の良い取引ではなさそうです。

彼らは残業手当を受け取っていません。

彼らは通勤時間を節約しましたが、それは会議に費やされた余分な時間を相殺しませんでした。

すべての労働者が同じように行動したわけではありません。

会社で最も長く働いていた人々はより生産的である傾向があります。

子どものいる従業員は、子どものいない従業員よりも1日約20分多く働いており、育児の仕事に気を取られていたためか、生産性がさらに低下していることを示しています。

 

この結果は、企業がそのハイブリッドバージョンでさえ、リモートワークを完全に放棄することを意味しますか?

学者は、調査中の会社のスタッフはほぼすべて大学教育を受けており、その役割には「重要な認知作業、新しいソフトウェアまたはハードウェアアプリケーションまたはソリューションの開発、専門家チームとのコラボレーション、クライアントとの協力、イノベーションへの取り組みが含まれる」と指摘しています。

このような作業は、他の職業と比較して、特定の課題を提起した可能性があります。

 

リモートワークに関連して調整の必要があることは驚くことではありません。

実のところ、この慣習は突然課されました。

調査によると、従業員はオフィスにいるときよりもわずかに少ない「フォーカス時間」で同じ量の成果を達成できました。

非効率性の本当の原因は、会議に費やされた時間でした。

そして答えは簡単です。「あまり会議を行わず、短くしてください。」です

リモートワークは日本に定着するか

リモートワークは新型コロナの副産物でしたが、仕事のやり方を再考する良い機会になったと思います。

日本の雇用形態は大きく変わろうとしています。

成績によって給料が決まる時代において、リモートワークは積極的に取り入れるべきシステムだと思います。

経営者にとってみると、大事な事は従業員のアウトプットの質と量ですから、それが確保されている限り、従業員が昼間からビーチで遊んでいようが何をしようが関係ありません。

リモートワークの普及は満員電車をなくし、週末の観光地の混雑を緩和し、大都市への人口集中を解消するというメリットもあります。

しかし、リモートワークが日本という社会で完全に定着するかは疑問です。

同じ場所で働くという事には当然メリットがあります。

特にチームで何かに取り組んでいる場合、コミュニケーションは重要です。

この一年、数え切れないほどのZoomミーティングに参加しましたが、実際の会議とはやはり様子が違いました。

通常ならば、発言したがっている人は目や表情で訴えます。

これを司会者が察知して指名するのですが、こういう機能はZoomミーティングには備わっていません。

Zoomにも挙手のボタンがあるじゃないかと反論を受けるかもしれませんが、あのボタンをなかなか押せないのが日本人なんです。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。