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ベビーブーマーの資産を脅かす認知症の影

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パスワード管理ソフト導入を決めた理由

私は様々なサービスをネットで受けていますが、その殆どはサブスクリプションベースとなっています。

すなわちログインするのにパスワードが必要という事です。

しかし受けるサービスが増えるにつれ、その管理はどんどん複雑になってきます。

私はパスワードを全てメモしていましたが、この管理手法も限界に近づいたため、ついにパスワード管理ソフトを導入する事を決めました。

このソフトを使えば、マスターパスワードだけを覚えていれば、それ以外のパスワードは全て管理ソフトに格納されていますので、手書きメモの必要がありません。

もし、私がある日突然認知症になった場合も、このマスターパスワードさえ家族に伝えることができれば、家族は私のネットサービスにログインが可能になります。

重い認知症になった場合、自分がどの銀行に口座があったか、ネット上でいかなるサービスを受けていたかさえも忘れてしまい、最悪の場合、本人の死後もそれらのサービス料は銀行口座から引き落とされてしまうかも知れません。

あるいは想像もできないほどの負債を抱えている事を知らずに、財産を相続してしまうかも知れません。

この様な認知症にまつわる問題について、ウォールストリートジャーナル(WSJ)

「Baby Boomers’ Biggest Financial Risk: Cognitive Decline」(ベビーブーマーの最大の経済的リスク:認知機能の低下)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJ記事要約

自分の資産を自ら管理するベビーブーマー世代にとって、株価や金利とは関係のないリスクが迫っています。

リスクは認知機能の低下であり、多くの場合、警告なしに、彼らの判断を奪う可能性があります。

一つの致命的な間違い、または一連の小さな間違いによって、家族にも気づかれぬまま、苦労して稼いだ貯蓄を全て失う可能性があります。

これらのリスクを軽減するために、ベビーブーマーの世代が今できることがあります。

さらに、バンガード・グループやフィデリティ・インベストメンツ、チャールズ・シュワブといった自己管理型の投資の場を提供する大手各社は、認知機能低下の兆候を検知する手段を強化しています。

とりわけこの3社は、顧客がセキュリティーの手順や頻繁なパスワードの再設定を行うのに問題があるかチェックしています。

問題があった場合は、指定された家族の一人に知らせることもあります。


危機に瀕している資産の額は膨大です。

調査会社Cerulli Associatesによると、現在57歳から75歳の団塊世代は、米国の家計金融資産の推定総額50兆ドルの半分以上を所有しています。

その26兆ドルのうち、約4分の1、つまり6.5兆ドル(約715兆円)は自己管理ベースで投資されています。

その投資の大部分は、ヴァンガード、フィデリティ、シュワブにあります。

今後10年間で、ベビーブーマーのほぼ半数が何らかの認知障害の可能性に直面します。

ボストン大学の退職研究センターによる2017年の報告によると、軽度の認知機能低下と認知症の割合は、70歳から74歳までの合計12%から80歳から84歳までの45%に上昇します。

同センターは、軽度の認知症でさえ「資産管理能力を急速に失う可能性がある」と述べました。

資産を自己管理するベビーブーマー世代は、いくつかの点でより脆弱である可能性があります。

彼らが道を踏み外した場合、他の誰も知らない可能性があります。 

 

自己管理型の投資を提供する資産運用会社によると、認知機能低下の兆候を見つける方法は限定的ながらあります。

バンガードの場合、投資家を保護するグループの人数を過去5年で3倍の14人に増やしました。

こうした投資家にとってのリスクは、例えば、リスクの高い信用取引に向かうことかもしれません。

あるいは、大量の未払い金が発生して誰かの手助けが必要になったり、単に資産が大混乱に陥ったりすることかもしれません。

証券各社は2018年2月以降、「信頼できる連絡先」を指定するよう顧客に求めることを義務付けられています。

しかし昨年10月に発表された調査によると、指定しているのは顧客の25%にも満ちません。

また、各社の権限が強化され、詐欺が疑われた際には介入し、一時的に出金を止めることができます。

ベビーブーマー自身も認知機能の低下に備え、措置を講じることができます。

できれば委任状や信託のような形の法的権限下で、ファイナンシャルプランナーなど資産管理を手助けできる人もしくはサービス事業者を指定することが計画の柱の一つとなります。

また、毎月の決まった支払いや重要な記録だけでなく、関連する全ての金融口座番号とパスワードのリストを作るのもその一つです。

「計画を立て、自身の目標を理解する誰かを選ぶことは非常に重要だ」と、コンサルタントのアンナ・ラパポート氏は指摘します。「自己管理する人は移行期に助けが必要だが、非常に難しいかもしれない。現実から完全に目をそらしている場合が多く、行動を起こそうとはしないからだ」

自身の認知レベルを知る手掛かりもあります。例えば、100から7を引き続ける引き算のように、簡単なテストも有効かも知れません。

認知機能に問題があるかもしれないことを見つけてくれたり、指定した人物にアラートを送ってくれたりするアプリもあります。

その一つがフィデリティが提供する「エバーセーフ」で、問題の兆候がないか支払いパターンを追跡します。

認知症で最も一般的なアルツハイマー病を患う人は病状が進行するにつれ、通常は受け身になっていき、投資で大きな問題を起こす可能性は低下します。

とはいえ、詐欺や搾取の被害を受けやすいといいます。

認知症になる前に行うべき事

いやはや、これは大変な問題ですね。

認知症を患った患者は、自分の口座がどこにあるのか、どの様な資産を保有しているのか把握できなくなり、場合によっては信用取引など大きなリスクをとって、なけなしの資産を失い、大きな負債まで作ってしまう可能性があるというのです。

認知症の中でもアルツハイマー病患者は大きなリスクはとらない一方、詐欺などの被害に遭う可能性は高いというのですから、老人にとっては悪夢というしかありません。

少なくとも家族に迷惑をかけないようにするというのが鉄則だと思います。

そのために、自らの資産(負債を含めて)を整理し、いざという時に確実にそのファイルが信頼できる人に渡る様にする必要があると思います。

そのファイルにはインターネット上の各種サービスのパスワードを含めることもお忘れなく。

サブスクリプションサービスは、キャンセルを行わない限り支払いは継続されます。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。