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ワクチン接種を受けるべきか否か

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ワクチン接種を避けるという選択肢

我が国でのワクチン接種も遅ればせながら進み始めました。

しかし、ワクチン接種を受けたくない人は特に若年層において多い様です。

確かに若い人はコロナにかかっても軽症ですみそうですし、メッセンジャーRNAという新しい技術を使って製造されたワクチンの長期的安全性を考えると躊躇するのもわからないではありません。

しかし、本当にワクチンを接種しなくても大丈夫でしょうか。

新型コロナウイルスは多くの変種株を生んでおり、益々その危険性を高めています。

ワクチンを打つべきか否かに関して、様々な変異株に襲われた英国は、その結論を出す上で最もデータが蓄積された国と言えます。

英誌Economistが「The unvaccinated are at risk as evolution accelerates the covid-19 pandemic」(変異株が感染を加速させるので、ワクチン未接種は危険にさらされる)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

2020年のほとんどの間、新型コロナウイルスは、遺伝的に殆ど変化しませんでした。

しかし 昨年の最後の数か月で、世界中の研究者が、10または20の突然変異を生じたウイルスの変異株を見つけました。

さらに、これらの新しい変異株のいくつかは、より速く伝染する或いは抗体を避ける特性を持っていることが判明しました。

それらの最初のものは、現在アルファと呼ばれ、9月に英国に登場しました。

11月までに、ウイルスサンプルの配列を決定する科学者たちは、その感染の速さに警鐘を鳴らし始めていました。

2020年1月に武漢で見つかった元のウイルスによる各感染は、マスク、社会的距離、封鎖などの対策がない場合、約2.5回のその後の感染につながると推定されていました。

同じ条件下で、アルファの「再生産数」はほぼ2倍、つまり4または5であると考えられていました。

11月までに、南アフリカで、現在ベータと呼ばれている変異株が見つかり。 2021年に特定されたガンマ変異株は、ブラジルで見つかり、南米を荒廃させました。

数か月後の壊滅的なインドでの流行の重要な要因であるデルタは、感染率の基準をさらに引き上げました。

英国の科学者は、予防策を講じていないワクチン未接種の集団では、その再生産数は8に達する可能性があると推定しています。

6月中旬、最初にそこに現れてからわずか2か月後、デルタはイギリスでアルファにとって変わりました。

それは今や世界中を脅かしています。

 

デルタに感染した人々のサンプルで見つかったウイルスの量は、他の変異株よりも多くなっています。

これはおそらく、古い変異株に感染した人よりも多くのウイルスを吐き出していることを意味します。

ワクチン接種はこの広がりを遅くしますが、それを止めることはありません。

現在のワクチンは、ウイルスのすべての感染を阻止するわけではありません。

また、感染者がウイルスを感染させるのを阻止することもありませんが、ウイルスの感染は大幅に困難になります。

ファイザーまたはアストラゼネカのワクチンを接種され、その後アルファに感染した人は、ワクチン未接種の人の約半分の確率でアルファを他の人に感染させます。

 

英国の研究によると、デルタはアルファよりも約60%感染性が高いことがわかっています。

イスラエルでのデルタ発生で感染した成人の約半数は、ファイザーワクチンで完全にワクチン接種されていました。

幸いなことに、欧米の企業が行ったワクチンの研究では、ワクチンはあらゆる種類の新型コロナウイルスに感染した人々の死亡や重症例を減らすことが示されています。

これは、新しい変異株のいずれもが、ワクチン接種された集団に対する公衆衛生上の深刻な脅威ではないことを意味します。

デルタの伝染性の高さは、旅行や行動制限の緩和とともに、英国での感染や症例の数を再び増加させました。

しかし、広範囲にわたる予防接種のおかげで、死者はほとんど増えていません

最も脆弱な人々への広範囲にわたるワクチン接種は期待通りに機能しています。

 

予防接種を受けていない、部分的に予防接種を受けた場合の危険性は、感染の拡大を防ぐための公衆衛生上やるべき事がまだあることを意味します。

ワクチン接種または過去の感染のいずれかによって、60%が免疫を持っている集団では、封鎖や同様の介入がすぐに確立されない限り、再生産数が8の変異株は感染の急激な増加を引き起こします。

予防策を講じない場合、再生産数8の変異株は、ワクチン未接種の集団において、ワクチン摂取の集団よりはるかに劇的な危機を引き起こします。


ワクチン接種を継続するための十分な必要性があります。

低所得国では、ワクチンを1回でも接種したことがある人は1%未満です。

サハラ以南のアフリカでは、デルタが病院を破壊し、医療従事者を殺害する大感染を引き起こしています。

オーストラリア、日本、韓国など、最初の波をうまく乗り切り、ワクチン接種の優先度が高くなかった豊かな国々は、今や非常に脆弱に見えます。

6月末までに、デルタのリスクにより、オーストラリアのほぼ半数がロックダウンされる事になりました。

変異株は予防接種プログラムをの緊急性をこれまで以上に高めます。

変異株にも有効なワクチン

英国での調査が示す事実は、現在使われている主なワクチンが、新しい変異株の感染を完全に止める事は出来ないにしても、その感染を一定の割合で抑えてくれる事、そして万一感染しても重症化を抑えてくれる事を示しています。

今後、更に危険度の高い変異株が生まれる可能性はゼロではありませんが、これはワクチン接種を急ぐ必要性を裏付けるものと思います。

さらに言えば、ワクチン接種を受けて、自らの感染の可能性を低める事は、他人に感染させる可能性も低くする事に繋がります。

もちろん、ワクチンの接種はあくまで個人の判断が尊重されるべきと思いますが、できる限り多くの人が接種することが望ましいでしょう。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。

 

注)英語で「Variant」をこれまで「変異体」と訳していましたが、「変異株」が正しい様です。今後変異株に統一します。下記リンクご参照下さい。

https://www.kansensho.or.jp/modules/news/index.php?content_id=221