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なぜ5Gで中国に遅れをとったのか

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次世代通信技術で先手を打った中国

5Gに関しては、トランプ政権時代に突然中国Huawei社の脅威説が高まり、米国が同盟国に対してHuawei製の5G関連機器を使わない様に求めました

あの時から私が抱いている疑問は「5Gってそれ程重要な技術なのか。」と「それだけ重要な技術を何故米国含め西側は軽視していたのか」というものです。

米誌Foreign Policyがこの質問に答えてくれています。

China Knows the Power of 5G. Why Doesn’t the U.S.?」(中国は5Gの価値を知っているのに何故米国は知らないのか)と題された論文かいつまんでご紹介したいと思います。

Foreign Policy論文要約

先月、バイデン大統領は、中国の世界的な影響力の高まりに直面して人権を擁護するため立ち上がる様、G7各国に呼びかけました。

英国でのG7サミットで、低中所得国への投資を増やす事を目指すグローバルインフラ計画であるBuild Back Better World(B3W)パートナーシップを提案しました。

この計画は、すでに70か国以上に到達している中国の一帯一路イニシアチブのより公平で持続可能な代替案です。

計画が示すように、G7加盟国は、中国のインフラ技術が世界中の人権、個人の安全、民主主義にもたらすリスクをもはや無視することはできません。

 

バイデンの計画は、中国の高まる影響力と戦うための重要なステップです。

しかし、次世代インターネットの中核技術である5Gをより優先する必要があります。

B3W計画では、5Gについて明示的に言及していませんが、そのテクノロジーは、人々の生活を大きく変革し始めています。

G7は、5Gの力とそれが悪用されるリスクを認識する必要があります。

 

近年、米国の安全保障関係者は、中国共産党の技術開発の脅威に目覚めています。

党は2つの戦術に焦点を合わせています。

海外でサービスを提供する会社を含む中国企業が中国政府にデータへの自由なアクセスを与える事と5Gハードウェアの世界的な輸出を要求する一連の法律です。

中国のビジネスリーダーは、安価なハードウェアを持って他国に行きます。

これらはすべて、中国の権威主義体制がアクセスできるデータ管理の代償です。

5Gは武器化するのが簡単なツールです。

それに対する需要が世界中で増大するにつれて、市民とインフラはますますそれに依存するようになっています。

5Gによりインターネットやソーシャルメディア上でこれまで以上に多くのデータを収集できるようになります。

権威主義に傾倒している国での5Gの採用は、独裁者により効率的な手段を与えます。

これらの国では、5Gの採用に関する意思決定は、殆どチェックなく行われ、リーダーはデータフローの管理を行う事ができます。

その結果、新疆ウイグル自治区でウイグル人に対して行われているのと同じように、大量監視が行われ、自動化された検閲、迫害による大規模な人権侵害が発生する可能性があります。

5Gに裏打ちされた人工知能機能とリアルタイムの市民情報にアクセスできるリーダーは、暴力的な二極化を助長すべく、偽情報キャンペーンを行うことができます。

 

すでに、ラテンアメリカ、アフリカ、東南アジアへの中国の技術とツールの輸出は、デジタル権威主義の台頭と一致しています。

ベネズエラやウガンダの独裁者は、データフローから電波まですべてを幅広く制御できるようになりました。

国会議事堂は盗聴され、政敵は脅迫され、市民はHuaweiやZTEなどの技術を使用して監視および検閲されました。

 

しかし、それは5Gが本質的に危険であるという意味ではありません。

データ量の増加は国をより効率的にし、政府がサービスを提供するのを助けることができます。

たとえば、公益事業は、5Gテクノロジーによる自動規制によって環境に配慮することができます。

しかし、おそらく5Gの最大の可能性は、より多くの人々がデジタルテクノロジーにアクセスできるようになることです。

特に女性や農村地域など社会から取り残されたコミュニティに5Gを提供することで、機会を増やすことができます

健全な民主主義では、これらのテクノロジーの監視は人権とプライバシーを尊重する必要があり、密室で行われるべきではありません。

企業、市民社会の関係者、および一般市民は、政府と協力して、データに関する透明性のあるルールに作成する必要があります。

幸いなことに、バイデンのB3W計画は、人権を受け入れる国際システムの規範を形成し、多くの利害関係者の手に意思決定を委ねる上でのテクノロジーの重要性を理解していることを明らかにしています。

しかし、時計は刻々と過ぎています。

 

今週の米国におけるグローバル新興テクノロジーサミットで、この問題が提示されました。

秋には、英国がFuture Tech Forumを主催し、デンマーク政府が技術会議を開催し、チェコ政府が5G会議を開催します。

これらのイベントは、テクノロジーガバナンスにおいて非常に重要です。

米国と世界中のリーダーは、グローバルスタンダードを設定し、5G市場に、より多様なベンダー、手頃な価格の機器オプション、安全なテクノロジーを生み出す研究開発投資を確保する必要があります。

 

テクノロジーは民主主義の未来と切り離せないものであり、バイデンのB3Wの取り組みは、人権を優先する世界的なスタンダードを構築するための長い道のりの第一歩です。

バイデンが認める必要があるのは、安全でない5Gネットワ​​ークに依存するインフラは、民主主義に大きな害を及ぼす可能性があることです。

中国の巧妙な戦略

民主主義というものは、言うまでもなく世論を基盤としています。

世論というものが形成される過程で歪められたら民主主義は機能しません。

最近気になるのはネット上で氾濫している無料のニュースサイトです。

これらは無料であるだけでなく、先方から私が読みそうな話題を選んでニュースを提示してきます。

もしもこれらニュースの配信元が政治的なバイアスをかけたニュースを人々に提供したらと思うとぞっとします。

中国がやろうとしている事は、全世界規模で中国のシステムを広め、政府への批判を許さない体制を世界中に作ることではないでしょうか。

この戦略の中で5Gは重要な役割を果たす事でしょう。

米国を初めとする民主主義国は、5Gをその様な目的で使用していませんから、中国の戦略に気づくのが遅きに失したという事ではないかと思います。

発展途上国の人々がどちらを選ぶでしょうか。

次世代の通信技術は民主主義の将来を左右するといっても過言ではありません。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。