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コロナ後の世界 - シェフやウエイター不足に悩むフランス

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従業員が戻ってこないレストラン

フランスのレストランは営業を5月に再開した様です。

美食の国フランスでは、レストランの再開を待ちわびたお客さんで店は大賑わいの様ですが、一つ大きな問題を抱えている様です。

長いロックダウンの期間中に失業保険で食いつないできたシェフやウエイターが店に戻ってこないという現象が起きている様です。

日本でもコロナが収束した後に同じ様な現象が起こるかもしれません。

英誌Economistがこの状況に関して「French restaurants are open but short-staffed」(フランスのレストランは再開されたが従業員が不足している)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

パリのあるバーのマネージャーは、追加のスタッフを見つけるのに苦労して、最近、忙しい夜、妹に助けてくれる様依頼しました。

ノルマンディーの海辺のレストランで、ウェイトレスは、元同僚が夜と週末を犠牲にする仕事にはもう我慢できないので、辞めていると語りました。

パリでは、レストランのスタッフが不足しているため、メニューが突然短くなったと報告されています。

フランスが屋外ダイニングを再開してから2か月後、レストランやバーはスタッフ不足に直面しています。

フランス銀行の調査によると、採用に問題を抱えている企業の割合は、6月に前月から2倍になりました。

ロックダウン中にレストランやホテルが数ヶ月間閉鎖された間、多くのスタッフが家庭生活の味をしめてしまったと、人事コンサルタント会社のジュリア・ルソーは言います。

現在その様なスタッフは不動産業者や銀行で職を探している様です。

「パンデミックは彼らの優先順位を並べ替えました」と彼女は言います。

 

同様の問題を抱えるセクターはサービス業だけではありません。

6月には、全企業の44%が採用の問題を報告し、建設工事の数値は50%に上昇しました。

2021年半ばのフランスの成長のボトルネックは「雇用の難しさ」です。

フランスの失業率は7.5%で、OECDの平均よりも高い(ユーロ圏よりは低いが)ため、フランスの人手不足は特に印象的です。

240万人が公式に仕事を探しているにもかかわらず、企業は労働力不足に直面しています。

 

パンデミックの前でさえ、求職者と採用側のミスマッチは懸念されていました。

政府は、見習いと職業訓練プログラムでそれを解決しようとしていました。

現在、これらは拡大されており、特に若者を仕事に就かせるためのより積極的なアプローチが採用されています。

「1人の若者に1つの解決策を」として知られるスキームは、26歳未満の全ての若者に職あるいは見習い、職業訓練のいずれかを保証します。

最貧層は、積極的な就職活動に登録すると、月に500ユーロ(590ドル)近くの手当が支給されます。

「政府はスキルアップに多額の投資を行ってきました」と、保険会社のAllianzのチーフエコノミストであるLudovic Subran氏は述べています。

「しかし、需要と供給の間には根本的なミスマッチがあり、しばらくの間残るでしょう。」

 

飲食ビジネスにおけるスタッフの不足は、その寛大な一時帰休金に起因している可能性があります。

これは8月末に以前の給料の84%から72%に減額されました。

それは企業がスタッフを呼び戻すのに役立つかもしれません。

今回、レストランは入場時に健康パス(ワクチンの接種有無を証明する書類)を顧客に要求する事になりそうなので、レストラン従業員がが元の職場に戻るのを躊躇させています。

食事をする人は、待ち時間が長くなり、「本日のお勧めメニュ」(Repas du jour)に代わる選択肢が少なくなることを受け入れる必要があるかもしれません。

食文化を絶やす危険性

フランスに限らず、世界中でレストランやバーはパンデミックにより事実上閉店を余儀なくされました。

日本も例外ではありません。東京の街を歩いていると、至る所に「当面の間休業します」の張り紙が貼られています。

国や都から補助金は供与されていますが、とても店の赤字を補填する額には至りません。

この状態が続くと、料理人や店のスタッフは廃業や転職を考えざるを得ません。

料理店で働いている人々の仕事は、パンデミックが起こる前から、大変厳しい労働だったと思います。

朝早くから買い出しや仕込みを行い、夜は深夜まで働きます。普通の家庭が休みになる年末年始や週末は彼らは働かなければいけません。

それでも飲食業界の人々が厳しい労働条件を受け入れていたのは、お客さんが彼らのサービスを評価し、お金を落としていたからです。

新型コロナは彼らの収入源と希望を破壊しました。

現在、困っている飲食業界の人に我々ユーザーは手を差し伸べる必要があります。

私も微力ですが、行きつけの店でテイクアウトを行う様にしていますが、ある店では銀行からクレジットカードの扱いを断られたらしく、支払いが現金のみになっていたことに驚きました。

パリや東京の食文化はこれら大都市が持つ重要な魅力の一つです。

食文化の火を絶やしてはいけません。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。