MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

100周年を迎える中国共産党長寿の理由

f:id:MIYOSHIN:20210625171838j:plain

大混乱を生き延びた中国共産党

中国共産党は来月1日設立100周年を迎えます。

この100年は日中戦争、国共内戦、文化大革命などを経験したまさに激動の時代といって良い1世紀だったと思います。

中国共産党がこの激動の1世紀を生き延びた理由について英誌Economistが「China’s Communist Party at 100: the secret of its longevity」(100歳を迎える中国共産党:長寿の秘訣)と題した記事で分析を加えています。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

7月1日、中国共産党は100周年を迎えます。100周年という 節目を迎えた今、党は自らを自慢する正当な理由があります。

多くの批評家が予測したよりもはるかに長く生き残っただけではありません。

未だ上昇傾向にあるように見えます。

1991年にソ連が崩壊したとき、多くの専門家は中国が次に来るだろうと考えました。

彼らがどれほど間違っていたかは、6月13日のサミットでバイデン大統領が、アメリカが中国と対立しているだけでなく、世界の多くが「民主主義が競争できるかどうか」を疑っていると語った事からも推量できます。

この政党は、有権者からの委任なしに、72年間中国を統治してきました。

それは世界記録ではありません。

レーニンと彼の陰気な相続人は、北朝鮮の労働党と同様に、モスクワでもう少し長く権力を維持しました。

しかし、彼らは世界で2番目に大きな経済に成長した中国とは違います

その最先端の技術とインフラの前では、アメリカの老朽化した道路や鉄道はお恥ずかしい限りです。

中国の共産主義者は、世界で最も成功した権威主義者です。

 

中国共産党は、3つの理由で権力の掌握を維持することができました。

まず、それは冷酷さです。それは1989年に天安門広場での抗議活動において、最終的に弾丸で拡声器に答え、国民を脅迫して服従させました。

中国の現在の指導者たちは、虐殺について不安を抱いている兆候をまったく示していません。

それどころか、習近平主席は、ソ連の指導者たちが危機的な瞬間に「立ち上がって抵抗するのに十分な人」ではなかったために崩壊したことを嘆いています。

これは言い換えれば「私たちとは異なり、彼らは非武装の抗議者を機関銃で虐殺する勇気を持っていなかった。」という事でしょうか。

 

党の長寿の第二の理由は、そのイデオロギーの柔軟性です。

1976年に毛沢東が亡くなってから数年以内に、新しいリーダーである鄧小平は、毛沢東の「人民公社」を破壊し、市場の力を地方で働かせ始め、生産性は急上昇しました。

天安門事件とソビエト連邦の崩壊をきっかけに、鄧は毛沢東主義の残党と戦い、資本主義を更に積極的に受け入れました。

これにより、多くの国営企業が閉鎖され、住宅が民営化されました。

数百万人が解雇されましたが、中国は活況を呈しました。

 

習近平の下で、党は再びシフトし、イデオロギーの正統性に焦点を合わせました。

彼の前任者は、軽度の異議申し立てを認めましが、彼はそれを封印しました。

毛沢東は再度称賛されます。

党幹部は「習近平思想」を学習します。

官僚、軍隊、警察は、腐敗に対する粛清を受けました。

大企業も捜査の対象になっています。

習近平は草の根で党を再構築し、スパイのネットワークを作り、幹部を民間企業に注入して彼らを監視しました。

毛沢東の時代以来、社会はそれほど厳しく管理されていませんでした。

 

党の成功の第3の原因は、中国が、コネのある人々だけが富を吸い上げるという単純な構造になっていないことです。

腐敗は蔓延しました、

そして強力なコネを持っている家族は確かに大金持ちです。

しかし、多くの人々は自分たちの生活も改善していると感じており、党は彼らの要求に敏感でした。

地方税を廃止し、すべての人に年金と医療を提供する福祉制度を創設しました。

 

何年にもわたって、西洋のオブザーバーは中国共産主義の崩壊を裏付ける多くの理由を見つけようとしました。それは次の様なものでした。

一党制によって要求される統制は、現代経済によって要求される自由と両立しませんで。

いつの日か、中国の経済成長は勢いを失い、幻滅と抗議につながるはずです。

そして、そうでなければ、そのような成長が生み出した広大な中産階級は必然的により大きな自由を要求するでしょう。

特に、彼ら彼らの子供たちの多くが西洋で教育を受け、直接民主主義に遭遇したからです。

これが彼らの理屈でした。

しかし、これらの予測は、あたっていません。

多くの中国人は彼らの生活の改善したため、共産党を信用しています。

確かに、中国の労働力は高齢化し、縮小していますが、それは権威主義的であろうとなかろうと、すべての政府が直面する困難です。

活発な経済成長は、まだしばらく続くかのように見えます。

 

多くの中国人は党のリーダーシップを賞賛しています。

西側諸国がつまずいたときでさえ、中国がどれほど早く新型コロナを克服し、その経済を復活させたかを見てください。

彼らは、中国が世界で誇りと重要度を取り戻したと喜んでいます。

それは党がかき立てるナショナリズムに影響を及ぼします。

国営メディアは、人種暴動と銃虐殺の地としてアメリカを風刺しながら、党を国とその文化と同化しています。

一党支配に代わるものは混沌であると彼らは示唆しています。

 

反対意見が出たとき、習近平はテクノロジーを使用して、それが成長する前に対処します。

中国の街路は、顔認識ソフトウェアによって強化されたカメラで溢れています。

ソーシャルメディアは詮索され、検閲されます。

当局は問題を提起した市民を迫害したりすることができます。

間違った考えを共有する人は、仕事と自由を失う可能性があります。

残忍な弾圧での党の成功の代償は恐ろしいものでした。



習近平にとって最も危険な脅威は、大衆からではなく、党内から来ています。

彼の努力にもかかわらず、共産党は派閥主義、不忠、そしてイデオロギーの倦怠感に悩まされています。

権力を掌握しようと企てたとして非難されたライバルは投獄されました。

中国の政治は何十年も前よりも不透明ですが、習近平の果てしない粛清は、彼がさらに多くの隠れた敵を見ていることを示唆しています。

 

最も不安定な瞬間は、継承である可能性が高いです。

習近平の後に誰が来るのか、あるいはどのルールが移行を支配するのかさえ誰もわかりません。

2018年に大統領の任期制限を廃止したとき、彼は無期限に権力を保持したいというサインを発しました。

しかし、それは最終的な警鐘をより不安定にするだけかもしれません。

ある時点でこの中国王朝でさえ終わります。

中国が崩壊するかあるいは民主主義国家が自滅するか

西側の識者たちは中国の崩壊を何度も予測してきました。

しかし、中国はしぶとく国家が直面した危機を乗り越え、今や米国に挑戦する大国となりました。

現在、中国は世界の多くの強権主義の国のロールモデルになっており、民主主義国もうかうかしておられません。

中国がモデルなんてあり得ないとおっしゃるかも知れませんが、客観的に見ると、中国モデルには発展途上国の多くを引きつける魅力があります。

まず、一党独裁で政権交代がないので、統治者としては好都合です。

その上、経済面でも民主主義国を上回る経済成長を達成しています。

バイデン大統領は以前、米国に留学中の中国人の学生に「自由の国米国とは違い、君たちの国では創意工夫が生まれにくい。」と講釈したと伝えられますが、今の中国は様々な分野で世界の最先端技術が生まれています。

一方、民主主義国の多くは、野放しの資本主義の為に貧富の差が拡大し、多くの国民が不満を訴えています。

私は中国の様な言論の自由のない世界で暮らしたいとは思いませんが、世の中には食べるものにも事欠いている国もあり、そんな国では言論の自由よりも明日の食事の方が重要です。

民主主義国家が中国に立ち向かうには、自らのシステムを改善し、国民が自由で公正で豊かな社会に住んでいることを世界に示す他はないと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。