MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

欧州で進む健康パスの導入

f:id:MIYOSHIN:20210724130144j:plain

マクロン大統領が推進する健康パス

フランスのマクロン大統領は7月12日のテレビ演説で、医療および介護従事者へのワクチン接種の義務化と、施設などに入る際に提示が義務づけられる健康パス(ワクチン接種や抗体検査の証明)の適用拡大を発表しました。

フランス人は強制を嫌うことで有名ですが、デルタ株の感染拡大が広がる中、仏政府の今回の措置に対して、世論調査によれば61%の国民は賛成の意を表している様です。

この健康パス導入の動きは欧州の中で他国にも広がる動きを見せています。

仏紙Les Echosがイタリアでの健康パス導入に関して、​​「Le pass sanitaire obligatoire en Italie dès le 6 août」(イタリアで健康パスが8月6日から義務化」と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

​​Les Echos記事要約​​

「私はすべてのイタリア人にすぐにワクチン接種をを行う様勧めます」とドラギ伊首相は促しました。

8月6日から、バーやレストランに入ったり、美術館を訪れたり、プールに行ったり、映画館や劇場に入るには、イタリアでグリーンパスと呼ばれる健康パスを提示する必要があります。

この措置は、スポーツイベント、コンサート、ショー、見本市、会議などの大規模な集会にも適用されますが、子供や青年の野外活動には適用されません。

ディスコは追って通知があるまで閉鎖されたままですが、このセクターは公的援助の恩恵を受けるでしょう。

デルタ変異株の広がりは今や指数関数的です。

1週間で2倍の新規感染を記録しています。5月21日以降、1日で5,000件を超えることはありませんでしたが、木曜日には5,057件を記録しました。

12歳未満の子供には健康パスは必要ありません。

このパスは、ワクチンを2回投与された人、新型コロナから回復した人、または過去48時間に検査で陰性だった人に発行されます。

 

公共交通機関、職場、学校に関しては、まもなく新しい措置が採用されるはずです。

学校は政府の優先事項であり、学年の開始が問題なく行われるように、青年および若年層の60%に予防接種を行うことを目標としています。

医療専門家の場合と同様に、教員に対するワクチン接種の義務化が想定されています。


「健康パスは恣意的な手段ではなく、経済活動を開放するための条件である」とドラギ首相は主張し、野党のマッテオ・サルヴィーニは「イタリア人の大多数から労働権と自由に移動する権利を剥奪する、合理性のない厳しい選択」と非難しています。

野党のリーダーは、40歳未満の人々の予防接種義務に反対すると宣言しました。

「ワクチンを忌避しようとの呼びかけは、病気になるか、他の人に感染させる事によって死者を増やす事になります」と首相は反論しました。

4,000万人のイタリア人が健康パスを取得できるか、すでに取得していますが、20〜40歳の半数を含め、1,700万人はワクチンを接種していません。

集団予防接種キャンペーンはここ数週間予定数に達していません。

イタリア人は、予防接種センターに行くことを躊躇しています。

しかし、ドラギ首相からの最新の発表を受けて、予約数は再び増加し始めました。

現地紙はこれを「マクロン効果」と呼んでいます。

ワクチン接種者の人権にも配慮を

この記事の最後の行にある様に、健康パスの導入を最初に図ったのは、フランスのマクロン大統領です。

フランスでも同様にデルタ株による感染が拡大しており、仏政府としては少数の反対はあるものの、多数の国民の健康を守るためにはやむを得ない手段と考えている様です。

この措置は国民の健康を守るだけが目的ではありません。

経済活動の正常化も狙いの一つです。

各国ともロックダウンという手はもはや使いたくありません。

ロックダウンは経済活動を窒息させます。

一方でデルタ株の出現は、若者を中心に感染者を広げており、これに対する措置も急務です。

そこで出てきたアイデアが健康パスでワクチン未接種者を人の集まる場所から隔離しようというものだと思います。

ワクチンを受けたくない人の自由は認めるべきでしょうが、そういう人が大手を振って公共の場所に出てこられるのも問題です。

時々東京の地下鉄でもマスクをしていない人がおり、他の車両に移りたくなりますが、ワクチンを受けた人の人権も無視されてはなりません。

フランスでは、ワクチン接種を拒否する人を一部の業種で解雇しても構わないという法案が審議されている様です。

ここまで行くと労働権の侵害という問題が出てくると思いますが、レストランや劇場に入るのに健康パスを義務付けるという考えには賛成です。

日本は未だ接種率が低い様ですが、これが過半数を超える様になれば、健康パスの導入を検討すべきと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。